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勝己サイド
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大学時代俺に告白してきた要に、俺は悪いと答えた。
その時は可愛い後輩としか思っていなかったから。
だけど、その後から要は俺のことが好きなんだと意識するとなぜだかドキドキしてきたり、要を目で追っていたりしてしまった。
それでも俺はモダモダと要のことを恋愛的な意味で好きだと思う自分の気持ちを否定していた。
要のことが好きなんだと認めたのは要が杉田と給湯室なんかでイチャイチャと話しているのを度々見かけ、その度に嫉妬で狂いそうになったからだ。
あの日、また給湯室に入って行った要の後を追うように杉田が入って行ったのを見た。
俺は2人がどんな話をしているのか気になってこっそりと近づいてみた。
「ごほっ、ごほっ、はぁ、はぁ」
「要、告白してみたら? 断られても玉砕したら諦められるかもしれないよ?」
「無理だ。断られても諦められなかった」
「え? 告白したの?」
「こほっ、ごほ、したよ。大学生の時にね」
「ダメだったんだ」
「悪いって言われたよ。でも俺は断られたのにもかかわらず諦めきれずに、こんな病気を発病してしまった」
こんな病気? なんの病気なんだ!
それに告白って、話の感じからして俺に告白した話だよな。断られても諦められなかった? と言うことは俺のことまだ好きなのか?
告白しよう。そう思った。
その日は青い顔をした要を帰らせて次の日出勤してきた要の顔は昨日よりも青くなっていた。
終業前にふらりと要がトイレのほうに行くのが見えた。
具合悪そうだな。今日もやっぱり帰らせるか?
それからメールチェックなんかをして、ふとまだ要がトイレから帰ってきてないことに気がついた。
嫌な予感がした。
俺がトイレのドアを勢いよく開けて中に入ると要が苦しそうに蹲っていた。
喉を抑えている。
何か詰まっている?
「す、ぎ、たす……け」
杉田に助けを求める要に嫉妬する余裕もなく要の背中をドンドンと叩いて詰まったものを出そうとしたがつっかえているのか出てこない。
「おい! しっかりしろ! 要! くそ!」
口から出てこない間にドンドンと唇が紫になっていっている。
「おい! 口開けろ! 直接取る!!」
俺が口に手を突っ込んで取ろうとすると僅かに要が抵抗した。
「だ、めっ、だ、うつ……る、ぁ」
中につっかえていたものを掴んで引き摺り出すとズルズルと中から花の束が出てきた。
なんだこれは。
これが要の言っていた病気か?
「誰か! 救急車呼んでくれ!!」
俺は病院で寝ている要の手をずっと握っていた。
「杉……た。ありがとう、な」
起きたのか。まだ俺を杉田だと思っているのか。だが、そんなことはどうだっていい。
とにかく要の目が覚めてよかった。
「気にするな」
とにかくお前はゆっくり休め。
要がもう一度眠り始めてからも俺は要の手を離すことができなかった。
明け方になり会社に向かう。
「おはようございます、要の容態はどうですか?」
朝から杉田に話しかけられた。
「なぁ、お前、何か知ってんだろっ!」
「え、ちょ、何かってなんすか?」
「要の病気だよ!! 口から花が出てきたぞ!! ありゃなんだ!」
「え、勝己さん知らないんすか? 花吐き病」
「花吐き病というのか? それは一体どんな病気だ!」
「片思い拗らせた人だけが映る病気らしいです。あいつはあんたに片思いしてるから。振るならちゃんとこっぴどく振ってくれないと、諦めがちゃんとつくように」
「諦めさせるか」
「は?」
「諦めさせてなんかやるかって言ったんだ!!」
「あんた……、でも、それなら早く気持ち伝えた方がいいですよ。なんせ花吐き病は患者の体を弱らせて2年前後で衰弱死が一般的らしいですから」
「何!? くそっ」
俺は急いでその日の仕事を終わらせてなんとか病院の面会時間に間に合った。
しばらく決心がつかず無言の時間が続いてしまったが、要を死なせたないなら早く言わねばと俺は深く息を吐いた。
「要。俺は要が好きだ。以前断っておいて勝手だと思うかもしれないが、付き合ってくれないだろうか」
「え?」
「好きだ。要」
そう伝えた俺に要は間違いなく嬉しそうな顔をしたんだ。
だから必ずいい返事がもらえると思っていた。
なのに……。
次の日また俺は急いで仕事を終わらせて病院に返事を聞きに行った。
「要、体調はどうだ?」
「はい、おかげさまで昨日の夜白銀のゆりを吐きましたし、体調もいいです。ありがとうございます」
そう言って要は微笑んだ。
「そうか、それは良かった」
俺はホッと安心して昨日の返事の確認をした。
「では、昨日の返事は俺と付き合ってくれると言うことでいいんだよな?」
「勝己先輩、俺は白銀のゆりを吐いたので、完治したんです。だから俺と付き合う必要はないですよ。本当にありがとうございました。これからは健康に生きられそうです」
つまりは付き合ってくれないと言うことか?
付き合う必要がないってどう言うことだ。
俺はそんなの認めない。
「要、何を勘違いしているのか知らないが、俺は本気で要と付き合いたいと思っている。明日も来るからな」
そう言ったのに次の日、要は会社を辞める連絡をしてきて、俺が終業後に病院に行くと要はすでに退院した後だった。
俺は要のいた病室で立ちすくした。
「要……なんで。俺と付き合うのが嫌ならそう言ってくれれば。俺の前から……いなくならないでくれよ……ごほっ、ん” 、なんだこれ、花……?」
俺の口から吐き出されたものは赤い花。
「なぁ、要。俺お前とお揃いになっちまったぞ」
要は俺が好きじゃなかったのか。だから俺は花を吐くのか。
要は……俺が好きじゃ、ない。
はは。それがどうした。
要、お前は一回断られたからって諦めたらしいけどな。
その断った片思いの相手ってのが俺のことだって今の今まで俺は勘違いして思い上がってたダサい野郎たけどな。
俺はお前を諦めないからな。
お前がどこに逃げようが、地の果てまで追いかけてお前の口から俺と付き合うと聞くまで諦めないから。
俺から逃げられると思ってるお前をとっ捕まえて見せるから。
…………まぁ、もしも、要を見つけて、そん時に要が幸せそうにしてるんなら、俺は諦めてやるからよ。
その時は可愛い後輩としか思っていなかったから。
だけど、その後から要は俺のことが好きなんだと意識するとなぜだかドキドキしてきたり、要を目で追っていたりしてしまった。
それでも俺はモダモダと要のことを恋愛的な意味で好きだと思う自分の気持ちを否定していた。
要のことが好きなんだと認めたのは要が杉田と給湯室なんかでイチャイチャと話しているのを度々見かけ、その度に嫉妬で狂いそうになったからだ。
あの日、また給湯室に入って行った要の後を追うように杉田が入って行ったのを見た。
俺は2人がどんな話をしているのか気になってこっそりと近づいてみた。
「ごほっ、ごほっ、はぁ、はぁ」
「要、告白してみたら? 断られても玉砕したら諦められるかもしれないよ?」
「無理だ。断られても諦められなかった」
「え? 告白したの?」
「こほっ、ごほ、したよ。大学生の時にね」
「ダメだったんだ」
「悪いって言われたよ。でも俺は断られたのにもかかわらず諦めきれずに、こんな病気を発病してしまった」
こんな病気? なんの病気なんだ!
それに告白って、話の感じからして俺に告白した話だよな。断られても諦められなかった? と言うことは俺のことまだ好きなのか?
告白しよう。そう思った。
その日は青い顔をした要を帰らせて次の日出勤してきた要の顔は昨日よりも青くなっていた。
終業前にふらりと要がトイレのほうに行くのが見えた。
具合悪そうだな。今日もやっぱり帰らせるか?
それからメールチェックなんかをして、ふとまだ要がトイレから帰ってきてないことに気がついた。
嫌な予感がした。
俺がトイレのドアを勢いよく開けて中に入ると要が苦しそうに蹲っていた。
喉を抑えている。
何か詰まっている?
「す、ぎ、たす……け」
杉田に助けを求める要に嫉妬する余裕もなく要の背中をドンドンと叩いて詰まったものを出そうとしたがつっかえているのか出てこない。
「おい! しっかりしろ! 要! くそ!」
口から出てこない間にドンドンと唇が紫になっていっている。
「おい! 口開けろ! 直接取る!!」
俺が口に手を突っ込んで取ろうとすると僅かに要が抵抗した。
「だ、めっ、だ、うつ……る、ぁ」
中につっかえていたものを掴んで引き摺り出すとズルズルと中から花の束が出てきた。
なんだこれは。
これが要の言っていた病気か?
「誰か! 救急車呼んでくれ!!」
俺は病院で寝ている要の手をずっと握っていた。
「杉……た。ありがとう、な」
起きたのか。まだ俺を杉田だと思っているのか。だが、そんなことはどうだっていい。
とにかく要の目が覚めてよかった。
「気にするな」
とにかくお前はゆっくり休め。
要がもう一度眠り始めてからも俺は要の手を離すことができなかった。
明け方になり会社に向かう。
「おはようございます、要の容態はどうですか?」
朝から杉田に話しかけられた。
「なぁ、お前、何か知ってんだろっ!」
「え、ちょ、何かってなんすか?」
「要の病気だよ!! 口から花が出てきたぞ!! ありゃなんだ!」
「え、勝己さん知らないんすか? 花吐き病」
「花吐き病というのか? それは一体どんな病気だ!」
「片思い拗らせた人だけが映る病気らしいです。あいつはあんたに片思いしてるから。振るならちゃんとこっぴどく振ってくれないと、諦めがちゃんとつくように」
「諦めさせるか」
「は?」
「諦めさせてなんかやるかって言ったんだ!!」
「あんた……、でも、それなら早く気持ち伝えた方がいいですよ。なんせ花吐き病は患者の体を弱らせて2年前後で衰弱死が一般的らしいですから」
「何!? くそっ」
俺は急いでその日の仕事を終わらせてなんとか病院の面会時間に間に合った。
しばらく決心がつかず無言の時間が続いてしまったが、要を死なせたないなら早く言わねばと俺は深く息を吐いた。
「要。俺は要が好きだ。以前断っておいて勝手だと思うかもしれないが、付き合ってくれないだろうか」
「え?」
「好きだ。要」
そう伝えた俺に要は間違いなく嬉しそうな顔をしたんだ。
だから必ずいい返事がもらえると思っていた。
なのに……。
次の日また俺は急いで仕事を終わらせて病院に返事を聞きに行った。
「要、体調はどうだ?」
「はい、おかげさまで昨日の夜白銀のゆりを吐きましたし、体調もいいです。ありがとうございます」
そう言って要は微笑んだ。
「そうか、それは良かった」
俺はホッと安心して昨日の返事の確認をした。
「では、昨日の返事は俺と付き合ってくれると言うことでいいんだよな?」
「勝己先輩、俺は白銀のゆりを吐いたので、完治したんです。だから俺と付き合う必要はないですよ。本当にありがとうございました。これからは健康に生きられそうです」
つまりは付き合ってくれないと言うことか?
付き合う必要がないってどう言うことだ。
俺はそんなの認めない。
「要、何を勘違いしているのか知らないが、俺は本気で要と付き合いたいと思っている。明日も来るからな」
そう言ったのに次の日、要は会社を辞める連絡をしてきて、俺が終業後に病院に行くと要はすでに退院した後だった。
俺は要のいた病室で立ちすくした。
「要……なんで。俺と付き合うのが嫌ならそう言ってくれれば。俺の前から……いなくならないでくれよ……ごほっ、ん” 、なんだこれ、花……?」
俺の口から吐き出されたものは赤い花。
「なぁ、要。俺お前とお揃いになっちまったぞ」
要は俺が好きじゃなかったのか。だから俺は花を吐くのか。
要は……俺が好きじゃ、ない。
はは。それがどうした。
要、お前は一回断られたからって諦めたらしいけどな。
その断った片思いの相手ってのが俺のことだって今の今まで俺は勘違いして思い上がってたダサい野郎たけどな。
俺はお前を諦めないからな。
お前がどこに逃げようが、地の果てまで追いかけてお前の口から俺と付き合うと聞くまで諦めないから。
俺から逃げられると思ってるお前をとっ捕まえて見せるから。
…………まぁ、もしも、要を見つけて、そん時に要が幸せそうにしてるんなら、俺は諦めてやるからよ。
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