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偽物の愛でももらえるならそれでいいと思ってた。
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翌日、俺は授業中は成績を落とさないように必死に授業を受けて、休憩時間も予習復習に使った。夜は勉強の時間がいつもより取れないからだ。昼は節約のために部屋に備え付けのキッチンで作ってきたおにぎりを食べ、放課後はバイトに行って部屋に帰ってきたときには、部屋の入り口に荷物が届いていた。
部屋に入って箱を開けると、昨日注文したローションと浣腸液とそれをお尻に入れるためのポンプが入っていた。
説明書を読みながら浣腸に初挑戦した。
苦しいし、痛いし、最悪だ。
明日も会長の部屋に行く前にこれをしなきゃいけないのか。
あらかた綺麗になったので今度はローションを手に取ってお尻を広げにかかる。
頑張ってもやっぱり2本が限界だ。
でも重鷹さんの手を煩わせたくないし。何とかしなければ。
その夜、何とか3本の指を入れられるようになったところで、俺はもうさすがに大丈夫だろうと慣らすのをやめた。
慣れていないこと、バレなきゃいいけど。
次の日、重鷹さんとの約束の日だ。俺は前日と同じように1日を過ごして浣腸が終わりローションをお尻に仕込み終わったときには夜の11時を回っていた。
「やべ」
俺は急いで重鷹さんの部屋に行く。
生徒会の人たちの部屋も一人部屋で、特待生の部屋と同じフロアなのですぐに到着する。
ーーコンコン
ノックをするとすぐにドアが開いた。
「遅い」
「あーすみません」
ヘラヘラとそう告げると重鷹さんは舌打ちをして俺を部屋に入れてくれた。
「お茶でも飲むか?」
「会長、俺お茶を飲むためにここに来たんじゃありませんよ」
「……はぁ、それもそうか」
重鷹さんは俺の腕を取ってベッドに連れて行くとそっと俺を押し倒した。
俺の頬を愛おしげに見つめて撫でている。
でも、俺は知ってる。ちゃんとわかってる。
「あ、ちょっと待ってください」
俺はつけていたカツラを取ってベッドの脇に置く。重鷹さんを見ると僅かばかり目を見開いていた。
「会長、日向って呼んで」
「……なぜだ」
「だって、好きなんでしょ? 日向が。大丈夫、俺、慣れてるから。だから俺を日向の代わりにしてよ」
ニコリと笑ってそう伝えた。俺の精一杯頑張って作った余裕のある笑顔だ。
本当はこれからすることが怖くてたまらない。
だからせめて代わりという言葉う強調した。
だって大切な人の代わりなら大切に扱ってくれるでしょう?
大切な人を抱く時みたいに。俺を愛おしくてたまらないんだって、そんな風に。
俺は重鷹さんからそんな風に抱かれてみたいんだ。例え偽物の愛でもいい。
大切な人からそう扱われてみたいんだ。
なんて考えていた俺は甘かった。
会長は俺の思いに応えるように俺を大切に抱いてくれた。
まるで愛おしい人を見るかのような顔で、壊れ物を扱うかのような慎重な手で。
俺の願いは叶ったというのに、抱かれる前より虚しくなった。
だって、全部偽物だ。偽物の愛でもいいなんて、何も知らないから言えたことだ。
会長に抱いてもらえるだけマシと諦めていた心は、少し優しくされただけで、もっともっとと浅ましく、会長の心を得ようと求めてしまうんだ。
会長に抱かれて俺じゃ会長の好きな人になれない。
それだけを痛いほど痛感した。
双子だっていうのにこんなに違う。
あいつはいつだって人に好かれて、俺はいつだって嫌われる。
人に好かれる努力はしたけど、なぜかみんな俺から離れて行く。
なぜか根も葉もない噂が俺を取り巻く。
会長は俺にキスを一度もしなかった。
相手が日向だったらキスしたの?
自分から望んでこの関係になったというのに、ギュッと胸が締め付けられた。
俺、こんなに日向になりたいと思ったことはないよ。
それでもやっぱり好きな人としたものだからか、1人で慣らしている時は気持ち悪さしか感じなかったのに、会長のが入っている間、俺は頭が空っぽになったかのように気持ち良さと幸せを感じていた。
だから危惧していたように慣れていないことがバレることもなかった。
部屋に入って箱を開けると、昨日注文したローションと浣腸液とそれをお尻に入れるためのポンプが入っていた。
説明書を読みながら浣腸に初挑戦した。
苦しいし、痛いし、最悪だ。
明日も会長の部屋に行く前にこれをしなきゃいけないのか。
あらかた綺麗になったので今度はローションを手に取ってお尻を広げにかかる。
頑張ってもやっぱり2本が限界だ。
でも重鷹さんの手を煩わせたくないし。何とかしなければ。
その夜、何とか3本の指を入れられるようになったところで、俺はもうさすがに大丈夫だろうと慣らすのをやめた。
慣れていないこと、バレなきゃいいけど。
次の日、重鷹さんとの約束の日だ。俺は前日と同じように1日を過ごして浣腸が終わりローションをお尻に仕込み終わったときには夜の11時を回っていた。
「やべ」
俺は急いで重鷹さんの部屋に行く。
生徒会の人たちの部屋も一人部屋で、特待生の部屋と同じフロアなのですぐに到着する。
ーーコンコン
ノックをするとすぐにドアが開いた。
「遅い」
「あーすみません」
ヘラヘラとそう告げると重鷹さんは舌打ちをして俺を部屋に入れてくれた。
「お茶でも飲むか?」
「会長、俺お茶を飲むためにここに来たんじゃありませんよ」
「……はぁ、それもそうか」
重鷹さんは俺の腕を取ってベッドに連れて行くとそっと俺を押し倒した。
俺の頬を愛おしげに見つめて撫でている。
でも、俺は知ってる。ちゃんとわかってる。
「あ、ちょっと待ってください」
俺はつけていたカツラを取ってベッドの脇に置く。重鷹さんを見ると僅かばかり目を見開いていた。
「会長、日向って呼んで」
「……なぜだ」
「だって、好きなんでしょ? 日向が。大丈夫、俺、慣れてるから。だから俺を日向の代わりにしてよ」
ニコリと笑ってそう伝えた。俺の精一杯頑張って作った余裕のある笑顔だ。
本当はこれからすることが怖くてたまらない。
だからせめて代わりという言葉う強調した。
だって大切な人の代わりなら大切に扱ってくれるでしょう?
大切な人を抱く時みたいに。俺を愛おしくてたまらないんだって、そんな風に。
俺は重鷹さんからそんな風に抱かれてみたいんだ。例え偽物の愛でもいい。
大切な人からそう扱われてみたいんだ。
なんて考えていた俺は甘かった。
会長は俺の思いに応えるように俺を大切に抱いてくれた。
まるで愛おしい人を見るかのような顔で、壊れ物を扱うかのような慎重な手で。
俺の願いは叶ったというのに、抱かれる前より虚しくなった。
だって、全部偽物だ。偽物の愛でもいいなんて、何も知らないから言えたことだ。
会長に抱いてもらえるだけマシと諦めていた心は、少し優しくされただけで、もっともっとと浅ましく、会長の心を得ようと求めてしまうんだ。
会長に抱かれて俺じゃ会長の好きな人になれない。
それだけを痛いほど痛感した。
双子だっていうのにこんなに違う。
あいつはいつだって人に好かれて、俺はいつだって嫌われる。
人に好かれる努力はしたけど、なぜかみんな俺から離れて行く。
なぜか根も葉もない噂が俺を取り巻く。
会長は俺にキスを一度もしなかった。
相手が日向だったらキスしたの?
自分から望んでこの関係になったというのに、ギュッと胸が締め付けられた。
俺、こんなに日向になりたいと思ったことはないよ。
それでもやっぱり好きな人としたものだからか、1人で慣らしている時は気持ち悪さしか感じなかったのに、会長のが入っている間、俺は頭が空っぽになったかのように気持ち良さと幸せを感じていた。
だから危惧していたように慣れていないことがバレることもなかった。
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