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「なんて事なの! あああああ」


 お母様はその場に泣き崩れてしまった。
 
 
「そうか、本当なのだな」


 お父様は天井を見上げる
 
 
「どうしてペリーヌが……、ペリーヌ、顔を見せて頂戴」

 
 お母様が私の震える肩を抱いてそう言うので、私は被っていた鉄仮面を取る。
 するとお母様はまた泣き出した。
 
 
「どうして、こんなに可愛いペリーヌを、どうして」


「もうよしなさい。ペリーヌ、今日は疲れただろう? 部屋でゆっくり休みなさい」


 私からお母様を剥がして、お父様がそう言ってくれたので、私は自室へ向かうが
 廊下にはお母様の鳴き声が響いていた。
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
 自分の部屋に戻り、私はベットに腰を下ろすとさっそく鉄仮面を磨いた。
 
 
 (嗚呼、落ち着くわ)
 
 
 鉄仮面を磨いている時間が私が一番安らげる時間だった。
 
 
 (私は何か間違った事をしたのかしら? )
 
 
 私は鉄仮面を磨きながら考える。
 
 
 (昆虫の採取が趣味だと言っていたロドン伯爵にカブトムシの幼虫を100匹程
  差し上げたのが悪かったのかしら? 1000匹にするべきだったのかも)
  
  
 それとも
 
 
 (私達を見て馬鹿にしてきた人の顎の骨を砕いのが悪かったのかしら?
  顎よりも目を潰すべきだったのかも)
  
  
 もしくは
 
 
 (襲って来た暴漢を魔法で消し炭にしたのがいけなかったのかしら?
  確かに少し臭いが気になったから氷漬けにすべきだったのかも)
  
  
 いろいろと考えてみても私が婚約破棄された理由は分からなかった。
 私は磨き終わった鉄仮面を台の上に置くと、ベットに横になる。
 
 
「恋愛って難しいものなのね」 
 
 
 それが私が出した結論だった。
 
 
 
 
 
 
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