キャッツ

菫川ヒイロ

文字の大きさ
上 下
4 / 5

しおりを挟む





 最低の恋だった。
 私史上最低の恋オブザイヤーだった。
 二度と恋なんてしないと決めた。
 あんな糞野郎だとは思わなかった。
 
 
「意外と早く気付けて良かったじゃないか? ちんたらやっていたら他の女みたい
 に泥沼から抜け出せなくなっていたんじゃないかオブザイヤー? 」
 
 
 そもそも自分が何番目の女だったのかさえ別れた今となってしまっては分からな
 いのだが、おの女には六番目と言われたっけ? 私で六番目ならあの女は何番目
 だったのだろうか? 何番目の女に私は嫌味を言われたのだろうか? 私よりも
 上位だった? 下位だった? そこが寧ろ気になる。
 
 
「そもそも順位なんて付いている時点で負けなのんだよ、特別に成れていない証拠
 なんだから。そんなものを競ったって仕方がない」
 
 
 うるさいなと思うが、一々そうかもしれないと思ってしまうのはコイツの言った
 通りだったからで、今更そんな事を認める事も私には出来ない。だって化け猫で
 エロ猫のコイツよりも私が劣っているなんて信じたくないのだ。


 だからもう恋はしないって決めた。
 コイツの言う通りになってしまうのなら、恋をしなければいいのだ。
 そうすれば何もかもが上手くいくのだ。
 
 
「うん、分かるよ。現実逃避も時には必要だよね。それでいいんじゃないかな? 」


 何よそれ。アンタにしては甘口ね。
 もっと言う事あるんじゃないの? 
 どうせ後で言うんだから今言えばいいじゃない!
 
 
「まあ、君がすぐに恋をする事ぐらいは分かっているからね。それの邪魔をする
 つもりは無いんだ。あまり何かを言って君の機嫌を損なう事になっても困るから
 ね。君はそのままでいいんだよ? 」
 
 
 何目線で誰が言っている?
 ふざけるな、私はもう恋なんてしないって決めている。
 これは決定事項だから覆る事なんてない。
 分かったか、ばーかばーか。
 
 
「うん、いいと思う」


 何も良くなんて無かった。
 こんな時に私に優しくするなんて最低な奴だと思った。
 ほら、見た事かって、忠告しただろって言えばいいのに、誰が誰に気を使って
 いるのだろうか? こんなんじゃ私は泣くしかないじゃないか!
 
 
 




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

【完結】レスだった私が異世界で美形な夫達と甘い日々を過ごす事になるなんて思わなかった

むい
恋愛
魔法のある世界に転移した割に特に冒険も事件もバトルもない引きこもり型エロライフ。 ✳✳✳ 夫に愛されず女としても見てもらえず子供もなく、寂しい結婚生活を送っていた璃子は、ある日酷い目眩を覚え意識を失う。 目覚めた場所は小さな泉の辺り。 転移して若返った?!と思いきやなんだか微妙に違うような…。まるで自分に似せた入れ物に自分の意識が入ってるみたい。 何故ここにいるかも分からないまま初対面の男性に会って5分で求婚されあれよあれよと結婚する事に?! だいたいエロしかない異世界専業主婦ライフ。 本編完結済み。たまに番外編投稿します。

夜這いを仕掛けてみたら

よしゆき
恋愛
付き合って二年以上経つのにキスしかしてくれない紳士な彼氏に夜這いを仕掛けてみたら物凄く性欲をぶつけられた話。

慰み者の姫は新皇帝に溺愛される

苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。 皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。 ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。 早速、二人の初夜が始まった。

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

王女の朝の身支度

sleepingangel02
恋愛
政略結婚で愛のない夫婦。夫の国王は,何人もの側室がいて,王女はないがしろ。それどころか,王女担当まで用意する始末。さて,その行方は?

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

ぽっちゃりOLが幼馴染みにマッサージと称してエロいことをされる話

よしゆき
恋愛
純粋にマッサージをしてくれていると思っているぽっちゃりOLが、下心しかない幼馴染みにマッサージをしてもらう話。

処理中です...