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ピアス

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会長の案内のままパンフレットに書かれたお店で歩きながらでも食べられる骨つきの肉を買って適当な椅子に座った。

「会長、俺会長についてあまり知らない気がするんですけど」

俺がそう言うと、会長は少し不思議そうな顔をした。

「そうか? まぁでも付き合い始めてからそんなに2人きりになる時間もなかったんだし、これから知ればいいだろ?」
「じゃあ教えてください。俺はO型、4月1日生まれ、うーん……あとは好きな食堂の食べ物はカレーうどんです」
「ふ、はは。普通そこは好きな食べ物は~だろ。はは、なんで食堂限定?」
「い、いいじゃないですか! それで、会長は血液型、誕生日、好きな食べ物なんですか」

俺がそう言うと会長は少し言いづらそうな顔をした。
あ、これって、俺、わかんないけど踏み込みすぎってやつ?
血液型とか誕生日とか好きな食べ物とか、恋人じゃなくても知ってるところから攻めたつもりだったけど、ダメだったんだ。

「あ、いや、なんかまた余計なこと考えてんな? 違うぞ! 俺はAB型。好きな学食の食べ物はとり天定食だな」
「学食限定じゃなくてもいいのに。でも、ありがとうございます。会長について知ってることが増えて嬉しいです。誕生日は」
「誕生日な……今日なんだ」
「え!?」
「誕生日は龍介と一緒にいたかったから」
「い、言ってくれたらよかったのに! 俺、プレゼントとか何も持ってない。どうしよう」
「そのことなんだが、1つ欲しいものがある」
「え! なんですか?」
「そろそろ、会長じゃなく名前で呼んで欲しい」
「く、久我先輩?」
「ではなく?……まさか、知らないってことはないよな」
「……よ、吉宗先輩」
「先輩はいらないな」
「吉宗さん!!」
「まぁ、さんもいらないが、それは後々でいい。最高のプレゼントだ。嬉しい、ありがとうな」


会長はああ言っていたけど、やっぱり付き合って初めての誕生日なのだし、何か形に残るプレゼントがしたい。
あれからお土産屋さんで何かないかとプレゼントを探した。

これだ! と俺が選んだのはシンプルなフープピアスで黒と銀の2種類があったのでお揃いにするために両方買った。
でも重いって思われるかな。
それに会長ってピアス開けてるのかな。
俺は開けてないから、会長に開けてもらいたい。
いや、それってやっぱり重いって思われそう。

すっかり夜になって会長が予約しておいてくれたホテルに向かった。
着いたホテルは出来たばっかりのきれいなホテルだった。
部屋に荷物を置いてからホテルの近くの食事処で和食を食べた。
ホテルの部屋に戻ってきてから買ってきたピアスを渡した。

「吉宗さん、誕生日おめでとうございます。これお揃いで買いました」
「気を使わせてすまない。だが、嬉しい。ありがとう」

そう言って会長はピアスを受け取って中を見て驚いた顔をした。

「ピアス? 龍介ピアス開けてるのか?」

会長は俺に詰め寄って耳を覗き込んできた。

「え、いえ。だから会長に開けてもらおうと思ってピアッサーも買っておきました」
「そうか、それはいいな」

一瞬怒ったのかと思ったけど、気のせいだったみたいでニコニコしている会長を見て安心した。
そして俺はやたら上機嫌な会長にピアスを開けてもらって、会長も開けたことがないと言うので、会長のは俺が開けた。

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