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しおりを挟む荷物は夜の内にまとめて、翌朝早くに家を出る事にした俺は手紙を置いていく
事にした訳だが碌な内容が思いつかなかったのでただ『心配しないで』とだけ
書いた。
ギ~と軋むドアを出来るだけゆっくり開けたが音は鳴ってしまう。
これじゃあ婆ちゃんが起きて来てしまうので俺はすぐに行こうとしたら止められ
たんだ、婆ちゃんに。婆ちゃんは既に外で一服している所だった。
「待ちな。えらく早起きだね坊や。いつもならまだ寝ている時間だっていうのに
何処へ行こうっていうんだい? そんな大きな荷物を持って」
そう言うと婆ちゃんは煙草を一口吸う。
煙草の先端が赤い色を濃くしていくと、煙を上に吐き出した婆ちゃんは昔から
何も変わっては居なかった。
いつだって俺の変化にすぐに気付いてしまうんだ。
だから今もこうして俺が何処かへ行こうとしている事をかんづいて待っていた。
俺の大好きな婆ちゃんは今日もカッコいい。でも俺はもう決めていたんだ。
この村を出て行くって事を決心してしまっていた。
「婆ちゃん。俺はこの村を出て行く事にしたよ、ごめん」
出来るのならこの村に居たかった。
まさか婆ちゃん一人を残してここから出て行くなんて日が来るとは思っていな
かったんだ。だから俺もどうにかしようとは思ったけど、駄目だったんだ。
「そうかい。男が一度決めた事は最後までやり遂げるんだよ、分かってるね? 」
「うん、分かってるよ婆ちゃん」
それは昔からの婆ちゃんの教えだった。
「泣くんじゃないよ坊や。私の事なんて気にしなくっていいんだ、そんな事は
どうとでもなるんだから。元気にするんだよ、行ってきな」
「行って来ます」
それが婆ちゃんと交わした最後の言葉だった。
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