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完結
帰宅後の憂鬱
しおりを挟む私は22歳のOL。
最近アパートに住み始めた。
けど、この部屋って可笑しいのは気の所為?
私にはハッキリ見える。
いつも仕事から帰ってくると、おかしな生き物がいるのだ。
『ただいま~。』
あぁ、疲れた。
最近疲れすぎてんのかなぁ。早く寝よ。
『おぉ、もう帰ったのか!今日は早かったのう!』
うん。確実に疲れてる。幻覚見えてるし。
現在、私の目の前には頭の上に輪っかのある、歳は私と同じくらいの男が立っている。
2日前からこの状態なのだ。
この男は自称『天使』らしい。
どう見ても怪しいけど。
不審者がいるので追い出そうとしても戻ってくるし、通報しても誰もいないと言われてからもう諦めているけども。
だから無視する事にした。
『無視するでない!』
無視無視。これは幻覚だ。
『おーい!ワシが見えておるのじゃろ?』
無視無視無視無視無視無視。
『おい!そこの女!!』
無視無視無視ムシムシムシムシムシムシムシ……
『おーい!そこの老女!』
『そんな年じゃないわ!!』
『ほら!やっぱりワシがみえておるのじゃな!!』
『うん、見えてたよ。毎日ウザイもん。』
『ならなんで無視するのじゃ!!』
『いや、自分の部屋に怪しい人物いるんだよ?しかも天使とか名乗ってるんだよ?怪しすぎるわ。』
『……まぁ、そうじゃな。だが、ワシは不幸せな人間を幸福にするために降りてきたのじゃ。』
『おい、勝手に不幸せとか言うな。』
『けど、不幸せ何じゃ無いのか?報告書によると、かなり不幸せだと聞いたのじゃが……』
報告書とかあるんだ。
意外と天使ってしっかりしてんだな。
『まぁそうだよ。22にもなって彼氏はできてないし、上司からのストレス受けまくりだし。今まで生きてて楽しかったことなんてほとんどないけど!!』
『可哀想じゃな。』
『余計なお世話。』
もうなんなの。可哀想だと思うなら帰って欲しい。
ストレスたまるから。
『ていうか、なんでそんな喋り方なの?私と年齢同じくらいじゃん。』
『何を言うか。ワシはこう見えてもピチピチの306歳じゃぞ!』
『年寄りじゃん。ていうか、日本語間違ってるし。勉強し直せ。』
どっからどう見ても20代でしょ。
体は20歳中身はジジイ、その名は!(以下略)
『なっ!!ワシにそんな口を聞くなど、天罰がくだるぞ!!』
いや、もう今までの人生のが既に天罰な気がするわ。
『ホントに天使なの?』
『ホントだと言うておる!!』
『ならさ、私に1億ちょーだい。』
『そんな、ずば抜けた願いは聞けないのじゃ。』
なんだよ、何でも叶えてくれないの?
『なら、イケメンとウハウハしたい。』
『それも無理じゃ。他の人を自分の欲望に巻き込むなど、イケメンが可哀想じゃろ。』
おい、地味に私を貶してるよ。
『なら、すっごい美人になりたい。』
『それも無理じゃ。生まれ持ったものは変えられん。』
なんも出来ないじゃん。
『じゃー何が出来るの?』
『ふふっ、ワシはな、花を咲かせることが出来るのじゃ!』
ドヤ顔でそんなことを言う自称天使。
だけどね、ストレス溜まりまくりのOLには逆効果。
『帰れ。今すぐどっか行け!!』
『うわっ!!危ないではないか!!包丁はやめろ!!』
『別に生きてないんなら死にもしないでしょ。』
『えーいっ!!』
すると、私の部屋の真ん中に可愛いチューリップが咲いた。
『ほら、これで幸福な気持ちになったじゃろ?』
『うん、私すっごく幸せ………ってなるかぁ!!』
余計に不愉快になった私は包丁を振り回す。
『うわー!!!』
結局天使は私の部屋から出ていった。
全く、何だったんだあいつは。
翌日。別の何かがいたのは別のお話。
【完】
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