この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku

文字の大きさ
上 下
19 / 93

18初めてのクエスト 2 

しおりを挟む
ミュレー家の領主館は町から少し離れた小高い丘の上にある。
館としては普通の作りで、立派という以外取り立てて言うことはないが、庭に湧水を利用した小さな噴水があることが、ご領主様の自慢であることが小さな領民の子供でも知ってることだった。
領民にかける税率は、ほかの領地に比べるとこれまた普通で、重くもなく軽くもなくよい領主といえるだろう。
領民から集めた税の一部で道路の整備とか、教会や孤児院に助成金を出してたし、領内の薬師や医師には補助を出し、貧しい領民でもできる限り医療を受けられるようにしていた。
そのおかげで風邪をこじらせて死んだり、幼い子が水が合わず腹下ししてそこからひどい脱水症状になって死ぬ子も、ほかの地の領民よりはかなり少なくなっているのだ。
スーダンの息子もそうやって領主に助けられた子供の一人だった。
彼女はそのことに領主に心から感謝していた。
この町で夫とっともに衣料品店を営む彼女は、店を出したばかりは万一閑古鳥が鳴くといった塩梅で、経営がかなり苦しかった。
そんな時一人息子がひどい腹下しして、ひどい脱水症状に陥ったのだ、あの時息子を医師にかける金はほとんどなかった。
しかし医師はだめでもともととやってきた彼らに、ご領主様からこんな時にと補助金が出てると息子を治療してくれたのだ。
そのおかけで息子は無事回復し助かったのである。あの時の嬉しさを今も忘れないと彼女は思った。
今は店は軌道に乗り家族そろって幸せに暮らしている。
彼女は毎日店を開けオープンの札をドアにかけるとき、いつも領主館に向かって感謝のお祈りする。
ご近所の人々はその光景を、いつも通り太陽に挨拶してるのだなと思っていた。
そうして今日も店は開き、お隣の雑貨屋の店主の老女と、朝の挨拶をして営業を開始するのだった。
今日はどんなお客様が来るのか、彼女は胸をワクワクさせていた。
なんだか今日はいいことが起こりそうな予感がするのだ。


「カラーンコローン」

玄関扉のベルが鳴りそのお客様たちが入ってきた。
時間は10時ごろ。
一見して貴族の子らしい子が中心で、隣をおつきの私服の侍女らしい女性と、前方後方を腰に剣を携えた私服の護衛らしき男性二人がついていた。

<どこの貴族家のご令息かしら?それとも裕福な商人の息子?>


アドラスは今世初めての買い物に胸をどきどきさせていた。
店内には自分たちのほかに女性客や親子連れが買い物をしていた。
一見したところこの店にある商品は、平民の新品の服のほか質のいい古着の平民服が売られているようだ。
アドラスはどんなデザインの服があるかなと、ハンガーに掛けてある服を適当に眺め、時にはハンガー掛けからとって眺めてみる。

「ねえマリア、この格子島のフードづき、チュニックシャツ僕に似合うとおもわない?」

「あら本当ですね、いいですね、アドラス様、マリアの選んだこの青いシャツと若草色のしゃっなどはいかがですか?」

「うん、いいな、となるとズボンは」
するとシッロが

「冒険者をするにはポケットの多いズボンがいいですよ、これならいかがです、ポケットも多いし生地も丈夫です、デザインも悪くない。
あとこれとこれも。俺は騎士になる前は冒険者もやってたからよくわかるんです。」

シッロが冒険者をやっていたことは初めて知った。
結局皮の半ブーツの靴と、冒険者用の子供の縫い上げしてあるかわいい耐防水耐衝撃耐防刃付きマントと、小さな空間魔法付きかばんもシッロのおすすめで買い、店内で着替えて鏡で見た自分の冒険者風の恰好に、我ながらRPG風のカッコよさだとうっとりしてしまうアドラスだった。
それを見た親子連れの女の子が、私もあんな恰好したいと親にねだり親を困らすのはご愛嬌だった。
そしてアドラスはシッロに預けてあった財布を受け取り金貨15枚を支払った。
服代よりマントとマジックバッグにお金がかかったのだ。


「カラーンコローン」

「ありがとうございました、またのお越しをお待ち申し上げております。」

<あー売れた売れた!!、今日はおおもうけしたわ!!・・・・でもあのお客さんたちどこの家の方だろう>
と最後まで知らぬスーザンだった。

こうしてミュラー家領都ファッソの町の何気ない日常が過ぎてゆくのであった。





しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる

シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。 そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。 なんでも見通せるという万物を見通す目だった。 目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。 これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!? その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。 魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。 ※他サイトでも連載しています。  大体21:30分ごろに更新してます。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)

田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ? コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。 (あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw) 台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。 読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。 (カクヨムにも投稿しております)

Age43の異世界生活…おじさんなのでほのぼの暮します

夏田スイカ
ファンタジー
異世界に転生した一方で、何故かおじさんのままだった主人公・沢村英司が、薬師となって様々な人助けをする物語です。 この説明をご覧になった読者の方は、是非一読お願いします。 ※更新スパンは週1~2話程度を予定しております。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

念動力ON!〜スキル授与の列に並び直したらスキル2個貰えた〜

ばふぉりん
ファンタジー
 こんなスキルあったらなぁ〜?  あれ?このスキルって・・・えい〜できた  スキル授与の列で一つのスキルをもらったけど、列はまだ長いのでさいしょのすきるで後方の列に並び直したらそのまま・・・もう一個もらっちゃったよ。  いいの?

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

処理中です...