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司のその後4
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只野さんの家に着いて、バーベキューの準備をしていると、佐渡さんご一家が現れた。
「こんばんは」
「佐渡さん、こんばんは」
「司さん、伊月って呼んでくれると嬉しいです」
はにかみながらそう言った伊月さんは、最初の頃より明るい表情でより可愛らしくなっていた。
それに、2人目を妊娠中でお腹も大きくなっている。
「只野が家でバーベキューしようなんて槍でも降るかと思ったよ」
「どう言う意味だよ、佐渡」
銀次様に怒り顔で返した只野さんも結構楽しそうに見える。
「四葉くん! 遊ぼ!」
「うん!」
繋心くんと四葉は2人ではしゃぎ回り始めて佐渡家の3人が来て急に賑やかになった。
「今日は俺が肉を焼くよ」
「銀次さん、大丈夫です。僕が焼くので座っててください!」
「だーめ。いつも家を任せっきりだからこんな時くらい、父親っぽいことさせてよ」
「おい、お前ら私たちもいることを忘れるなよ。それに今日は私に任せてくれ。今まで夕飯は結構佐渡に甘えていたからな」
銀次様と伊月さんのイチャイチャを止めながら、困った奴らだなと苦笑いしている只野さんを見て、なぜだか胸がドキドキした。
バーベキューも終わり、お風呂も借りて四葉と一緒に入った後はゲストルームに案内された。
「部屋はたくさんあるんだが、有効活用できていないんだ。2人がこの家を気に入って一緒に住んでくれると嬉しい」
改めてそう言われると少し照れ臭い気持ちになった。
只野さんが部屋を出て行ってから四葉が不思議そうな顔をした。
「一緒に? お父さん、僕たちここに住むの?」
「只野さんが、一緒に住んでもいいよって言ってくれているんだ。四葉はここに住みたい?」
「僕は……、僕は、ここに住みたい、な」
ゆっくりと考えながらそう言った。
四葉は気を使って、あまり「したい」などの積極的なことは言わないから、びっくりした。
「そっか、私も……四葉と一緒でここに住みたいよ」
そう言うと、四葉は嬉しそうに笑った。
「本当か! じゃあ引っ越しはいつになるんだ?」
翌朝、ここに住みたい旨を只野さんに伝えると、只野さんは想像以上に喜んでくれた。
只野さんは本当に一緒に住みたいと思ってくれてるんだ、と嬉しくなった。
そういえば、只野さんは結婚とか考えていないんだろうか。
私たちをここに住まわせてくれるくらいだから、今はそういう相手がいないのかもしれないけど、いずれできた時にはすぐにここを出られるように貯金しとかないといけないな。
只野さんとまだ見ぬ結婚相手を想像して胸がズキっと痛んだ。
「四葉くん、今日はどこか行きたいところはあるか?」
「えっ」
「司、えってなんだ。今日は私も休みなんだよ。どこか一緒に出かけてもいいだろう」
「でも、昨日もバーベキューで疲れたでしょうし、休んだほうがいいんじゃ」
「司……私はお前と同じ歳だぞ。年寄り扱いするな。それに私は2人で出かけたいんだよ」
「僕……水族館に行きたい」
「そうか、じゃあ今日は水族館に行こう」
「うん!」
四葉は只野さん相手だとお願いを言いやすく思っているのかもしれない。
四葉が甘えられる人が増えるのはいいことだ。
だけど、こんな生活が一生続く訳じゃないことは肝に命じておかないとなと身を引き締めた。
「こんばんは」
「佐渡さん、こんばんは」
「司さん、伊月って呼んでくれると嬉しいです」
はにかみながらそう言った伊月さんは、最初の頃より明るい表情でより可愛らしくなっていた。
それに、2人目を妊娠中でお腹も大きくなっている。
「只野が家でバーベキューしようなんて槍でも降るかと思ったよ」
「どう言う意味だよ、佐渡」
銀次様に怒り顔で返した只野さんも結構楽しそうに見える。
「四葉くん! 遊ぼ!」
「うん!」
繋心くんと四葉は2人ではしゃぎ回り始めて佐渡家の3人が来て急に賑やかになった。
「今日は俺が肉を焼くよ」
「銀次さん、大丈夫です。僕が焼くので座っててください!」
「だーめ。いつも家を任せっきりだからこんな時くらい、父親っぽいことさせてよ」
「おい、お前ら私たちもいることを忘れるなよ。それに今日は私に任せてくれ。今まで夕飯は結構佐渡に甘えていたからな」
銀次様と伊月さんのイチャイチャを止めながら、困った奴らだなと苦笑いしている只野さんを見て、なぜだか胸がドキドキした。
バーベキューも終わり、お風呂も借りて四葉と一緒に入った後はゲストルームに案内された。
「部屋はたくさんあるんだが、有効活用できていないんだ。2人がこの家を気に入って一緒に住んでくれると嬉しい」
改めてそう言われると少し照れ臭い気持ちになった。
只野さんが部屋を出て行ってから四葉が不思議そうな顔をした。
「一緒に? お父さん、僕たちここに住むの?」
「只野さんが、一緒に住んでもいいよって言ってくれているんだ。四葉はここに住みたい?」
「僕は……、僕は、ここに住みたい、な」
ゆっくりと考えながらそう言った。
四葉は気を使って、あまり「したい」などの積極的なことは言わないから、びっくりした。
「そっか、私も……四葉と一緒でここに住みたいよ」
そう言うと、四葉は嬉しそうに笑った。
「本当か! じゃあ引っ越しはいつになるんだ?」
翌朝、ここに住みたい旨を只野さんに伝えると、只野さんは想像以上に喜んでくれた。
只野さんは本当に一緒に住みたいと思ってくれてるんだ、と嬉しくなった。
そういえば、只野さんは結婚とか考えていないんだろうか。
私たちをここに住まわせてくれるくらいだから、今はそういう相手がいないのかもしれないけど、いずれできた時にはすぐにここを出られるように貯金しとかないといけないな。
只野さんとまだ見ぬ結婚相手を想像して胸がズキっと痛んだ。
「四葉くん、今日はどこか行きたいところはあるか?」
「えっ」
「司、えってなんだ。今日は私も休みなんだよ。どこか一緒に出かけてもいいだろう」
「でも、昨日もバーベキューで疲れたでしょうし、休んだほうがいいんじゃ」
「司……私はお前と同じ歳だぞ。年寄り扱いするな。それに私は2人で出かけたいんだよ」
「僕……水族館に行きたい」
「そうか、じゃあ今日は水族館に行こう」
「うん!」
四葉は只野さん相手だとお願いを言いやすく思っているのかもしれない。
四葉が甘えられる人が増えるのはいいことだ。
だけど、こんな生活が一生続く訳じゃないことは肝に命じておかないとなと身を引き締めた。
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