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菫川ヒイロ

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それでも結婚してくれますか?

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「どうしてなんだい? 」


 本当なら喜ぶ場面だった。
 でも私にはもうそれが出来ない。
 だって私は……
 
 
「理由を聞かせてはくれないか? 」


「私はもう、貴方の知っている私ではないの」


 そう言ったって彼が納得なんて出来るとは思わない。
 でも、それがきっと正しい表現だった。
 
 
「ねえ、これを見ても貴方は私と結婚したいって思う? 」


 私は右手を前に出した。
 
 
 出した右手をひっくり返す。
 
 
 もう一度、もう一度、もう一度、
 
 
 ウィイーーーーーーン!
 
 
 音を立てて回り出す私の右手はすっかりドリルと化していた。
 
 
 彼は目を見開き、ドリルと顔を交互に見る、そして言った。
 
 
「掘削が出来そうだね」


 私は溜息をついた。
 そういう問題じゃないと。
 
 
「ねえ、ここ、押してみて」


 私は自分の眉間を指を差す。
 
 
「うわ! 」


 彼が私の眉間を押せば、私の目がライトのように光った。
 
 
「ね? 」


「暗闇でも遠くを見渡せるじゃないか! 」


 私には彼がどうしてそんな事を言えるのかが理解出来ない。
 どう考えたっておかしいのに……
 目が覚めて改造されている事を知った時、私がどれほど……
 
 
 どうして分かってくれないのだろう?
 
 
 私は右手で地面を掘削して見せた。
 どれだけの威力があるのかを彼に教えてあげる為に。
 これを見ればきっと彼も分かってくれるはずだと思って掘削したら
 
 
 ドコッ!
 
 
 地面が落ちてしまった。
 
 
 そして、私達は地下に生き埋めになってしまう。
 
 
「うわ! 」


 彼は同じリアクションを取って私の眉間を押したかと思ったら
 
 
「良かったよ掘削出来る君がいて」

 
 私には結婚出来ない理由があると、その時思ったのだ。
 
 








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