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婚約破棄、失敗!
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しおりを挟む「貴方との婚約は破棄させてもらうわ! 」
私は声高らかに言った。
当然である。
だって私には運命の相手が見つかったのだから!
「え、本気なのかい? 」
彼はどうやら相当驚いているようですが、もちろん本気です。
今更何を言われようとも私の心は変わりません。
もう遅いのです。
「ええ、本気よ。止めたって無駄なんだからね! 」
「そうか、それなら仕方が無いか……」
彼は何やら考え込んでいるようですが、もう私には彼の今後の事など
どうでもいいのです。
「じゃあね。私はこれから行く所があるから。もう二度と会う事も無いでしょう
けど、まあ貴方も良い相手が見つかればいいわね」
最後にそんな言葉は彼にとって優しすぎたでしょうか?
勘違いされても困るけど、でもまあ最後くらいはいいでしょう。
*****
「ねえ、何してるの? 」
私は聞きます。
「誰よ、その女! 」
「何? アンタこそ誰? 」
どうしてこんな事になったのでしょうか?
私が運命の相手だと思っていた相手が浮気をしていました。
相手は私。
どうやら私は本命ではなくて、浮気相手だったようです。
それなのに私はあんなに浮かれて、馬鹿みたいです。
こんな男、全然運命の相手ではありませんでした。
*****
「ちょっとどういうつもりなの? 自分の事しか考えていないの? 」
家に帰れば母に問い詰められます。
婚約を破棄した事が伝わったのでしょう。
でも私は今、そんな気分ではないのです。
「ちょっと後にしてくれる? 私、今そんな気分じゃないの」
「気分? 何が気分だ! こっちはお前の気分の所為でどうなっているのか
分かっているのか! よりにもよってこんな時に、我が家はもう終わりだ!
お前の勝手の所為で、もう何もかも終わりなんだよ! どうしてこんな……」
「あなた……」
どうしてこんなにも私の両親が怒っているのかが私には理解できず、たかが
婚約破棄程度でと思っていた私に、メイドが教えてくれました。
私の婚約は借金のカタだったという事を。
「そ、そんな事知らないわよ! どうして私がそんな事になっているのよ! 」
「何を言っている? 寧ろどうして知らなかったんだ? 」
「みなさん、落ち着いて下さい! 」
*****
「どうしたんだい? 」
「いやあ~、あのね。昨日の事なんだけど無かった事にしてくれないかな?
何かいろいろと誤解があったみたいなのよ。 ほら、私ってそそっかしいからさ
あんな事、言っちゃったけどさ。間違いだったのよ」
私はメイドが言うようにとりあえず彼の元へ謝りに来た。
まずは謝罪をして私が悪かった事を認め、どうにか返済を許してもらえない
かを頼みに来たのだ。
「婚約破棄の事かい? 」
「そう、そうよ。私には貴方しか居ないわ! でも、こうなってしまった以上
貴方が嫌だと言えば私はそれでいいの。でも、でもね? 返済の方はどうにか
出来ないかしら? このままだと私の家が潰れてしまうのよ。だから、お願い!
ずうずうしい事を言っているのは分かっているけど、どうか私に免じてお願い
します」
私はこの日、初めて土下座というものをした。
「う~ん、無理かな。もう決まった事だから僕にはどうしようも出来ないよ。
君は悪い人ではないとは思うけど、あまりにもがさつ過ぎるよ。
次、婚約相手を探す時はおおらかな人を見つけたらいいんじゃないかな? 」
結果、どうにもならない事が確定した。
どうしたらいいものか? どうすれば家は助かる?
でもこの感じならワンチャンあるかもしれないな。
私は少しだけ淡い期待をする。
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