異世界騒動記。「さて、一丁やる気だしますかね‥。」

桂木 鏡夜

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二章

四話「苦笑いするしかねぇよ‥。」

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 まず始めに俺は壁際に戻り、先の様に鮫の攻撃をいつでも避けれる様にするが、
今回は自分の頭より少し上辺りに大きな出っ張りのある場所を選んだ。

 そしてその出っ張りの岩に槍の塚を付けると俺は水中にまた顔を潜らせる。

 やっぱり!思った通りだ。

 先程もそうだったが、今も真下に潜り混んでいる事で確信した。

 此奴の捕食パターンは基本下からだ。

 どういう意味でそんな回りくどいやり方をするのかは分からないけど、間違いない。

 鮫はまた俺に視線を向けるように状態を起こす。

 そして来た。

 鮫がもの凄い勢いで浮上してくる。

 まだだ。まだ惹きつける。

 水中の中で脂汗というのも変かもしれないが、間違いなく背筋に恐怖という感情が重くのしかかる。

 成功するのか?これが無理なら俺に勝機は‥。いや、考えるな。

 今はこれしかない。

 動ける動けないじゃない。

 動くんだ!!

 そして鮫が口を開こうとしたその時に俺は槍を手放し壁を蹴る事でその場を離れた。

 ズゴァァァン!!!

 見事、槍は鮫の身体を貫き出っ張った岩に直撃。

「ギャォォォオ!!!」と鮫の断末魔の様な鳴き声を響かせ、ドバァンとまた水面を叩きつけた。

 俺の息は上がり、心臓はバクバクと激しい鼓動を打つ。

 殺ったか?

 頼む。頼む!!

 すると鮫は力尽きたのか浮上し、プカプカと浮き上がった。

 っし!!!よっしゃ!!

「よっしゃぁぁ!!!!」

 思わず歓喜の雄叫びを俺は洞窟内に響き渡らした。

 ふと気付くと、流されて辿りついたのか振り向いた先に陸に上がれそうな場所があり、横穴が見えた。

 俺は鮫が死んだか確認して「実話死んでません。」てな感じに噛まれても怖いので、急ぎクロールで陸に上がった。

「ふぅ。やっと一安‥」「ギュオォォオ!!!」ズバシャァ!!!!

 物音で焦り振り返るとさっきの鮫より更にデカイ鮫が俺の殺した鮫を加えて水面の上に跳ね上がっていた。

そしてその鮫はドバァン!!と激しい水飛沫を辺り全体に撒き散らし鮫を加えたままその場から姿を消した。

 俺は何故そうなったのかは分からないけど「ははっ‥」と苦笑いして膝を地に落とすと、暫くその場を動けなかった。

〇〇〇〇

 あれから数十分後。

 意識を取り戻した俺は横穴を確認する。

 縦横の幅は広くはないが、人2人が並んで通れるぐらいのスペースはあり、灯もキノコが照らしていて風が通っている事も確認できた。

 「先は‥あるみたいだな。」

 どうする?いや、どうするも何も行くしかないよね。

 他に道がないし。2つに道が分かれているより幾分かマシか‥。

 深い深呼吸を一回して、両手で自分の頬をパチンと叩き、前へと歩みだした。

 道中何も無くそのまま進むと、先に今よりも明るい場所が見えた。

 外?

 期待を膨らまし、その先に出ると、学校の体育館ぐらい開けた場所になっていた。

 真上を見上げると、天上には見た事もない程馬鹿でかいクリスタルが宙に浮いていた。

 そのデカさは俺と変わらないぐらいあって神々しいまでの輝きを放っている。

 辺りを見渡すと、壁に階段の様に岩が飛び出し、グルリと壁を伝う様にクリスタルにまで続いていた。

行ってみるか。

 俺は階段に足を掛けたが、一段一段の感覚が広く、飛び上がる感じになる。

 それに加えて足をつける場所が俺の足がギリギリ収まるぐらいで、かなり狭い。

 クリスタルまでの高さを考えると10メートルちょいぐらい。

 真上のクリスタルを見つめ一言呟く。

「落ちたら死ぬな。」

 そう言って俺はここでも苦笑いを浮かべた。

  特に面白い訳では無い。色んな感情が入り乱れてバグが発生して苦笑いするしかねぇんだよ。と、そんな感じだ。

 一段、一段。そのまた一段と飛び撥ねながら登っていく。

 徐々に慣れてきて、もっとスピード出してもいいかな?と考え始めた俺は忍者をイメージするかの様にビョンピョンと軽快に登り始めた。

 忍者かカモシカか?ガゼルパンチを生み出す訓練だ。一歩一歩踏みしめる。

 どんどんと思考があらぬ方向に逸れていき、日本で好きだったボクシングマンガを思い出し楽しみだした瞬間。

 ガコッ!と高さ8メートル地点で足場が崩れる。

「ぬぅおぉ!!」

 咄嗟に前のめりになり、前の階段にしがみつく事で落ちるのを避けた。

「危なぁ~。マジ焦った。調子こくとロクな事がねぇな。」

 ゆっくりと体制を立て直し、冷や汗を拭う。

 慎重に行こう。


 そしてクリスタルの前に辿りつくと、クリスタルは俺を前にしてキラリと輝きを見せた気がした。

 何となくだが「触れ」と促された気がして触れてみると、クリスタル閃光の如く光を放ち、辺り全体を光で埋め尽くした。

「合格じゃ。」

 聞き覚えのある声で俺は目が覚めた。



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