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6 デート2
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ご飯を食べ終わり、出口まで向かう途中の土産屋に寄った桜介は、そこで抱き枕ほどの大きさのマグロのぬいぐるみに目を奪われた。
ーーこれ、欲しいな
桜介はどうしてもそのぬいぐるみを手に入れたくなり、違う場所で土産を見ている蓮にバレないよう会計を済ませた。
蓮にバレると買ってくれると言いそうだからだ。
本当の恋人にあげるのにも中々に躊躇しそうな価格のどでかいマグロのぬいぐるみなど贈られた日には、桜介は申し訳なさで死にそうになりそうだ。
土産屋を出たところでぬいぐるみを嬉しそうに抱えている桜介を見た蓮は、案の定不服そうな顔をした。
「それくらい買ってやるのに」
「いいんだ。これは俺が自分で買いたかったんだから。でもありがとう」
「そうか」
水族館を出た2人はしばらく海沿いを歩いた。
無言でいる蓮に桜介も無言でいると、蓮は近くにある観覧車を指さした。
「あれ、乗っとくか」
「えっ!?」
「観覧車。今日はデートだし。いやか?」
「えっ、嫌なわけない!! 乗る!!」
「ふっ。そうか」
微笑む蓮を見て桜介の心臓はバクバクと騒々しい。
「あっ、けどこんな大きなぬいぐるみ抱えた男が観覧車って、まずくない?」
「まずくなりだろ。そりゃなんかの犯罪になるのか?」
「犯罪にはならないと思うけど」
「じゃあ問題ないな。むしろ俺の方が若いお前と乗って犯罪臭く見えないか不安なくらいだ」
「蓮さんだって若いじゃん! 大体俺、蓮さんが犯罪臭く見えるほど幼くないし」
「ははっ、どうだか」
「えっ、それどう言う意味だよっ」
そんな言い合いをしているうちにも、蓮はさっさとチケットを買い、並ぶ事もなくゴンドラに乗り込んだ。
「わあ、高~」
桜介はゴンドラの中に蓮と2人切りだと思うと緊張して、いつもよりトーンが高くなった。
「見て! すごいっ、めっちゃ夜景だ」
「めっちゃ夜景ってなんだよ」
「めっちゃ夜景は、めっちゃ夜景だよ! 夜景って綺麗なんだなぁ」
「そりゃあ良かった」
「本当、今日はありがとう。結局ご飯まで払ってもらっちゃったし、この観覧車のチケットだって。それに今までで一番楽しかったしめっちゃいい思い出になった。本当にありがとう。それでさ、都合いい奴って思うかもしれないけど、もし嫌じゃなかったらこれからも前みたいにたまに飲むとか出来たら嬉しいんだけど」
「ああ、もちろん。俺だって桜介と関係が切れるのは嫌だからな」
もし嫌じゃなかったらと、断りづらい言い方で言ったはいいものの、桜介は不安でいっぱいだったのでいつもと変わらない蓮の声に、ドッと肩の力が抜けた。
ーー良かった。振られても、これまでみたいに近くにいる事を許してくれるんだ
それからは桜介は安心して、窓の外の景色を堪能した。
ーーだけど俺は、蓮さんが誰かと結婚して誰かを特別に思って、誰かを大切にする姿を側で平気な顔をしていられるんだろうか
家の近くの駅で、蓮と別れてから家に帰り着いて、買って来たぬいぐるみをベットに置いて落ち着けば、桜介の中にはまたそんな不安が湧き上がって来た。
ベットに潜り込み、マグロのぬいぐるみに抱きつく。
本物と同じくらいに感じる大きなマグロのぬいぐるみに、桜介は名前をつけることにした。
「レン、は、流石にきもいかな……けど、別に誰が知るわけでもないし、いっか。よし! お前はこれからレンだよ。よろしくな」
それから、桜介と蓮は今までと同じくらいの頻度で飲みに出た。
蓮は彼女と別れてしまったけれど、桜介はあれから蓮にお弁当を作るのをやめたので、月に2回の飲みの日は、桜介にとってとても貴重で特別な日になった。
ーー
「そりゃ、気使うよな」
桜介はボソリと呟き、日本酒の入ったお猪口に口をつけた。
桜介が告白して以来、蓮は自分の恋愛について語らなくなった。
それが振った相手の前での最低限のマナーなのだと思うものの、桜介は気を使わせてしまっているだろうことに心苦しい気持ちになっていた。
「何が気使うって?」
「なんでもない」
「おいおい、教えてくれたっていいだろー?」
「店長、何で隣に座るの? 仕事中でしょ」
また1人で飲みに来ていた桜介の隣には、ここTENTの店長の佐々木が座ってきた。
「今日はもう上がりなの」
「店長なのにいいのかよ」
「店長が出ずっぱりじゃなきゃいけないなんて、それなんてブラック企業?」
「上がったなら、何で俺の隣に座るんだよ」
「だから前から言ってるじゃん。俺、桜介くんに本気なんだって」
「俺は……好きな人いるから無理だよ」
「それってこの前言ってた振られたって人?」
「そーだけど、そんなはっきり言わなくっても」
「はは。ごめんごめん。でも振られたってことはもう脈はないって決まってるわけじゃん? 次に行った方がいいと思うけど」
「俺は店長みたいに簡単に気持ち切り替えたり出来ないんだよ」
「そっか。こりゃ先は長いかな?」
「長いもなにも、俺は無理だよ。もう8年も片思いしてんだから、今更振られたくらいで次に行けたりなんかしない」
「8年!? そりゃ簡単にはいかないか…………じゃあさ、1回だけデートしてよ。そんで楽しかったら次を考えるんでいいから!」
いい加減、しつこくて桜介はうんざりしていた。
ーー大体、無理だって言ってるのにデートなんて
そこまで考えて桜介はハッとした。
ーーこれって、まるっきり俺じゃん。そっか、店長は俺なんだ。店長は叶わないって思ってもそれでも俺とデートしたいって思ったんだ
「分かった。一回だけなら」
桜介は自分で気づかぬうちにそう答えたいた。
店長が本気で桜介を好きなのか、桜介には分からなかったが、店長を断れば自分のことを見捨てるようで、桜介には店長の申し出を断ることはできなかった。
ーーこれ、欲しいな
桜介はどうしてもそのぬいぐるみを手に入れたくなり、違う場所で土産を見ている蓮にバレないよう会計を済ませた。
蓮にバレると買ってくれると言いそうだからだ。
本当の恋人にあげるのにも中々に躊躇しそうな価格のどでかいマグロのぬいぐるみなど贈られた日には、桜介は申し訳なさで死にそうになりそうだ。
土産屋を出たところでぬいぐるみを嬉しそうに抱えている桜介を見た蓮は、案の定不服そうな顔をした。
「それくらい買ってやるのに」
「いいんだ。これは俺が自分で買いたかったんだから。でもありがとう」
「そうか」
水族館を出た2人はしばらく海沿いを歩いた。
無言でいる蓮に桜介も無言でいると、蓮は近くにある観覧車を指さした。
「あれ、乗っとくか」
「えっ!?」
「観覧車。今日はデートだし。いやか?」
「えっ、嫌なわけない!! 乗る!!」
「ふっ。そうか」
微笑む蓮を見て桜介の心臓はバクバクと騒々しい。
「あっ、けどこんな大きなぬいぐるみ抱えた男が観覧車って、まずくない?」
「まずくなりだろ。そりゃなんかの犯罪になるのか?」
「犯罪にはならないと思うけど」
「じゃあ問題ないな。むしろ俺の方が若いお前と乗って犯罪臭く見えないか不安なくらいだ」
「蓮さんだって若いじゃん! 大体俺、蓮さんが犯罪臭く見えるほど幼くないし」
「ははっ、どうだか」
「えっ、それどう言う意味だよっ」
そんな言い合いをしているうちにも、蓮はさっさとチケットを買い、並ぶ事もなくゴンドラに乗り込んだ。
「わあ、高~」
桜介はゴンドラの中に蓮と2人切りだと思うと緊張して、いつもよりトーンが高くなった。
「見て! すごいっ、めっちゃ夜景だ」
「めっちゃ夜景ってなんだよ」
「めっちゃ夜景は、めっちゃ夜景だよ! 夜景って綺麗なんだなぁ」
「そりゃあ良かった」
「本当、今日はありがとう。結局ご飯まで払ってもらっちゃったし、この観覧車のチケットだって。それに今までで一番楽しかったしめっちゃいい思い出になった。本当にありがとう。それでさ、都合いい奴って思うかもしれないけど、もし嫌じゃなかったらこれからも前みたいにたまに飲むとか出来たら嬉しいんだけど」
「ああ、もちろん。俺だって桜介と関係が切れるのは嫌だからな」
もし嫌じゃなかったらと、断りづらい言い方で言ったはいいものの、桜介は不安でいっぱいだったのでいつもと変わらない蓮の声に、ドッと肩の力が抜けた。
ーー良かった。振られても、これまでみたいに近くにいる事を許してくれるんだ
それからは桜介は安心して、窓の外の景色を堪能した。
ーーだけど俺は、蓮さんが誰かと結婚して誰かを特別に思って、誰かを大切にする姿を側で平気な顔をしていられるんだろうか
家の近くの駅で、蓮と別れてから家に帰り着いて、買って来たぬいぐるみをベットに置いて落ち着けば、桜介の中にはまたそんな不安が湧き上がって来た。
ベットに潜り込み、マグロのぬいぐるみに抱きつく。
本物と同じくらいに感じる大きなマグロのぬいぐるみに、桜介は名前をつけることにした。
「レン、は、流石にきもいかな……けど、別に誰が知るわけでもないし、いっか。よし! お前はこれからレンだよ。よろしくな」
それから、桜介と蓮は今までと同じくらいの頻度で飲みに出た。
蓮は彼女と別れてしまったけれど、桜介はあれから蓮にお弁当を作るのをやめたので、月に2回の飲みの日は、桜介にとってとても貴重で特別な日になった。
ーー
「そりゃ、気使うよな」
桜介はボソリと呟き、日本酒の入ったお猪口に口をつけた。
桜介が告白して以来、蓮は自分の恋愛について語らなくなった。
それが振った相手の前での最低限のマナーなのだと思うものの、桜介は気を使わせてしまっているだろうことに心苦しい気持ちになっていた。
「何が気使うって?」
「なんでもない」
「おいおい、教えてくれたっていいだろー?」
「店長、何で隣に座るの? 仕事中でしょ」
また1人で飲みに来ていた桜介の隣には、ここTENTの店長の佐々木が座ってきた。
「今日はもう上がりなの」
「店長なのにいいのかよ」
「店長が出ずっぱりじゃなきゃいけないなんて、それなんてブラック企業?」
「上がったなら、何で俺の隣に座るんだよ」
「だから前から言ってるじゃん。俺、桜介くんに本気なんだって」
「俺は……好きな人いるから無理だよ」
「それってこの前言ってた振られたって人?」
「そーだけど、そんなはっきり言わなくっても」
「はは。ごめんごめん。でも振られたってことはもう脈はないって決まってるわけじゃん? 次に行った方がいいと思うけど」
「俺は店長みたいに簡単に気持ち切り替えたり出来ないんだよ」
「そっか。こりゃ先は長いかな?」
「長いもなにも、俺は無理だよ。もう8年も片思いしてんだから、今更振られたくらいで次に行けたりなんかしない」
「8年!? そりゃ簡単にはいかないか…………じゃあさ、1回だけデートしてよ。そんで楽しかったら次を考えるんでいいから!」
いい加減、しつこくて桜介はうんざりしていた。
ーー大体、無理だって言ってるのにデートなんて
そこまで考えて桜介はハッとした。
ーーこれって、まるっきり俺じゃん。そっか、店長は俺なんだ。店長は叶わないって思ってもそれでも俺とデートしたいって思ったんだ
「分かった。一回だけなら」
桜介は自分で気づかぬうちにそう答えたいた。
店長が本気で桜介を好きなのか、桜介には分からなかったが、店長を断れば自分のことを見捨てるようで、桜介には店長の申し出を断ることはできなかった。
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