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23 体育祭2
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次は応援団だ。
俺は団長を押し付けらたが、MBPを目指しているためもちろん喜んで引き受けた。
これの練習が圧迫して黒月さんに会う時間が減ったのだから何としても成功させたい。
俺の掛け声で演舞が始まり、練習通りに進んでいく。
最後に全員で一ヶ所に集まってポーズを決め、観客席からは歓声が上がった。
午前はこれで終了で、次はお昼だ。
まぁ今日はさすがに数学準備室には行けないだろう。
黒月さんも先生たちと食べるだろうし。
全寮制だからかありがたいことに、今日も食堂は開いているし、食堂の前では臨時で弁当売りも来ている。
せっかくだし、弁当にするかと購入の列に並んでいると俺の横に誰か立った。
「くろ、先生。お疲れ様です」
黒月さんを先生と呼ぶのはいまだに何となく気恥ずかしい。
黒月さんはそんなことはないようで、にっこりと笑って俺を見下ろしている。
「お疲れ様です、柊木くん。せっかく並んでいるところ申し訳ないのですが、昼からの種目について確認したいことがございますので、一緒に来ていただけますか?」
「あ、はい」
「では、こちらに」
黒月さんの後をついていくと、いつも通り数学第二準備室についた。
「……、はぁ。お疲れ様です。紫様。弁当を買おうとしているところを発見してびっくりしました。いつも作っているのですから、こんな大事な日に作らないわけないでしょう?」
「え、うん。ごめん」
逆にこんな日に作ると思ってなかったけど、とりあえず謝った。
「たくさん作りましたから、いっぱい食べてくださいね」
「ありがとう……、あ、重箱だ。すごい。俺、初めてこんなの食べるよ」
机に置かれた重箱を見て、俺は胸をときめかせた。
これって、小学生とか中学生とかの運動会の時の友人の家は大体こういう弁当箱で、家族で食べているのを見かけた。俺はコンビニの弁当だったし、誠は両親と近くのレストランに行っていたように思う。
俵型のおにぎりに、骨のついた鳥の唐揚げ、卵焼き、全部美味しい。
「黒月さんってほんとすごいね。全部もうめちゃくちゃ美味しい」
「気に入っていただけてよかったです。体育祭の時に、紫様とこうしてお弁当を食べるのが夢でしたので、それが叶って私も嬉しいです。ありがとうございます」
「俺と食べるのが夢?」
「はい。紫様が小さな頃は私も仕事が鬼のように忙しく、運動会などには参加することができませんでしたので、今日こうやって一緒に食事ができて本当によかった」
「そっか。ありがとう」
黒月さんは俺が子供の頃にプロポーズした時から、ずっと俺を好きだったと言ってくれた。
あの頃の黒月さんは確か、高校生くらいで今の俺と同じくらいだったはずだ。
俺が運動会などに出る年の頃、黒月さんはもっとも働き盛りの年齢だっただろうけど、そんな風に思ってくれていたことを知れて嬉しかった。
「応援団、とってもかっこよかったですよ。それにリレーも短距離走もずば抜けていましたね。さすがです」
「へへ。ありがとう」
「ですが、借り物は私がなりたかった」
「へ?」
「紫様の借り物になれる機会はもう二度とないかも知れないのに。それに、あんな横抱きにされて」
「あれは、そういうお題だったからだよ。『ムカつくやつをお姫様抱っこでゴール』だよ。とても黒月さんは連れて行けないし」
「そうだったのですか。それなら仕方がないですね」
そうは言いつつも悔しそうな黒月さんは、いつもの大人の顔が少し剥がれているようで、俺は何となく嬉しかった。
俺は団長を押し付けらたが、MBPを目指しているためもちろん喜んで引き受けた。
これの練習が圧迫して黒月さんに会う時間が減ったのだから何としても成功させたい。
俺の掛け声で演舞が始まり、練習通りに進んでいく。
最後に全員で一ヶ所に集まってポーズを決め、観客席からは歓声が上がった。
午前はこれで終了で、次はお昼だ。
まぁ今日はさすがに数学準備室には行けないだろう。
黒月さんも先生たちと食べるだろうし。
全寮制だからかありがたいことに、今日も食堂は開いているし、食堂の前では臨時で弁当売りも来ている。
せっかくだし、弁当にするかと購入の列に並んでいると俺の横に誰か立った。
「くろ、先生。お疲れ様です」
黒月さんを先生と呼ぶのはいまだに何となく気恥ずかしい。
黒月さんはそんなことはないようで、にっこりと笑って俺を見下ろしている。
「お疲れ様です、柊木くん。せっかく並んでいるところ申し訳ないのですが、昼からの種目について確認したいことがございますので、一緒に来ていただけますか?」
「あ、はい」
「では、こちらに」
黒月さんの後をついていくと、いつも通り数学第二準備室についた。
「……、はぁ。お疲れ様です。紫様。弁当を買おうとしているところを発見してびっくりしました。いつも作っているのですから、こんな大事な日に作らないわけないでしょう?」
「え、うん。ごめん」
逆にこんな日に作ると思ってなかったけど、とりあえず謝った。
「たくさん作りましたから、いっぱい食べてくださいね」
「ありがとう……、あ、重箱だ。すごい。俺、初めてこんなの食べるよ」
机に置かれた重箱を見て、俺は胸をときめかせた。
これって、小学生とか中学生とかの運動会の時の友人の家は大体こういう弁当箱で、家族で食べているのを見かけた。俺はコンビニの弁当だったし、誠は両親と近くのレストランに行っていたように思う。
俵型のおにぎりに、骨のついた鳥の唐揚げ、卵焼き、全部美味しい。
「黒月さんってほんとすごいね。全部もうめちゃくちゃ美味しい」
「気に入っていただけてよかったです。体育祭の時に、紫様とこうしてお弁当を食べるのが夢でしたので、それが叶って私も嬉しいです。ありがとうございます」
「俺と食べるのが夢?」
「はい。紫様が小さな頃は私も仕事が鬼のように忙しく、運動会などには参加することができませんでしたので、今日こうやって一緒に食事ができて本当によかった」
「そっか。ありがとう」
黒月さんは俺が子供の頃にプロポーズした時から、ずっと俺を好きだったと言ってくれた。
あの頃の黒月さんは確か、高校生くらいで今の俺と同じくらいだったはずだ。
俺が運動会などに出る年の頃、黒月さんはもっとも働き盛りの年齢だっただろうけど、そんな風に思ってくれていたことを知れて嬉しかった。
「応援団、とってもかっこよかったですよ。それにリレーも短距離走もずば抜けていましたね。さすがです」
「へへ。ありがとう」
「ですが、借り物は私がなりたかった」
「へ?」
「紫様の借り物になれる機会はもう二度とないかも知れないのに。それに、あんな横抱きにされて」
「あれは、そういうお題だったからだよ。『ムカつくやつをお姫様抱っこでゴール』だよ。とても黒月さんは連れて行けないし」
「そうだったのですか。それなら仕方がないですね」
そうは言いつつも悔しそうな黒月さんは、いつもの大人の顔が少し剥がれているようで、俺は何となく嬉しかった。
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