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夜1
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食べて呑んで、だけれどまだ離れていた長い時間の話を語り足りない様子だったけど、司さんは立ち上がった。
「少し飲みすぎてしまいました。今日は本当にありがとうございました」
「司さん、今日は泊まって行ってください。服のサイズも僕のとそう変わらないでしょうし」
僕がそう言うのを只野さんが手で制した。
「司は私のところに泊まればいい。伊月くんは今日は佐渡の相手をしないとならないだろうからな」
そう言って意味ありげに僕と銀次さんを見た。
「松尾先生、只野のおじさんの家に泊まるの!? 僕も行きたい!」
「繋心、ダメだよ。只野さんのご迷惑になるでしょう?」
「私は大丈夫だ。繋心、泊まりにくるか?」
「うんっ! やったあ! ねぇお父さんいいでしょう!? 僕、ちゃんといい子にするから!」
只野さんにもう一度、目で確認するとうなずいてくれたので、お言葉に甘えることにした。
「分かった。ちゃんと只野さんと先生の言うことを聞くんだよ?」
「うん!」
「只野さん、司さんご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」
只野さんと司さんと繋心が向かいの家に入って行くのを見届けて、リビングに戻ると銀次さんは静かに酒を飲んでいた。
何だか、今朝見た光景と同じだ。
もっとも銀次さんが朝飲んでいたのはコーヒーだったけど。
銀次さんはグラスを置いて僕の方に近づいてきた。
「銀次さん……?」
そういえば先ほどから一言も話していない。
3人が居たときは和やかに会話していたのに、今の雰囲気は和やかとは言いずらかった。
銀次さんに壁の方に追い詰められて、指で顎を持ち上げられた。
そのままキスをされて舌が口に入り込んでくる。
お酒を飲んでいない僕の舌が、銀次さんの飲んでいたお酒の味を微かに感じ取った。
いつもよりも激しく口の中で暴れる銀次さんの舌に、僕は息も絶え絶えになりながら応えた。
腰がゾクゾクして力が入らなくなりしゃがみ込みそうになる体を銀次さんに抱えられて寝室まで運ばれた。
銀次さんは僕を冷たい布団の上に横たえて、服のボタンを1つづつ丁寧に外し始めた。
「……伊月くんの『僕なんて』って考えは、俺を不安にさせる」
「え」
低いかすれた声でポツリと告げられたその言葉はひどく切なそうに聞こえる。
銀次さんはさらに続けた。
「何かあれば伊月くんが、行き先も告げずに俺の前から居なくなりそうで怖い」
「銀次さん……」
「今は、繋心が居てくれて、そのおかげでここに留まることを少しは迷ってくれるんじゃないかと……子は鎹という考えに縋りたくなる。だけどそんな考えじゃ繋心を利用しているように思えて、自分が嫌になる」
僕の服を脱がし終えて、今度は銀次さんが自分の身に付けていたものをゆっくりと脱ぎ始めた。
「銀次さんが繋心をちゃんと愛しているのは知っています」
「ああ、俺はちゃんと伊月くんも繋心も愛してる。……だけど、伊月くんを怖がらせたくなくて、黙っていたことがある」
「なんですか……?」
「伊月くんが俺から逃げないように、窓に柵をつけて、ドアに外からかけられる鍵を付けたいと思ったことがある」
「え?」
「そして、その部屋に閉じ込めて俺以外の誰にも見せたくないと思ったことがある」
「そんな……」
そこまでの愛を僕に向けられていると知って僕は嬉しくなった。
銀次さんは僕の頬を触って愛おしいものを見る目で僕を見つめた。
僕は銀次さんにちゃんと愛されてるんだ。
「でも、そんな事をして伊月くんを閉じ込めたら、流石に怖がられて嫌われるだろうと俺の中の理性が言うから仕方なく我慢していたんだよ」
薄く笑いながら銀次さんの左手で両手を頭の上に押さえつけられた。
「銀次さん……?」
「口を開けて……。怖い? ああ、ちゃんと開けられないなら開口器を使おうか」
あくまでも穏やかな口調で怖いことを言われて僕はすぐに口を開けた。
銀次さんの舌が入り込んできて歯列をなぞられ、上顎を探られ、舌を吸われてゾクゾクが止まらない。その間も銀次さんの右手は僕の胸や腹を弄ってビクビクと体が動いてしまう。
「んんっ……んぁ、はっん、ぁあんっ」
気持ち良すぎてどうにかなってしまいそうだ。
「暴れないで。伊月くんにひどいことをしたくないんだよ」
耳元で囁かれるその声にも僕の腰はビクビクと震える。
そのまま耳たぶを舐られチュパチュパと音を出しながら責められた。
「ああっ、んぁあ、やめっ、やめて……ッ、銀次さんっ」
懇願する僕を見て銀次さんはフッと笑った。
その息が耳に入ってびくっと体が震える。
次の瞬間には耳の中にヌメついた柔らかくて暖かい何かが入り込んできた。
それが舌だと言うのに気が付いたのは、それが中をかき混ぜるように動いて、セックスのように耳の穴から抜き差しし始めた時だった。
「ぁあっ、ひっ、っんん……銀次さんっ……ぁあっ」
「片手じゃいろいろやりづらいな」
銀次さんはそう言って僕から離れた。
右耳は空気に触れてひんやりして、心地が悪い。
銀次さんは、腰が抜けて体に力が入らない僕の手を横の棚から出したタオルでベットの上の柵に拘束した。
銀次さんの顔がまた近づいてきて、今度は左の耳に吸い付いた。
両方の乳首を責められて、僕は先ほどまでの刺激と合わせてもう限界に達していた。
「ぎんっ……もうっ、ああッ……」
僕がイクと銀次さんは僕をびっくりした顔で見てきた。
「少し飲みすぎてしまいました。今日は本当にありがとうございました」
「司さん、今日は泊まって行ってください。服のサイズも僕のとそう変わらないでしょうし」
僕がそう言うのを只野さんが手で制した。
「司は私のところに泊まればいい。伊月くんは今日は佐渡の相手をしないとならないだろうからな」
そう言って意味ありげに僕と銀次さんを見た。
「松尾先生、只野のおじさんの家に泊まるの!? 僕も行きたい!」
「繋心、ダメだよ。只野さんのご迷惑になるでしょう?」
「私は大丈夫だ。繋心、泊まりにくるか?」
「うんっ! やったあ! ねぇお父さんいいでしょう!? 僕、ちゃんといい子にするから!」
只野さんにもう一度、目で確認するとうなずいてくれたので、お言葉に甘えることにした。
「分かった。ちゃんと只野さんと先生の言うことを聞くんだよ?」
「うん!」
「只野さん、司さんご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」
只野さんと司さんと繋心が向かいの家に入って行くのを見届けて、リビングに戻ると銀次さんは静かに酒を飲んでいた。
何だか、今朝見た光景と同じだ。
もっとも銀次さんが朝飲んでいたのはコーヒーだったけど。
銀次さんはグラスを置いて僕の方に近づいてきた。
「銀次さん……?」
そういえば先ほどから一言も話していない。
3人が居たときは和やかに会話していたのに、今の雰囲気は和やかとは言いずらかった。
銀次さんに壁の方に追い詰められて、指で顎を持ち上げられた。
そのままキスをされて舌が口に入り込んでくる。
お酒を飲んでいない僕の舌が、銀次さんの飲んでいたお酒の味を微かに感じ取った。
いつもよりも激しく口の中で暴れる銀次さんの舌に、僕は息も絶え絶えになりながら応えた。
腰がゾクゾクして力が入らなくなりしゃがみ込みそうになる体を銀次さんに抱えられて寝室まで運ばれた。
銀次さんは僕を冷たい布団の上に横たえて、服のボタンを1つづつ丁寧に外し始めた。
「……伊月くんの『僕なんて』って考えは、俺を不安にさせる」
「え」
低いかすれた声でポツリと告げられたその言葉はひどく切なそうに聞こえる。
銀次さんはさらに続けた。
「何かあれば伊月くんが、行き先も告げずに俺の前から居なくなりそうで怖い」
「銀次さん……」
「今は、繋心が居てくれて、そのおかげでここに留まることを少しは迷ってくれるんじゃないかと……子は鎹という考えに縋りたくなる。だけどそんな考えじゃ繋心を利用しているように思えて、自分が嫌になる」
僕の服を脱がし終えて、今度は銀次さんが自分の身に付けていたものをゆっくりと脱ぎ始めた。
「銀次さんが繋心をちゃんと愛しているのは知っています」
「ああ、俺はちゃんと伊月くんも繋心も愛してる。……だけど、伊月くんを怖がらせたくなくて、黙っていたことがある」
「なんですか……?」
「伊月くんが俺から逃げないように、窓に柵をつけて、ドアに外からかけられる鍵を付けたいと思ったことがある」
「え?」
「そして、その部屋に閉じ込めて俺以外の誰にも見せたくないと思ったことがある」
「そんな……」
そこまでの愛を僕に向けられていると知って僕は嬉しくなった。
銀次さんは僕の頬を触って愛おしいものを見る目で僕を見つめた。
僕は銀次さんにちゃんと愛されてるんだ。
「でも、そんな事をして伊月くんを閉じ込めたら、流石に怖がられて嫌われるだろうと俺の中の理性が言うから仕方なく我慢していたんだよ」
薄く笑いながら銀次さんの左手で両手を頭の上に押さえつけられた。
「銀次さん……?」
「口を開けて……。怖い? ああ、ちゃんと開けられないなら開口器を使おうか」
あくまでも穏やかな口調で怖いことを言われて僕はすぐに口を開けた。
銀次さんの舌が入り込んできて歯列をなぞられ、上顎を探られ、舌を吸われてゾクゾクが止まらない。その間も銀次さんの右手は僕の胸や腹を弄ってビクビクと体が動いてしまう。
「んんっ……んぁ、はっん、ぁあんっ」
気持ち良すぎてどうにかなってしまいそうだ。
「暴れないで。伊月くんにひどいことをしたくないんだよ」
耳元で囁かれるその声にも僕の腰はビクビクと震える。
そのまま耳たぶを舐られチュパチュパと音を出しながら責められた。
「ああっ、んぁあ、やめっ、やめて……ッ、銀次さんっ」
懇願する僕を見て銀次さんはフッと笑った。
その息が耳に入ってびくっと体が震える。
次の瞬間には耳の中にヌメついた柔らかくて暖かい何かが入り込んできた。
それが舌だと言うのに気が付いたのは、それが中をかき混ぜるように動いて、セックスのように耳の穴から抜き差しし始めた時だった。
「ぁあっ、ひっ、っんん……銀次さんっ……ぁあっ」
「片手じゃいろいろやりづらいな」
銀次さんはそう言って僕から離れた。
右耳は空気に触れてひんやりして、心地が悪い。
銀次さんは、腰が抜けて体に力が入らない僕の手を横の棚から出したタオルでベットの上の柵に拘束した。
銀次さんの顔がまた近づいてきて、今度は左の耳に吸い付いた。
両方の乳首を責められて、僕は先ほどまでの刺激と合わせてもう限界に達していた。
「ぎんっ……もうっ、ああッ……」
僕がイクと銀次さんは僕をびっくりした顔で見てきた。
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