俺のこと好きになってよ! 【オメガバース】

いちみやりょう

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ホテルに向かって歩く間、汗がじわりと滲む。
徐々に体はヒートに入りつつあったけれど、今の段階では抑制剤のおかげで周りの人にはバレていなそうだった。

ホテルについて受付を済ませてホッと息をつく。
ヒートが終わったら東京駅に行って先生と、それから翔太に適当なお土産を買って帰らないと。
そんなことを考えながら数時間、うつらうつらしていると、カッと体が暑くなった。

「ん……はぁ、ぁ……はぁ」

こうなってしまったらもう意識は朦朧としていて、勝手に拝借して持参していた先生のシャツを手に自身のそこを慰める獣になるばかりだ。

「センセ……ぁ、はぁ、んん……ぁあっ先生っ」

アルファの熱を取り込まない、オメガ一人だけでの行為では、ヒートが終わるまで1週間ほとんど飲まず食わずで行為にふける。
3ヶ月に一度来るこの期間こそがオメガが差別される最も大きな所以で、この期間、アルファを誘うフェロモンを垂れ流しにし続けるオメガはアルファを産むための奴隷だと考える人間は少なくない。ほとんど旧家にしか生まれないオメガだけど、旧家での扱いもよくはないらしい。

アルファである先生と過ごした期間が長かったからなのか理由は分からないけれど、とにかく今回の俺のヒートは悲惨で、1週間経つ頃には、自身で傷つけただろう傷が体中にあったし、声は枯れてうまく出ないし、食べ物も飲み物も圧倒的に足りてなくて、体が枯れ木みたいになっていた。

とにかくそんな状態だったとしても、俺はヒートが無事に終わり安心した。
体力もなく、松葉杖で歩くのもしんどい中、無理をしてでもシャワーを浴びて服を着替えるとさっぱりとして気持ちがいい。

チェックアウトをして近くの自販機でスポーツ飲料を買って飲んだ。
枯れ木になった体に、冷たい飲み物が染み渡って生き返るようだった。

それから俺は予定通り東京駅に行って翔太と、先生と自分ようにお土産を3つ買った。

翔太にはその足で渡しに行って、とても喜ばれた。
それから翔太も食べたことが無いと言うので今度お寿司を奢る約束までして、1週間ぶりの先生のマンションに帰宅した。

当然先生は仕事中だからまだ家には居ない。
先生から借りたシャツと合わせて、先生がこの1週間でため込んだ服を全て洗って干すのも、松葉杖だと勝手が悪い。苦労しながら全部干してから、今日の夕飯のハンバーグを作って、先生を待った。

ガチャリと玄関が開き先生が帰ってきたのが分かったけれど、松葉杖なので出迎えが億劫で俺は申し訳なく思いながらも居間で待った。

「先生、おかえり!」
「ああ、ただいま。静こそおかえり。旅行は楽しかったか?」
「うん! ちょー楽しんだよ! これお土産!」

翔太にはクッキーを買って、先生には迷ったけどキーケースを買った。
キーケースは自分の分もこっそりお揃いを買ってある。

「ありがとな。大切に使う」
「うん!」

それから2人で夕食を食べて、ソファに移動して映画を一緒に見た。
家で映画なんて恋人みたいで最高な気分だった。
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