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祭り3
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ロノエゼトリーからの笑顔の無言圧力に耐えていると、エドウィンがポツリと呟いた。
「仲が良いんだな」
「え?」
「付き合ってるんだろ? ずっとイチャイチャしてたもんな」
「はっ、はい!? お、俺と、ロノエが?」
どうしてそのような勘違いをされたのか、このお祭りの間の出来事を思い返してみれば、思い当たる節は確かにいくつかあった。毒味とはいえ、1つの食べ物を分け合って食べていたわけだし、さっきもロノエゼトリーの魔術制御の言葉に、焦ってむせて背中をさすられていた。
「隠さなくても良い。新国王のおかげで、この国の中は他種族との恋愛に対する差別も減ってきている。差別するような奴は、この国には居づらいから、出ていくしな」
「ちょ、違うよ。俺はロノエと付き合ったりしてないし。その……。さっきまでの俺たち2人を見ていたとしたら、勘違いしてしまうのは仕方かないけど、本当、付き合ったりしてない。そもそも、ロノエから見たら俺なんて赤ん坊のようなものだよ。よく子供扱いされてるし、付き合うなんてありえないから!」
声を荒げて否定すると、エドウィンは目を見開いていた。
「ありえないなんて、ショックです」
「ちょっと、ロノエ……今冗談言ってる場合じゃないんだって」
すかさず横からチャチャを入れるロノエゼトリーの言葉にかぶせるように否定すると、ロノエゼトリーは面白そうに目を細めた。
(本当に勘弁して欲しい)
瑞歩はエドウィンのことが好きなのだから、ロノエゼトリーと付き合っているなどと思われては困るのだ。魔族は他種族に対しても優しいと思っていた瑞歩だったが、たまに出る悪戯好きな部分は今は出さないでいて欲しい。
「とにかく、ロノエとは本当に付き合ってないんだ。なんならロノエは俺の親みたいなものだ」
瑞歩の親は違ったが世の親は子を思って勉強しなさいと言ってくるイメージだ。それで言えばロノエゼトリーは完璧に親だ。見た目は瑞歩よりも7、8歳上に見えるくらいの若さではあるが、実際の年齢は、その10倍はあるんだろう。
「そうか。付き合っていないのか」
「うん」
エドウィンの言葉に頷いたタイミングで、横の屋台の方が何やら騒がしくなった。
「ガキ!! 今盗もとしただろ!」
「してない!! 僕はただ見てただけだ!」
焼きとうもろこしの屋台の前で、いかにも柄の悪そうな店主と、ボロボロの服をきた男の子が争っていた。今この国で食うに困っている子供は、順次孤児院で引き取っているが、目の前の子供はまだ孤児院には入れていないのかもしれない。
「ロノエ」
「はい」
ロノエゼトリーに呼びかけると、すぐに返事をして言い争う2人の間に入っていってくれた。
「探したよ。逸れてはダメじゃないか」
「え?」
ロノエゼトリーは少年に向かって微笑みかけ、その次に店主を一瞥した。
少年はロノエゼトリーの顔を見上げて呆然としている。
「店主。うちの子がお騒がせしたようで。お詫びにそちらを2つ買いましょう」
「は? や……、まぁ、買ってくれんなら良いんだけどよ」
店主は気まずげな顔でロノエゼトリーに焼きとうもろこしを2本手渡し、ロノエゼトリーが金を払うと満足げに笑った。
「仲が良いんだな」
「え?」
「付き合ってるんだろ? ずっとイチャイチャしてたもんな」
「はっ、はい!? お、俺と、ロノエが?」
どうしてそのような勘違いをされたのか、このお祭りの間の出来事を思い返してみれば、思い当たる節は確かにいくつかあった。毒味とはいえ、1つの食べ物を分け合って食べていたわけだし、さっきもロノエゼトリーの魔術制御の言葉に、焦ってむせて背中をさすられていた。
「隠さなくても良い。新国王のおかげで、この国の中は他種族との恋愛に対する差別も減ってきている。差別するような奴は、この国には居づらいから、出ていくしな」
「ちょ、違うよ。俺はロノエと付き合ったりしてないし。その……。さっきまでの俺たち2人を見ていたとしたら、勘違いしてしまうのは仕方かないけど、本当、付き合ったりしてない。そもそも、ロノエから見たら俺なんて赤ん坊のようなものだよ。よく子供扱いされてるし、付き合うなんてありえないから!」
声を荒げて否定すると、エドウィンは目を見開いていた。
「ありえないなんて、ショックです」
「ちょっと、ロノエ……今冗談言ってる場合じゃないんだって」
すかさず横からチャチャを入れるロノエゼトリーの言葉にかぶせるように否定すると、ロノエゼトリーは面白そうに目を細めた。
(本当に勘弁して欲しい)
瑞歩はエドウィンのことが好きなのだから、ロノエゼトリーと付き合っているなどと思われては困るのだ。魔族は他種族に対しても優しいと思っていた瑞歩だったが、たまに出る悪戯好きな部分は今は出さないでいて欲しい。
「とにかく、ロノエとは本当に付き合ってないんだ。なんならロノエは俺の親みたいなものだ」
瑞歩の親は違ったが世の親は子を思って勉強しなさいと言ってくるイメージだ。それで言えばロノエゼトリーは完璧に親だ。見た目は瑞歩よりも7、8歳上に見えるくらいの若さではあるが、実際の年齢は、その10倍はあるんだろう。
「そうか。付き合っていないのか」
「うん」
エドウィンの言葉に頷いたタイミングで、横の屋台の方が何やら騒がしくなった。
「ガキ!! 今盗もとしただろ!」
「してない!! 僕はただ見てただけだ!」
焼きとうもろこしの屋台の前で、いかにも柄の悪そうな店主と、ボロボロの服をきた男の子が争っていた。今この国で食うに困っている子供は、順次孤児院で引き取っているが、目の前の子供はまだ孤児院には入れていないのかもしれない。
「ロノエ」
「はい」
ロノエゼトリーに呼びかけると、すぐに返事をして言い争う2人の間に入っていってくれた。
「探したよ。逸れてはダメじゃないか」
「え?」
ロノエゼトリーは少年に向かって微笑みかけ、その次に店主を一瞥した。
少年はロノエゼトリーの顔を見上げて呆然としている。
「店主。うちの子がお騒がせしたようで。お詫びにそちらを2つ買いましょう」
「は? や……、まぁ、買ってくれんなら良いんだけどよ」
店主は気まずげな顔でロノエゼトリーに焼きとうもろこしを2本手渡し、ロノエゼトリーが金を払うと満足げに笑った。
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