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15 誤解
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蓮は場所を桜介の家か、蓮の家にしたがったが安藤の指示のもとデートの待ち合わせの人気スポットを指定した。
そして待ち合わせ当日になったが、桜介自体は待ち合わせに行かないので前日までどうしたものかと考えていた。
安藤の逆プロポーズがうまくいくのか、いかないのか。
桜介との約束の場所に安藤がいることに対して蓮がどう思うのか。
いろいろ考えてしまって仕事は手につかないだろうと、今日は大人しく家にいることにした。
桜介は飲み物とポテトチップスを手にテレビの前に座り込み、新たに借りてきた映画のDVDをセットした。
流れ始める映画を見るとはなしに見ていると、うとうとし始めた。
この1週間、今日という日を迎えるのが憂鬱でよく眠れていなかったからだ。
映画の中では派手なアクションが繰り広げられているが、その爆発音すらも心地よい子守唄に聞こえ始めた頃、玄関の方でチャイムが鳴った。
桜介はいつもの通り来客の予定はないので無視を決め込みベットに寝そべると”レン”を抱えて本格的に寝る体制に入った。
ドンドンッ!!
ドアが激しく叩かれ出し、桜介は飛び起きた。
ーーなんだよ。人がせっかく気持ちよく眠りそうになってるってのに。どうせ部屋間違ってんだろ
相手が誰であれ、一言文句を言ってやらねば気が済まないと、桜介は玄関へ向かった。
「あのね、部屋お間違えじゃないですか。というか昼間でも寝てる人だっているんで……蓮さん……なんで」
文句を言いながらドアを開け顔を見上げると、そこには桜介を見下ろす蓮の姿があった。
「待ち合わせしてたのに悪びれもなく寝坊か」
冷たい声だった。
「や、寝坊とかじゃなくて、その、待ち合わせ場所にはちゃんと居ただろ。蓮さんの彼女さん」
「今俺に彼女なんていねぇよ。あのクリスマス前に別れた彼女以来恋人はいねぇ」
「だ、だって安藤さんって人が付き合ってるって言ってたよ」
「安藤洋子はストーカーだ。一度道案内をしたら変に好かれちまって付き纏われてたんだよ」
「そんな、だって俺、蓮さんがその人と仲良く歩いてるところ……の写真を見たんだ」
「だからそれが道案内してる時だろ」
「そんな……」
ーーじゃあ、俺ってストーカーのためにわざわざ蓮さんを呼び出して、蓮さんを危険な目にあわせたってこと?
「ご、ごめんなさい。俺、勘違いして」
どう謝ればいいのかと、しどろもどろになりながらも何とか謝罪の言葉を伝えると、蓮は大きく息を吐いた。
ーー呆れられた……。そりゃそうだ。だって警察官の蓮さんからしたら俺の行動なんて馬鹿以外の何者でもない。
「ごめんなさい、本当に」
「……いや、分かってくれたならいいんだ。じゃあ、言っておいた大事な話をしたいんだが、部屋に入れてくれるよな?」
有無を言わせないその声音に、蓮と桜介がいまだに玄関先で話していたことに気がつき、桜介は慌てて横にずれ、蓮が部屋の中に入れるようにした。
そして待ち合わせ当日になったが、桜介自体は待ち合わせに行かないので前日までどうしたものかと考えていた。
安藤の逆プロポーズがうまくいくのか、いかないのか。
桜介との約束の場所に安藤がいることに対して蓮がどう思うのか。
いろいろ考えてしまって仕事は手につかないだろうと、今日は大人しく家にいることにした。
桜介は飲み物とポテトチップスを手にテレビの前に座り込み、新たに借りてきた映画のDVDをセットした。
流れ始める映画を見るとはなしに見ていると、うとうとし始めた。
この1週間、今日という日を迎えるのが憂鬱でよく眠れていなかったからだ。
映画の中では派手なアクションが繰り広げられているが、その爆発音すらも心地よい子守唄に聞こえ始めた頃、玄関の方でチャイムが鳴った。
桜介はいつもの通り来客の予定はないので無視を決め込みベットに寝そべると”レン”を抱えて本格的に寝る体制に入った。
ドンドンッ!!
ドアが激しく叩かれ出し、桜介は飛び起きた。
ーーなんだよ。人がせっかく気持ちよく眠りそうになってるってのに。どうせ部屋間違ってんだろ
相手が誰であれ、一言文句を言ってやらねば気が済まないと、桜介は玄関へ向かった。
「あのね、部屋お間違えじゃないですか。というか昼間でも寝てる人だっているんで……蓮さん……なんで」
文句を言いながらドアを開け顔を見上げると、そこには桜介を見下ろす蓮の姿があった。
「待ち合わせしてたのに悪びれもなく寝坊か」
冷たい声だった。
「や、寝坊とかじゃなくて、その、待ち合わせ場所にはちゃんと居ただろ。蓮さんの彼女さん」
「今俺に彼女なんていねぇよ。あのクリスマス前に別れた彼女以来恋人はいねぇ」
「だ、だって安藤さんって人が付き合ってるって言ってたよ」
「安藤洋子はストーカーだ。一度道案内をしたら変に好かれちまって付き纏われてたんだよ」
「そんな、だって俺、蓮さんがその人と仲良く歩いてるところ……の写真を見たんだ」
「だからそれが道案内してる時だろ」
「そんな……」
ーーじゃあ、俺ってストーカーのためにわざわざ蓮さんを呼び出して、蓮さんを危険な目にあわせたってこと?
「ご、ごめんなさい。俺、勘違いして」
どう謝ればいいのかと、しどろもどろになりながらも何とか謝罪の言葉を伝えると、蓮は大きく息を吐いた。
ーー呆れられた……。そりゃそうだ。だって警察官の蓮さんからしたら俺の行動なんて馬鹿以外の何者でもない。
「ごめんなさい、本当に」
「……いや、分かってくれたならいいんだ。じゃあ、言っておいた大事な話をしたいんだが、部屋に入れてくれるよな?」
有無を言わせないその声音に、蓮と桜介がいまだに玄関先で話していたことに気がつき、桜介は慌てて横にずれ、蓮が部屋の中に入れるようにした。
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