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完結
隣のフェミニストがしつこい件について。
しおりを挟む言っておくが私はバカが嫌いだ。
理由はバカが伝染ると嫌だから。
しかし、こないだの席替えで私の隣は……。
『先生。この間の席替えの件についてですが、もう一度やり直しては頂けませんか。』
『鈴木。お前の言うことはできるだけ聞いたろ?』
『おかしいですよ。あのクジはクラスの人数の30本。そして、その中から1人ずつ、無作為に抽出した。なら、3回もクジ引きをして私とあのバカが、3回も同じになるなんて有り得ない。』
有り得るわけない。
『……まぁ、固く考えるな。仕方ない、諦めろ。』
『イヤです。もう一度全国で1位を取るので席を変えてください。』
『だめだ。』
……くそ。
あと3ヶ月もこの、奇跡的バカの隣なんて、絶対に嫌だ。
『ねぇ、スーちゃん。』
『……。』
聞こえていない。
何も。
『スーちゃん!』
『……。』
『すみれ……♪』
『気安く呼ぶな!!』
『ハハッ。やっと返事してくれた♪』
うざい。果てしなくウザイ。
『喋りかけないで、バカが伝染る。』
『バカって伝染るもんじゃないよ?そんなことも知らないなんてスーちゃんってバ』
次の一文字をいう前に睨む。
『……じょ、冗談だから怒らないでよ~♪』
私はバカと言われるのが大嫌い。
けして、こんなヤツとは一緒にされたくない。
『ねぇ、まだ俺のこと好きにならない?』
『その言葉は今で136回目ね。同じことを何度も聞いてくる不快極まりないヤツの事なんか好きになるわけないでしょ。』
『えーっ。』
『大体ね、アンタは需要と供給が分かってないわ。』
『何それ美味しいの?』
ほらね、バカと話してたら話が容量を得なくて私の身が持たない。
『だから、、、アンタがスーパーの店長とする。で、私がお客さん。アンタはたくさん買ってもらいたい。けど私は求めてはいない。つまりね、アンタがどんだけアピールをしてこようと、客である私がソレを求めない限りアンタは儲けが無い。だからアンタがしてる事は無意味なの。』
『ねぇ、アンタって呼ぶのやめて。俺の名前はカイトだし~。』
……コイツ!
私の説明聞いてたのかよ!
『ならさ、俺が今度のテストで90点以上取ったらキスして?』
『ふっ。バカね。無理に決まってるわ。だってバカだもの。アンタは今まで2桁も取ったことないのよ?』
『いいから、約束っ!』
絶対無理だわ。
『でもそれじゃ、不平等条約でしょ?アンタだけしか得しないし。』
『じゃ、俺が負けたら学校辞める。』
『いいわ。じゃ、条約を結んであげる。』
よっし。
コレでようやく来週からこの、奇跡的バカの顔を見なくて済むわ。
この時の私の考えは甘かった。
◇◆◇◆
『……うそ…でしょ。』
『ヤッター!スーちゃん見てみて!』
今私の目の前にあるのは100点の解答用紙。
私の持っているのは98点。
……うそ。
夢だよね!?
こんなこと!あるわけないっ!!
『じゃ、スーちゃんの唇もーらいっ♪』
『ちょっと待って!』
私は周りに誰もいないことを確認する。
いい?スミレ。キスなんて肌と肌の接触よ。
手を繋いでるのと変わらないから。
大丈夫……。
『何赤くなってんの♪』
『なってないわよっ!』
熱い。
体や顔が火照るのが鏡を見なくても分かる。
もうこの場から消えてしまいたいくらい恥ずかしい。
『……んっ』
静かに唇が触れる。
私はその柔らかい感触に驚くも、我に帰り唇を離そうとする。
しかし、強い力で頭を押さえられる。
『……ふっ……んっ……か…いとっ……』
苦しさと恥ずかしさに涙を浮かべると、相手はニヤリと笑い舌を入れてきた。
刹那、私の体に快感が走る。
気持ちとは反対に体は反応する。
『ふふっ、可愛い。』
やっと唇が離れ、私は酸素を思いっきり取り入れる。
『はぁっ……はぁっ……』
『……どうっ?惚れた?』
『……惚れるわけ……ないでしょ。』
しかし、言葉とは逆に私の気持ちはすでに何かでいっぱいになっていったのだった……。
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