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デート
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そして待ちに待った土曜日、早朝のバイトから帰ってシャワーを浴びて、持ってる服の中で一番マシな服を引っ張り出して着た。
約束の時間通りに重鷹さんが迎えに来てくれて電車を乗り継いで遊園地に向かった。
俺は初めてのデート、初めての遊園地に浮かれまくりはしゃぎまくった。
「あれ乗りたい!」
「今度はあっち!」
「はやくいこ!!」
と一人ではしゃぎ回る俺に重鷹さんは優しい顔で付き合ってくれた。
夕方になる頃にはすっかりと疲れ果て、それでもお土産屋さんを見たくてお店の中に入ったけど中がすごく混雑していたので、入り口で別れてそれぞれお土産を見て回ることになった。
遊園地のキャラクターのぬいぐるみやキーホルダー、キャラクターの形のお菓子や雑貨。全てキラキラして見えて選びがたい。
だけど、こんな楽しかった日の記念に思い出として残るものを何か買いたかった。
ふと端の方にお金を入れたら金属の板にキャラクターと日付などを刻印したものを作れる機械があった。
その横では買ったものに500円払えば店員さんに好きな言葉を彫ってもらえるコーナーもあった。
記念って言ったらああいうのかな? でも重鷹さんはアクセサリーとかつけるか分からないしな。
しばらく見て回ってこれだ! と言うものに出会ってそれを買った。
「すみません、お待たせしました!」
「いや、そんなに待ってない。何かいいお土産は見つかったか?」
「はい、あのこれ今日のお礼に。俺とお揃いなんですが」
俺の買ったものはこっそりとキャラクターがあしらわれたタイピンだ。これだったら制服のネクタイにもつけられるし、大切に使えば社会人になったって使ってもおかしくなさそうなデザインでそのタイピンの裏に日付と2人のイニシャルのS・Yと彫ってもらったものだ。
重鷹さんは受け取ってくれたけど無言でそれを見つめている。
「あ、別にあのいらなかったら」
「いや、いる。ありがとう。感動しすぎて言葉が出なかった。大切にする」
そう言って重鷹さんはタイピンを胸ポケットに大切そうにしまって優しくふわりと微笑んだ。
喜んでくれてよかった。とホッと胸を撫で下ろすと、重鷹さんは自分のリュックをガサガサとあさりだした。
「実は俺も柚紀にお土産を買ったんだ」
重鷹さんが袋を差し出してきた。
「あ、ありがとうございます。嬉しいです」
受け取って中身を見てみると薄い水色の指輪と濃い青色の指輪が黒い紐に通されたネックレスだった。俺と重鷹さんの目の色のリングだ。水色のリングの方には遊園地のシンボルマークと”S to Y with love”と刻印されていた。重鷹から柚紀へ愛を込めて。少し気恥ずかしいけど嬉しい。
「俺も身につけるものを柚紀に送りたかったんだ。俺と柚紀の色をお互いに付けていたくて。実は俺もお揃いを買ったんだ。つけてくれるか?」
「もちろんです。本当に嬉しいです。ありがとうございます」
そう言うと重鷹さんが俺の首にネックレスをつけてくれた。
俺も重鷹さんにネックレスをつけてあげて、そして、何だかお互い気恥ずかしくなって笑い合った。
その後は2人で仲良く電車で帰った。電車の中から見る外の風景が遊園地の中の雰囲気と違いすぎて何だかものすごく寂しくなった。
でもこの先、俺は重鷹さんと何回だって来られるんだ。
約束の時間通りに重鷹さんが迎えに来てくれて電車を乗り継いで遊園地に向かった。
俺は初めてのデート、初めての遊園地に浮かれまくりはしゃぎまくった。
「あれ乗りたい!」
「今度はあっち!」
「はやくいこ!!」
と一人ではしゃぎ回る俺に重鷹さんは優しい顔で付き合ってくれた。
夕方になる頃にはすっかりと疲れ果て、それでもお土産屋さんを見たくてお店の中に入ったけど中がすごく混雑していたので、入り口で別れてそれぞれお土産を見て回ることになった。
遊園地のキャラクターのぬいぐるみやキーホルダー、キャラクターの形のお菓子や雑貨。全てキラキラして見えて選びがたい。
だけど、こんな楽しかった日の記念に思い出として残るものを何か買いたかった。
ふと端の方にお金を入れたら金属の板にキャラクターと日付などを刻印したものを作れる機械があった。
その横では買ったものに500円払えば店員さんに好きな言葉を彫ってもらえるコーナーもあった。
記念って言ったらああいうのかな? でも重鷹さんはアクセサリーとかつけるか分からないしな。
しばらく見て回ってこれだ! と言うものに出会ってそれを買った。
「すみません、お待たせしました!」
「いや、そんなに待ってない。何かいいお土産は見つかったか?」
「はい、あのこれ今日のお礼に。俺とお揃いなんですが」
俺の買ったものはこっそりとキャラクターがあしらわれたタイピンだ。これだったら制服のネクタイにもつけられるし、大切に使えば社会人になったって使ってもおかしくなさそうなデザインでそのタイピンの裏に日付と2人のイニシャルのS・Yと彫ってもらったものだ。
重鷹さんは受け取ってくれたけど無言でそれを見つめている。
「あ、別にあのいらなかったら」
「いや、いる。ありがとう。感動しすぎて言葉が出なかった。大切にする」
そう言って重鷹さんはタイピンを胸ポケットに大切そうにしまって優しくふわりと微笑んだ。
喜んでくれてよかった。とホッと胸を撫で下ろすと、重鷹さんは自分のリュックをガサガサとあさりだした。
「実は俺も柚紀にお土産を買ったんだ」
重鷹さんが袋を差し出してきた。
「あ、ありがとうございます。嬉しいです」
受け取って中身を見てみると薄い水色の指輪と濃い青色の指輪が黒い紐に通されたネックレスだった。俺と重鷹さんの目の色のリングだ。水色のリングの方には遊園地のシンボルマークと”S to Y with love”と刻印されていた。重鷹から柚紀へ愛を込めて。少し気恥ずかしいけど嬉しい。
「俺も身につけるものを柚紀に送りたかったんだ。俺と柚紀の色をお互いに付けていたくて。実は俺もお揃いを買ったんだ。つけてくれるか?」
「もちろんです。本当に嬉しいです。ありがとうございます」
そう言うと重鷹さんが俺の首にネックレスをつけてくれた。
俺も重鷹さんにネックレスをつけてあげて、そして、何だかお互い気恥ずかしくなって笑い合った。
その後は2人で仲良く電車で帰った。電車の中から見る外の風景が遊園地の中の雰囲気と違いすぎて何だかものすごく寂しくなった。
でもこの先、俺は重鷹さんと何回だって来られるんだ。
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