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お前の愛は如何ほどだ!
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しおりを挟むスーリアはその日もいつもの様にまた、何かプレゼントを貰うのだろうと思い、
今日は何が貰えるのかを予想しながら婚約者のホッコラ子爵との
待ち合わせ場所に行くのが彼女の中での最近のブームとなっていた。
しかしそれは、その日で終わってしまった。
もうホッコラ子爵からは何も貰えなくなってしまったのだ。
そう、彼女はもう婚約者ではなくなったのだ。
「スーリア、君との婚約を破棄させて欲しいんだ! 」
その言葉を聞いてスーリアは眉間に皺を寄せた。
一体これはどうした事だ? この男は何を言っているんだ?
スーリアは理解出ず、ホッコラ子爵に聞いた。
「どういう事よ」
すると子爵はこう答えた。
「真実の愛を見つけたんだ! 」
嬉しそうに言う彼に彼女はイラっとしたが、
そこで話は終わらずに延々と新しい女の話をし出したのだ。
「こんなに愛らしい人は初めてなんだ! 」
限界だった。どうして私がこんな話を延々と聞かなければならないのか?
だから彼女は言う
「うっさい、死ね! もういいわよ、二度と私の前に現れないで! 」
スーリアは捨て台詞を吐いてその場を去った。
*****
家に帰ってもスーリアのイライラは治まらず物にあたっていたが、
ちょうど目に入ったのはプレゼントをしまっていた箱だった
ホッコラ子爵から贈られたアクセサリーの数々がこの中にしまってあった。
「これは僕の君への愛さ」なんて言っていたのは一体何だったのだろうか?
そしてスーリアは思い付く「お前の愛は如何ほどだ! 」と
*****
スーリアは質屋へと来ていた。
ホッコラ子爵から贈られたアクセサリーの数々が一体如何ほどになるのか
楽しみだった。
子爵からの贈りもなのだ、それなりの値段にはなるだろう。
でもスーリアはそれはすぐに使ってしまおうと決めていた。
一気にパーっと使ってしまって、全てを忘れようと思っていた。
なのに、それなのに……
「これはちょっと買い取り出来ませんね」
「えっ、どうして? 」
「全部、偽物です」
「偽物? 全部? 」
「はい。ですから買い取りの方は出来ません。申し訳ありません」
スーリアはぶちキレた。
*****
「ちょっと、困ります。勝手に入られては」
メイドたちの制止も聞かずに、スーリアはどんどん進んで行き、
目的の部屋の前に辿り着くと、ドアを蹴破った。
ドーン!!!!!
部屋の中ではホッコラ子爵が新しい女とちちくりあっている最中だったが、
そんな事は関係ないのだ。
「おい、てめー、この、糞ヤローが! 」
そう言いながらスーリアは貰ったアクセサリーを投げつける。
「何が、君への愛だ! 偽物じゃねーか! 無価値で、値段がつかねーってよ、
愛には値段がつけられないってか!
うまい事言ってんじゃねーよ、糞ヤローが!
慰謝料きっちり払ってもらうからな! 」
スーリアは言うだけ言うとさっさと帰る。
あんな奴の顔など二度と見たくなかったからだ。
*****
後日、慰謝料を貰ったスーリアはその金額を見て溜息をついた。
「愛ってプライスレスなのね」
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