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「ねえコバルト、私、ロドン伯爵に婚約破棄されましたわ」


 帰りの馬車の中で私がコバルトにそう打ち明けると、彼女は目を見開き、
 手で口を押えた。
 
 
「そんな! 嘘です、嘘ですよ、お嬢様! 
 この完璧なペリーヌお嬢様が婚約破棄なんて事がある訳ありません! 」
 
 
 コバルトが慌てる姿を見て私はようやく落ち着いて、冷静になれた。
 そうすると疑問が浮かんだ、
 
 
 (どうして私は婚約破棄されたのでしょうか? )
 
 
 考えてもまったく思い当たる事がないのだが……
 この完全無欠令嬢の私が相手で一体何が不満だったのだろう?
 
 
 もしかすると、今までの私の行動の中に何かその理由となるものが
 あったのだろうか?
 
 
 答えが見つからないまま、屋敷に着いてしまった。
 
 
 
 
 *****
 
 
 
 
 家に帰ってそうそう、メイド長のランドルが駆け寄って来る。
 
 
「お嬢様、旦那様がお部屋でお待ちです」


 ランドルのその神妙な態度に既に家にも連絡がきているようだった。
 私は小さく頷くとそのままお父様の部屋へと向かった。
 
 
 トントン
 
 
「お父様、ペリーヌです。入ってもよろしいでしょうか? 」


「嗚呼、入りたまえ」


 お父様のお許しがあったので部屋に入れば、そこにはお母様もいらっしゃった。
 お母様の目はすでに赤く腫れており、確実に伝わっているんだと確信する。
 
 
「お父様。私、ロドン伯爵から婚約を解消したいとの申し出をうけました。
 至らない娘で申し訳ありません」
 
 
 だから私はすぐに今日の出来事を報告した。





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