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ヒナ×ヒカル×レイ×ユウキ
悪夢。
しおりを挟むなぁ、嘘だと言ってくれ。
嘘だよなっ……なぁ、ヒナ。
『ヒカル、私ね、彼氏が出来たの。』
聞きたくない言葉をヒナは笑顔で口にした。
誰だ。
俺はヒナの肩を揺さぶって問い詰める。
『誰だよ相手は!てか、まず俺が認めねぇ限り許さねぇ!』
『なんでヒカルの許可を得なきゃいけないの。』
そんなの決まってる。俺が納得しないからだ。
絶対許さない。
『ヒナちゃんソイツの名前は?』
『何で教えなきゃいけないの。』
何でって、消すんだよ。
いくらヒナが選んだ男でも俺よりいい男じゃないと許さない。
いや、いい男でも許せない。
『なんで好きになったんだよ。』
『だって、優しくて、かっこよくて、私のことを一番大切にしてくれるもん。』
よし、殺す。
絶対殺す。何が何でも。
俺は名前も分からないソイツを頭の中で5回は殺した。
『それなら俺でもいいだろ!?』
そう、口から本音が出た。
けど、ヒナはこう言った。
『私ヒカル嫌い。だって、怒るし、ナルシストだし、変態だし。鬱陶しいもん。』
ヒナはいとも簡単にそう言った。
……ヤバイ。死にそうだ。
ていうか、自殺したくなってきた。
だって俺にはコイツしかない。俺にとってヒナは全てで、嫌われたら……おしまいだ。
やべぇ、涙が出てきた……。
◇◆◇◆
『ヒカルー!おーい、今日パフェ行こうって言ったじゃんっ!……え、泣いてる……?』
『っ!……はぁっはぁっ……』
息が苦しくて、苦しくて、そしたら目の前にはヒナが居て。
さっきのが夢だとわかった。
けど、不安で。
思わずヒナを抱きしめた。
『……ヒカル!?ど、どうしたのっ?てか、泣いてたの?』
『……うっせぇ。泣いてねぇよ。』
本当に女々しくて、頼りないし、心の狭い男だよ。
俺は。
でも、どうしようもないくらい、ヒナが好きだ。
お前が選んだ男を素直に受け入れられない、最低だ。
多分、そんな奴が現れたら殺しはしなくても、ソイツの事を恨むことになりそうだ。
ぁあ、俺ってこんな駄目人間だっけ?
けど、お前しかいないから、お前が全てだから。
……どこにも行って欲しくない。
整った顔してるくせに、子供っぽいところとか。
ワガママで、ちっさいことで大はしゃぎするとことか。
全部好きだから。
『ヒカル……?』
『……もうちょいこのままいろ。』
今の関係が壊れるのは嫌だ。
でも、いつかこの気持ちは伝えたい。
俺以外の男の事を選ばないで欲しい。
そんな身勝手な事を思ってしまうことは、許して欲しい。
そんな悪夢を見た日のことでした。
【完】
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