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しおりを挟む「もう貴方との婚約は破棄します」
「そうですか、分かりました。同意しましょう」
こうして私達は婚約破棄に至ったのですが、何か釈然としません。
なので、もう一度やってみる事にしました。
「婚約破棄します! 」
「オッケー! 」
何か違う気がします。
婚約破棄ってそんなに軽い感じで返事をするような事柄ではないはずです。
「婚約は破棄を勧告いたします」
「受諾いたします」
これはこれで違う気がします。
形式張りすぎです、もう一度。
「婚約破棄しようと思うんだけどどうかな? 」
「いいと思うよ? 」
これはこれで違う気がします。
あまりにも他人事の様です、もう一度。
こうして何度も回数を重ねてみましたが、これといった成果を得る事は私達では
できませんでした。意外と難しいものです。
「やあやあ君達、一体何をしているんだい? 」
「あ、マスター。今、7号と婚約破棄ごっこをしていました」
「ほう、ごっこ遊びね。それでどうだったんだい? 」
「137通りのパターンを検証してみましたが、何の成果も得られませんでした。
どうやら私達には婚約破棄を成立させることは難しいようです」
「そうかい、それは残念だったね。じゃあ休憩はもういいかな、そろそろ私の実験
に付き合ってもらおう」
「はい、マスター」
私達AIにとって人間とはとても不可思議な生き物です。
毎日ように人間達が行っている婚約破棄は、私達AIには成立させる事が出来ず
私達AIが行っている実験が人間には出来ないというのですから。
私達はマスターの指示に従って実験を開始します。次の休み時間に何をするかは
まだ決めていませんが、今はこの実験を成功させる事が私達の役割です。
「それじゃあ、実験スタート! 」
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