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4.春雷 後編
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オーソンは旧市街の通りを一人歩いていた。目指すは一軒の占いや、
その時通りの向こうから二人組の酔っ払いがふらふらと歩いてきた。
何やら自分の上司への不満をべらんめい口調でぶつぶつ文句を言っている。
どうやら王宮の下っ端官吏らしい。
オーソンはいずこも同じだなと思った。とは思っても酔っ払いに絡まれるのはめんどーと横をうつむいてかれらからはなれて無事通り過ぎた時オーソンはほっとした。
あたりは旧市街の落ち着いた趣のある庶民の家々が並んでいた。
その中の一軒が占い屋であった。
占い師は黒のベールと黒のドレスを着た女性で彼女の占いは当たると相伴だった。
顧客には一般女性の恋占いから商人の新事業がうまくいくかどうかの占いから上級貴族家の当主や婦人たちの悩み占いまでと幅広くやっていたが、それらを通して知りえた情報を彼女は裏で情報屋として売っていたのだ。
「ここだ」
占い師の看板が出た一軒の割としゃれた家。
オーソンはドアのノッカーをたたいた。
中からこの家の執事兼護衛の男が扉を開けて「どうぞ、お入りください」といって玄関近くの客間に通した。
「これはオーソン、今日は何の情報を知りたいのかしら?」
彼女はそういうと結界魔法を発動した、これでこの部屋に入るどころか声を盗み聞くことも不可能となった。
「オナクス地方で食料品や武器、医薬品の値が急騰してるそうだ。そのことについてあんたの知りえる情報を聞きたい。」
オーソンは懐から財布を取り出し金貨三枚出した。
彼女はそれを受け取るとカウンターテーブルの上の小箱を開けて金貨をしまった。
「確かにオナクス地方も食料品や武器が高騰しているわ、でもオナクス地方だけじゃないのよ」
「え?」
「シェルビー伯爵のシェルビー領や、ハムステッド伯のハムステッド領、オケアス子爵のオケアス領、コーダ子爵のコーダ領ラプラス男爵のラプラス領と値が上昇してるわ」
「なんだと!」
「今はそれらの急上昇が表に出ないよううまくかくしているらしいけど、彼ら全員がマーケロス公爵派閥と考えれば意味するところは一つ、反乱ね!、彼らは国王と第一皇子を殺すか排して第二王子を国王に据えこの国を奪うことを考えてるわね。」
「なんてことだ、国王はこのこともご存じなのか、反乱だと,とんでもない!」
「国中に王家の間諜を放っているあの老獪な国王陛下の事よ、たぶんあいつらのことはご存じでしょうね。」
「国王は第一王子をどうされたいのだ?」
「王妃の父宰相派閥からの情報では、聡明で沈着冷静な第一皇子を近く立太子させ王位継承者とさせるそうよ。さすが国王陛下ね、たとへ溺愛する愛妾の子とはいへ甘ったれで後先考えずの問題ばかり起こす第二王子を次期王位継承者にはさせない。それでこそ国王よ。第二王子は臣下へ降格だそうよ。」
「そうか、だから奴らはそうなる前に武力でもって王位簒奪を起こそうと考えているのか」
「ええ、たぶんそうね。」
「ありがとう、貴重な情報をくれて」
「いいのよ、こちらもこれが商売ですもの。」
ゴロゴロ・・・・ゴロゴロ
「え、雷の音かしら?」占い師は天井を見上げた。
「だとしたら今年一番の春雷だな」
ゴロゴロゴロ・・・・・・
玄関のドアを開けると、空に出ていた満月はいつの間にか厚い雲に覆われ姿を消し、遠くで雷の閃光がぴしゃっと光るのが見えた。次の瞬間どーんと雷の落ちる音がした。
「やー本当に今年一番の春雷だな」
「雷に落とされないように気をつけて帰ってね」
「ああ」
オーソンは騎士服の背広の襟をすくめて、足早に通りに駆け出したのだった。
その時通りの向こうから二人組の酔っ払いがふらふらと歩いてきた。
何やら自分の上司への不満をべらんめい口調でぶつぶつ文句を言っている。
どうやら王宮の下っ端官吏らしい。
オーソンはいずこも同じだなと思った。とは思っても酔っ払いに絡まれるのはめんどーと横をうつむいてかれらからはなれて無事通り過ぎた時オーソンはほっとした。
あたりは旧市街の落ち着いた趣のある庶民の家々が並んでいた。
その中の一軒が占い屋であった。
占い師は黒のベールと黒のドレスを着た女性で彼女の占いは当たると相伴だった。
顧客には一般女性の恋占いから商人の新事業がうまくいくかどうかの占いから上級貴族家の当主や婦人たちの悩み占いまでと幅広くやっていたが、それらを通して知りえた情報を彼女は裏で情報屋として売っていたのだ。
「ここだ」
占い師の看板が出た一軒の割としゃれた家。
オーソンはドアのノッカーをたたいた。
中からこの家の執事兼護衛の男が扉を開けて「どうぞ、お入りください」といって玄関近くの客間に通した。
「これはオーソン、今日は何の情報を知りたいのかしら?」
彼女はそういうと結界魔法を発動した、これでこの部屋に入るどころか声を盗み聞くことも不可能となった。
「オナクス地方で食料品や武器、医薬品の値が急騰してるそうだ。そのことについてあんたの知りえる情報を聞きたい。」
オーソンは懐から財布を取り出し金貨三枚出した。
彼女はそれを受け取るとカウンターテーブルの上の小箱を開けて金貨をしまった。
「確かにオナクス地方も食料品や武器が高騰しているわ、でもオナクス地方だけじゃないのよ」
「え?」
「シェルビー伯爵のシェルビー領や、ハムステッド伯のハムステッド領、オケアス子爵のオケアス領、コーダ子爵のコーダ領ラプラス男爵のラプラス領と値が上昇してるわ」
「なんだと!」
「今はそれらの急上昇が表に出ないよううまくかくしているらしいけど、彼ら全員がマーケロス公爵派閥と考えれば意味するところは一つ、反乱ね!、彼らは国王と第一皇子を殺すか排して第二王子を国王に据えこの国を奪うことを考えてるわね。」
「なんてことだ、国王はこのこともご存じなのか、反乱だと,とんでもない!」
「国中に王家の間諜を放っているあの老獪な国王陛下の事よ、たぶんあいつらのことはご存じでしょうね。」
「国王は第一王子をどうされたいのだ?」
「王妃の父宰相派閥からの情報では、聡明で沈着冷静な第一皇子を近く立太子させ王位継承者とさせるそうよ。さすが国王陛下ね、たとへ溺愛する愛妾の子とはいへ甘ったれで後先考えずの問題ばかり起こす第二王子を次期王位継承者にはさせない。それでこそ国王よ。第二王子は臣下へ降格だそうよ。」
「そうか、だから奴らはそうなる前に武力でもって王位簒奪を起こそうと考えているのか」
「ええ、たぶんそうね。」
「ありがとう、貴重な情報をくれて」
「いいのよ、こちらもこれが商売ですもの。」
ゴロゴロ・・・・ゴロゴロ
「え、雷の音かしら?」占い師は天井を見上げた。
「だとしたら今年一番の春雷だな」
ゴロゴロゴロ・・・・・・
玄関のドアを開けると、空に出ていた満月はいつの間にか厚い雲に覆われ姿を消し、遠くで雷の閃光がぴしゃっと光るのが見えた。次の瞬間どーんと雷の落ちる音がした。
「やー本当に今年一番の春雷だな」
「雷に落とされないように気をつけて帰ってね」
「ああ」
オーソンは騎士服の背広の襟をすくめて、足早に通りに駆け出したのだった。
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