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51 キャンプ場2
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「すげぇ。星出てきたよ」
「わぁ。森ん中だからかな。すごい見えるね」
森たちが言うように、空には見たこともないような満点の星空が広がっていた。
「こういうのも、結構楽しいな」
ポツリと呟くとうんうんと天海がうなずいた。
「カップルウォッチャーとしては、カップルで過ごしてるのを見るのも好きだけど、やっぱり友達とこうして遊ぶのって楽しいよね」
「そのカップルウォッチャーっての、時々聞くけどなんなんだよ」
「なんか不穏な感じだよね」
「え~。森と小坂も興味ある?」
森の質問に、天海が嬉々として話だしてしまったので、そこは森と省吾に任せ俺は黒月さん用の焼きそばを焼き始めた。
「楽しいな」
スッと東堂が横に立ち、俺の隣で肉を焼き始めた。
「ああ。楽しい。みんなと来られて良かったよ」
「またみんなで来よう。今度は林とか杉村も来られるときに」
そんなことを言ってもらえて俺は嬉しくなった。
けれど、東堂とは来られたとしても、他のメンバーには俺が誠ではないことを言ってないから無理だろう。
あと少しで俺はこの学園を去らないといけない。
返事をできずにいる俺に、東堂は特に気にした様子もなく、そういえばと話題を変えた。
「紫の恋人は、黒月先生だったんだな」
「えっ」
「いや。さすがに分かる。黒月先生、あからさまに紫を暖かい目で見てるし。わざわざ難癖つけて送り迎えまでするなんて言うしな」
東堂の言葉にぐうの音も出なかった。
「隠しててごめん。いろいろ協力してもらったのに」
「いや。別に。話す必要があると思うことだけを話せば良いと私は思う……。なんでも隠し事をしてはいけない関係なんてストレスが溜まりそうだ」
「ははっ。確かに」
話しながらも焼き上がった焼きそばを皿に乗せ、今度は肉を焼いていく。
「学園に残ることはできないのか」
「え?」
「紫として、この学園に残りたくないのか?」
「東堂……。そりゃあ、残りたいけど、2年の間だけって約束だったし。なりすまし登校なんて非難の的だろ? だから俺はいいんだ。みんなを騙しているようで申し訳ないし、離れるのは寂しいけど……仕方がない」
「……そうか」
東堂はそうポツリと呟いたあと黙り込んでしまった。
なんだかしんみりした雰囲気にさせてしまって申し訳なく思ったけど、ちょうど黒月さん用の肉が焼けたのでそれを皿に移した。
「焼けたから持っていってくるな」
「ああ。転ばないようにな」
「ありがとう。あ、俺はもう結構食ったから後の肉はみんなで食べて」
「分かった。ごゆっくり。な」
からかうようにニタリと笑った東堂に少し安心して俺も笑った。
「はは。じゃあ、お言葉に甘えて」
そう答えて俺はその場から離れて黒月さんのいる駐車場に向かった。
「わぁ。森ん中だからかな。すごい見えるね」
森たちが言うように、空には見たこともないような満点の星空が広がっていた。
「こういうのも、結構楽しいな」
ポツリと呟くとうんうんと天海がうなずいた。
「カップルウォッチャーとしては、カップルで過ごしてるのを見るのも好きだけど、やっぱり友達とこうして遊ぶのって楽しいよね」
「そのカップルウォッチャーっての、時々聞くけどなんなんだよ」
「なんか不穏な感じだよね」
「え~。森と小坂も興味ある?」
森の質問に、天海が嬉々として話だしてしまったので、そこは森と省吾に任せ俺は黒月さん用の焼きそばを焼き始めた。
「楽しいな」
スッと東堂が横に立ち、俺の隣で肉を焼き始めた。
「ああ。楽しい。みんなと来られて良かったよ」
「またみんなで来よう。今度は林とか杉村も来られるときに」
そんなことを言ってもらえて俺は嬉しくなった。
けれど、東堂とは来られたとしても、他のメンバーには俺が誠ではないことを言ってないから無理だろう。
あと少しで俺はこの学園を去らないといけない。
返事をできずにいる俺に、東堂は特に気にした様子もなく、そういえばと話題を変えた。
「紫の恋人は、黒月先生だったんだな」
「えっ」
「いや。さすがに分かる。黒月先生、あからさまに紫を暖かい目で見てるし。わざわざ難癖つけて送り迎えまでするなんて言うしな」
東堂の言葉にぐうの音も出なかった。
「隠しててごめん。いろいろ協力してもらったのに」
「いや。別に。話す必要があると思うことだけを話せば良いと私は思う……。なんでも隠し事をしてはいけない関係なんてストレスが溜まりそうだ」
「ははっ。確かに」
話しながらも焼き上がった焼きそばを皿に乗せ、今度は肉を焼いていく。
「学園に残ることはできないのか」
「え?」
「紫として、この学園に残りたくないのか?」
「東堂……。そりゃあ、残りたいけど、2年の間だけって約束だったし。なりすまし登校なんて非難の的だろ? だから俺はいいんだ。みんなを騙しているようで申し訳ないし、離れるのは寂しいけど……仕方がない」
「……そうか」
東堂はそうポツリと呟いたあと黙り込んでしまった。
なんだかしんみりした雰囲気にさせてしまって申し訳なく思ったけど、ちょうど黒月さん用の肉が焼けたのでそれを皿に移した。
「焼けたから持っていってくるな」
「ああ。転ばないようにな」
「ありがとう。あ、俺はもう結構食ったから後の肉はみんなで食べて」
「分かった。ごゆっくり。な」
からかうようにニタリと笑った東堂に少し安心して俺も笑った。
「はは。じゃあ、お言葉に甘えて」
そう答えて俺はその場から離れて黒月さんのいる駐車場に向かった。
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