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先手必勝
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しおりを挟む恋をするのに躊躇いや躊躇などしていてはダメだと私は思っている。
だから、理性など無視してしまった方がいいのだ。
もっと動物的な感覚だけでいい。
そうして私は恋をして来たし、これからもしていくのだ。
例えば。
ここに私と彼女と彼が居たとして。
私達が二人とも彼に想いを寄せていたとしたなら。
私は迷わずに彼にキスをするだろう。
そうする事で私が主導権を握る事が出来、
なおかつ、彼を独占する事が出来るのだ。
先手必勝。
それが何より大切な事だ。
*****
パチンッ! と大きな音がした。
私は驚いてしまって目を丸くしていた。
そしてじんわりと頬の痛みを感じて、自分が打たれたのだと悟った。
私は自分が間違った事をしたとは思っていない。
こんなにも私は彼が好きなのだとただ、表現しただけだった。
なのに、どうして打たれないといけないのか?
「なんて事をしてくれたんだ! 」
彼は激高した。
「何って、キスしたのよ。それだけ。私は貴方が好きだからキスをしたの」
私は頬の痛みを感じながら説明した。
「ふ、ふざけるな! キスだとかそんな簡単に……初めてだったのに」
どうやらファーストキスだったらしい。
どうりでサクランボの味がした訳だ。
「舌なめずりするのは止めろ! 最悪だ。こんなはずじゃなかったのに」
頭を抱える彼に私は聞く。
「泣いているの? 」
「泣いてない! こんな事くらいで泣いたりなんかしないんだ僕は! 」
「なんだ、やっぱり泣いてるんじゃない。そうよね、泣くほど嬉しかったのよね。
でもこれからはその程度じゃすまない程、貴方を歓喜させてあげるわ! 」
私の中で沸々と湧き上がってくるものがある。
そう、恋ってこういうものよね。
そして彼は私に最高の言葉をくれるのだ。
「アナタノコトガキライデス」
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