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2. 1歳のある春の日
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バーリアス王国の冬は比較的温暖な気候で雪がほとんど降らない、それでも高い山岳地帯では雪が降るが日本としとしく四季のある気候で春・夏・秋・冬とある。
まあ大体日本でいえば静岡県に似た気候と思えばいい。日本との違いといえば富士山がないことである。
最近冬の寒さがだんだん遠のき、子爵家の庭には春の美しい花花が咲いている。
桜に似た木も植えてあり今満開を迎え美しく咲き誇っている。風で花弁がひらひらと地面に舞い落ちるさまは何とも言えぬ風情がありピンクのカーペットができている。
そんな光景を見ていると、アドラスは無性に胸にこみあげるものがる。
日本に生きていたころ家族とともに桜の花見に行き、母の手作りのお弁当を家族とともにたのしくわいわいと食べたことが思い出されたのだ。
もう顔もはっきりと思い出せない父、母、弟、いもうとたち、この俺が事故で死んだときまだ高校生だった弟と妹はあれからどうなったのであろう。
両親には親孝行らしいことは何一つせず死んでしまった。ごめんなさい父さん、母さん、ごめんなさい。
春の陽光に包まれた庭でアドラスはばあやの腕に抱かれ目に涙をにじませた、
「まあぼっちゃま、おねむですか?」
あどらすはちがうとくびをふる。
「坊ちゃまご覧ください、ちょうちょですよ、花の上をちょうちょがひらひら飛んでますよ」
「ちょうちょ、ちょうちょ。」
1歳になったばかりのアドラスはちょうちょに向かって両手を伸ばす。
「おろして、おろして」
ばあやはアドラスを地面にそっとおろした、とたんにアドラスはちょうちょに向かってとてとてと駆け出す。
「ちょうちょ」
「はいぼっちゃま」
「なんてちょう?」
「これは紫ちょうですね、紫色の地に白の斑点がるので紫ちょうというんですよ。」
「むらしゅきちょう。」
チョウはひらひらとアドラスのほうにやってきてアドラスの頭の上を舞いだした。
アドラスは懸命に手をチョウに伸ばす。でも届かない。
そのうちちょうはアドラスの頭にふわっと止まった。
その姿がたまらなく愛らしいのでばあやはにっこりとほほ笑む。
アドラスの髪は銀色、目は紫、美男子な父親似の容貌で天使のような美しい赤ちゃんだった。
母親に似たところといえば目が紫というところ。
前世家の近くののっぱらを虫かごを肩にかけて、手に虫取り網を持ってチョウや昆虫を捕まえようと幼友達と駆け回ったことを思い出した。
<ここは地球じゃない、地球にはもう戻れない、さようなら父さん、舞、そうだ妹の名前は舞だった、弟の名前は隼人,そして俺の名前は晴馬、おもいだしたよ。
どうかげんきで、げんきでいきてくれ。今の俺にはそう祈ることしかできない。さようなら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・>
紫ちょうがアドラスの頭から空高く飛び立った。まるでアドラスの祈りを神の元に届けるようにひらひらとまいあがる。アドラスはちょうの姿が見えなくなるまで見送った。
<どうか元気で幸せに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・>
まあ大体日本でいえば静岡県に似た気候と思えばいい。日本との違いといえば富士山がないことである。
最近冬の寒さがだんだん遠のき、子爵家の庭には春の美しい花花が咲いている。
桜に似た木も植えてあり今満開を迎え美しく咲き誇っている。風で花弁がひらひらと地面に舞い落ちるさまは何とも言えぬ風情がありピンクのカーペットができている。
そんな光景を見ていると、アドラスは無性に胸にこみあげるものがる。
日本に生きていたころ家族とともに桜の花見に行き、母の手作りのお弁当を家族とともにたのしくわいわいと食べたことが思い出されたのだ。
もう顔もはっきりと思い出せない父、母、弟、いもうとたち、この俺が事故で死んだときまだ高校生だった弟と妹はあれからどうなったのであろう。
両親には親孝行らしいことは何一つせず死んでしまった。ごめんなさい父さん、母さん、ごめんなさい。
春の陽光に包まれた庭でアドラスはばあやの腕に抱かれ目に涙をにじませた、
「まあぼっちゃま、おねむですか?」
あどらすはちがうとくびをふる。
「坊ちゃまご覧ください、ちょうちょですよ、花の上をちょうちょがひらひら飛んでますよ」
「ちょうちょ、ちょうちょ。」
1歳になったばかりのアドラスはちょうちょに向かって両手を伸ばす。
「おろして、おろして」
ばあやはアドラスを地面にそっとおろした、とたんにアドラスはちょうちょに向かってとてとてと駆け出す。
「ちょうちょ」
「はいぼっちゃま」
「なんてちょう?」
「これは紫ちょうですね、紫色の地に白の斑点がるので紫ちょうというんですよ。」
「むらしゅきちょう。」
チョウはひらひらとアドラスのほうにやってきてアドラスの頭の上を舞いだした。
アドラスは懸命に手をチョウに伸ばす。でも届かない。
そのうちちょうはアドラスの頭にふわっと止まった。
その姿がたまらなく愛らしいのでばあやはにっこりとほほ笑む。
アドラスの髪は銀色、目は紫、美男子な父親似の容貌で天使のような美しい赤ちゃんだった。
母親に似たところといえば目が紫というところ。
前世家の近くののっぱらを虫かごを肩にかけて、手に虫取り網を持ってチョウや昆虫を捕まえようと幼友達と駆け回ったことを思い出した。
<ここは地球じゃない、地球にはもう戻れない、さようなら父さん、舞、そうだ妹の名前は舞だった、弟の名前は隼人,そして俺の名前は晴馬、おもいだしたよ。
どうかげんきで、げんきでいきてくれ。今の俺にはそう祈ることしかできない。さようなら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・>
紫ちょうがアドラスの頭から空高く飛び立った。まるでアドラスの祈りを神の元に届けるようにひらひらとまいあがる。アドラスはちょうの姿が見えなくなるまで見送った。
<どうか元気で幸せに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・>
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