2 / 3
2
しおりを挟む
神宮寺さんとは2年付き合った。
2年付き合って、付き合う前より好きな気持ちは増した。
だけど、やっぱりどこまで行っても神宮寺さんはノンケだから。
2年たった今でも、キスは何度もしたけどセックスは数えるほどしかしていない。
そのセックスも触り合いみたいな感じで、セックスと言うより前戯止まりという感じだった。
セックスだけが全てじゃない。
だけど、付き合いたてのカップルが2年経って数えるほどしかしていないというのは脈はないってことなのだろう。
この2年、俺は楽しくて幸せで仕方なかったけど、神宮寺さんはどう思っていたんだろう。
最近、神宮寺さんの様子がおかしい。
スマホを見ている時間が増えて、俺が話しかけると挙動不審で。
この間、神宮寺さんの部屋を掃除してたら新しいパンツとか服とか沢山出てきた。
普段あまり服を買い替えるような人ではないし、買う時はいつも俺に相談してきてたのに。
デートに誘ってもおうちデートばかりになった。
そんな時、白木が彼氏と別れたと噂が流れてきた。
ああ。
だからだったのか。
神宮寺さんは俺と別れたいと思っていたのか。
神宮寺さんは優しくて、カッコ良くて、良いところばっかりだから。
きっと俺と別れて、白木に告白ができたら全てうまく行って、神宮寺さんは白木と結婚してしまうんだろう。
神宮寺さんは幸せになるべき人間だ。
人に優しくできない俺と違って、光の中で生きていくべき人間だ。
俺にできる善と言ったら神宮寺さんとすんなり別れてあげるくらいだ。
白木も神宮寺さんと似たようなところがある。
基本的に人に優しいし、親切だ。
2人はきっとお似合いのカップルになる。
俺は神宮寺さんを飲みに誘った。
今日は焼き魚を頼まなかった。
目の前の神宮寺さんは楽しそうに笑って話している。
早く、早く、ここ最近の神宮寺さんの憂いを晴らしてあげないと。
「神宮寺さん」
「ん? どうした?」
「別れましょうか」
俺がやっと口に出すと神宮寺さんはぽかんとした顔をした。
「……は?」
まさか俺から別れを切り出すなんて思っていなかったのだろう。
「じゃあ、そういう事ですので……。明日から職場で気まずいかもしれませんが、普通にできるよう心がけます。2年もの間、俺に付き合ってくれてありがとうございました」
頭を下げてお礼を伝え財布の中から飲み代として1万円を取り出して机に置いた。
「ちょっと待て、どうしたいきなり」
俺はその言葉には返事をせずに財布をカバンにしまって店を後にしようとした。
だけど腕を掴まれて止められた。
「白木さん、彼氏と別れたって噂ですよね。神宮寺さんは誠実な人だから、俺がいたらアピールできないでしょう」
「何言ってんだ……?」
神宮寺さんは俺の言ってることが本当に心底分からないというような困惑した顔をした。
「今更、俺に気を使わないでください。俺はこの2年、神宮寺さんと付き合ってもらえただけで最高に幸せだったんですから。本当にありがとうございました」
俺は神宮寺さんに掴まれた手をやんわりと外して店の外に出た。
しばらく歩いて人のいない公園に着いてからベンチに座って詰めていた息を吐き出した。
2年付き合って、付き合う前より好きな気持ちは増した。
だけど、やっぱりどこまで行っても神宮寺さんはノンケだから。
2年たった今でも、キスは何度もしたけどセックスは数えるほどしかしていない。
そのセックスも触り合いみたいな感じで、セックスと言うより前戯止まりという感じだった。
セックスだけが全てじゃない。
だけど、付き合いたてのカップルが2年経って数えるほどしかしていないというのは脈はないってことなのだろう。
この2年、俺は楽しくて幸せで仕方なかったけど、神宮寺さんはどう思っていたんだろう。
最近、神宮寺さんの様子がおかしい。
スマホを見ている時間が増えて、俺が話しかけると挙動不審で。
この間、神宮寺さんの部屋を掃除してたら新しいパンツとか服とか沢山出てきた。
普段あまり服を買い替えるような人ではないし、買う時はいつも俺に相談してきてたのに。
デートに誘ってもおうちデートばかりになった。
そんな時、白木が彼氏と別れたと噂が流れてきた。
ああ。
だからだったのか。
神宮寺さんは俺と別れたいと思っていたのか。
神宮寺さんは優しくて、カッコ良くて、良いところばっかりだから。
きっと俺と別れて、白木に告白ができたら全てうまく行って、神宮寺さんは白木と結婚してしまうんだろう。
神宮寺さんは幸せになるべき人間だ。
人に優しくできない俺と違って、光の中で生きていくべき人間だ。
俺にできる善と言ったら神宮寺さんとすんなり別れてあげるくらいだ。
白木も神宮寺さんと似たようなところがある。
基本的に人に優しいし、親切だ。
2人はきっとお似合いのカップルになる。
俺は神宮寺さんを飲みに誘った。
今日は焼き魚を頼まなかった。
目の前の神宮寺さんは楽しそうに笑って話している。
早く、早く、ここ最近の神宮寺さんの憂いを晴らしてあげないと。
「神宮寺さん」
「ん? どうした?」
「別れましょうか」
俺がやっと口に出すと神宮寺さんはぽかんとした顔をした。
「……は?」
まさか俺から別れを切り出すなんて思っていなかったのだろう。
「じゃあ、そういう事ですので……。明日から職場で気まずいかもしれませんが、普通にできるよう心がけます。2年もの間、俺に付き合ってくれてありがとうございました」
頭を下げてお礼を伝え財布の中から飲み代として1万円を取り出して机に置いた。
「ちょっと待て、どうしたいきなり」
俺はその言葉には返事をせずに財布をカバンにしまって店を後にしようとした。
だけど腕を掴まれて止められた。
「白木さん、彼氏と別れたって噂ですよね。神宮寺さんは誠実な人だから、俺がいたらアピールできないでしょう」
「何言ってんだ……?」
神宮寺さんは俺の言ってることが本当に心底分からないというような困惑した顔をした。
「今更、俺に気を使わないでください。俺はこの2年、神宮寺さんと付き合ってもらえただけで最高に幸せだったんですから。本当にありがとうございました」
俺は神宮寺さんに掴まれた手をやんわりと外して店の外に出た。
しばらく歩いて人のいない公園に着いてからベンチに座って詰めていた息を吐き出した。
24
お気に入りに追加
187
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
離したくない、離して欲しくない
mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。
久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。
そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。
テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。
翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。
そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。
その日君は笑った
mahiro
BL
大学で知り合った友人たちが恋人のことで泣く姿を嫌でも見ていた。
それを見ながらそんな風に感情を露に出来る程人を好きなるなんて良いなと思っていたが、まさか平凡な俺が彼らと同じようになるなんて。
最初に書いた作品「泣くなといい聞かせて」の登場人物が出てきます。
※完結いたしました。
閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。
拙い文章でもお付き合いいただけたこと、誠に感謝申し上げます。
今後ともよろしくお願い致します。
カランコエの咲く所で
mahiro
BL
先生から大事な一人息子を託されたイブは、何故出来損ないの俺に大切な子供を託したのかと考える。
しかし、考えたところで答えが出るわけがなく、兎に角子供を連れて逃げることにした。
次の瞬間、背中に衝撃を受けそのまま亡くなってしまう。
それから、五年が経過しまたこの地に生まれ変わることができた。
だが、生まれ変わってすぐに森の中に捨てられてしまった。
そんなとき、たまたま通りかかった人物があの時最後まで守ることの出来なかった子供だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる