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しおりを挟む私はどうしてそんな事をされなければならないのかが全く理解出来なかった。
ミッコに叩かれた頬は今もジンジンしているが、そんな事よりも私にはこの女に
叩かれる覚えなどないからだ!
「何なのアンタ! 一体どういうつもりよ! 」
「ど、どういうつもりですって! ふざけないで! ボルラーは私の夫なのよ!
なのになのに、どうしてアンタの様な女に寝取られないといけないのよ! 」
ミッコはいきり立っていた。
確かに私はボルラーと寝たがそれが何だと言うのか? そもそも私達のこの関係
は今に始まった事ではないのだが?
「アンタ何を言っているのよ! 寝取ったとかどういう感覚してるの? バカじゃ
ないの! 」
「はあ? 何が馬鹿よ! アンタの感覚の方がどうかしてんじゃないの! 妻帯者
と寝るなんて普通じゃないわよ! 」
ミッコは何故かそんな事を言うので私は眉を寄せた。
「ねえ貴女、自分が何処に嫁いで来たのか理解しているの? 」
「王家よ! 何よこの女狐! 目的は何よ! 」
「目的って貴女何も分かっていないのね? 王家に嫁ぐって事がどういう事かも
理解せずに来たっていうの? 頭の中、お花畑なんじゃない? 」
私がそう言えばまた頬を叩かれた。
「何? 結局暴力しか振るえないのね。アンタは正妻で私は側室、それだけの事で
しょうに? そんな当たり前の事すら理解出来ていないなんてボルラーが不憫で
仕方が無いわ。だから最近よく私の所に来るのね、可哀想なボルラー」
「何よ! そんなのおかしいでしょ! 」
きっとこの女は勘違いしている、王家に入ったからといって自分が特別になった
とでも思っているのだろう。そんな事、ある訳がないというのに。
「何もおかしくはないわ。むしろアンタの考え方の方が異端なのよ! これが理解
出来ずにいるのならアンタはここに居るべきじゃないわ! ここはそういう場所
なのだから。アンタみたいな小便臭い娘が居ていい場所じゃないのよ? アンタ
が求めているハッピーエンドなんて此処には無いの、分かったお嬢ちゃん? 」
するとまたミッコは私の頬を叩き、睨みつけて来た。
これで三回目である。さすがに私も我慢の限界である。
「そう言えばボルラーがよく言っているわ、アンタとするのは全然楽しく無いって、
ただの人形としているようだって言ってたわ。だから私がアンタの代わりに楽し
ませてあげているのよ? アンタは私に感謝すべきじゃないの? 碌に男を満足
させてあげれないアンタのおかげで私は毎晩大変よ。
そうだわ、アンタにボルラーの喜ばせ方を教えてあげてもいいわよ? ボルラー
ってね、ああ見えて意外と可愛い所があるの知ってる? 」
「うるさい! アンタなんか、アンタなんか、もうここに居られないようにして
やるんだからね! 」
そう言って逃げ去って行くミッコを見て私はあの女がここではやって行けない
事を悟った。
私は結局、王宮から追い出される事もなく自分の役目を果たしている。
あれからミッコは一切部屋から出て来る事は無くなり、時より聞こえる奇声に
まだ生きているのだという事が確認出来た。
勘違い女の成れの果てなどそんなものである。
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