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会長と
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結局、体育祭では1年生の個人で2位を取ることができて狙ってたものじゃないものの特典をゲットすることができた。
ゲットできた特典は“3ヶ月間校内での購入品全品半額”だった。
「よかった。今回はまともで」
「前回もまともだったろうが」
頭をポスっと叩かれて後ろを振り返ると一十木先生が呆れ顔で立っていた。
「いや、ソーデスネ。ハハハ」
「全くお前は可愛くねぇ~なぁ」
「そりゃ、俺なんて全然可愛くないですよ」
「なに拗ねてんだよ。冗談だろ?」
「分かってますけど!」
「なんだよ。荒れてんなぁ。先生で良かったら話を聞いてあげよう。さぁ、この頼れる先生に話しなさい」
「頼れる……」
「ほら、いいからこっちこい」
先生に腕を掴まれてタバコ臭い社会科準備室に連れて行かれた。
「んで? なにカリカリしてんだ?」
「面倒くさがりな先生が生徒の悩み事聞くなんて言い出すして怖くて悩みなんて話せません」
「お前……全く生意気なやつだな」
困った顔の先生になぜだか申し訳なくなって俺は一息吐いてから話し出した。
「……好きな人ができたんです」
「ほう。そりゃめでたい。だがそれでなんでそんなにカリカリしてる?」
「好きな人から付き合ってくれって言われて、俺はその人が俺を好きじゃないだろうって思いながらも誘惑に駆られて付き合うことにしたんです」
「ほう」
「でも、体育祭で忙しくて会う時間なくて。んで相手にはもう可愛い人が」
「振られたってことか?」
俺は首を振った。
「振られたとかじゃないんです。そもそも付き合ってなかったのかも。俺、人を好きになったのも人と付き合うことになったのも初めてだからよく分からないんです」
「なんで相手がお前のこと好きじゃないなんて思う」
なんでって。
会長はゲイとバイが嫌いで。
俺も会長も男だから。
ドンドンドン!
ドアが激しい音でノックされてビクッと体が動いてしまった。
「はーい。空いてんぞ」
先生が答えるとドアが開いて入ってきたのは会長だった。
「龍介!」
「会長……どうしたんですか。そんな慌てて」
「龍介が社会科準備室に連れて行かれたって聞いて。大丈夫か? 何もされてないよな?」
「何もされてないって……?」
「おい、なんだその失礼な物言いは。俺が生徒に手を出すわけねぇだろ」
「分かりませんよ。そんなこと。龍介は可愛いから」
「は? 可愛い? 俺が? 町田くんのことじゃなく?」
俺がそう言うと会長は顔をしかめた。
「町田? あいつが可愛いわけあるか」
「で、でも、会長が町田くんと付き合い始めたって、噂で」
「そんなわけあるか。あいつは俺の従兄弟だ。諸事情で季節外れの転入になってしまったのを面倒見てやってただけだ」
「従兄弟……」
「というか俺たちは付き合ってんだよな? なんでそんな噂信じるんだ」
「だ、だって、町田くん……女の子みたいに可愛いから。会長はゲイが嫌いでしょう? それでも好きになるならああいう子なのかと思うじゃないですか」
「俺が好きなのはお前だ。可愛いと思うのもお前だ。この間告白した時は確証が持てなかったが体育祭の準備に追われる間、お前のことばかり考えてた。お前に会いたくて仕方なかった」
「う、そだ」
「嘘じゃない。というか、そんなことより」
「そんなこと?」
「ああ。そんなことより、これを見ろ!」
会長が手に持って掲げたのは学年1位で貰える“外泊許可書付き有名遊園地のペアチケット”だった。
「会長、それ……すごい。会長1位取ったんですね。いいなぁ楽しんできてください」
「お前……何言ってんだ。お前も行くんだよ。当たり前だろ」
今日の会長はテンションが高いらしい。
はしゃいでいるようで少し可愛いかった。
それにここ最近の俺の悩みも一気に解消して俺もやたらとテンションが高くなった。
やっぱり会長は不誠実なことなんてしてなかった。
疑ってすみません。
「おい、何だか分かんねぇけど、解決したんなら帰ってくんない?」
先生が呆れ顔で俺たちを追い出した。
ゲットできた特典は“3ヶ月間校内での購入品全品半額”だった。
「よかった。今回はまともで」
「前回もまともだったろうが」
頭をポスっと叩かれて後ろを振り返ると一十木先生が呆れ顔で立っていた。
「いや、ソーデスネ。ハハハ」
「全くお前は可愛くねぇ~なぁ」
「そりゃ、俺なんて全然可愛くないですよ」
「なに拗ねてんだよ。冗談だろ?」
「分かってますけど!」
「なんだよ。荒れてんなぁ。先生で良かったら話を聞いてあげよう。さぁ、この頼れる先生に話しなさい」
「頼れる……」
「ほら、いいからこっちこい」
先生に腕を掴まれてタバコ臭い社会科準備室に連れて行かれた。
「んで? なにカリカリしてんだ?」
「面倒くさがりな先生が生徒の悩み事聞くなんて言い出すして怖くて悩みなんて話せません」
「お前……全く生意気なやつだな」
困った顔の先生になぜだか申し訳なくなって俺は一息吐いてから話し出した。
「……好きな人ができたんです」
「ほう。そりゃめでたい。だがそれでなんでそんなにカリカリしてる?」
「好きな人から付き合ってくれって言われて、俺はその人が俺を好きじゃないだろうって思いながらも誘惑に駆られて付き合うことにしたんです」
「ほう」
「でも、体育祭で忙しくて会う時間なくて。んで相手にはもう可愛い人が」
「振られたってことか?」
俺は首を振った。
「振られたとかじゃないんです。そもそも付き合ってなかったのかも。俺、人を好きになったのも人と付き合うことになったのも初めてだからよく分からないんです」
「なんで相手がお前のこと好きじゃないなんて思う」
なんでって。
会長はゲイとバイが嫌いで。
俺も会長も男だから。
ドンドンドン!
ドアが激しい音でノックされてビクッと体が動いてしまった。
「はーい。空いてんぞ」
先生が答えるとドアが開いて入ってきたのは会長だった。
「龍介!」
「会長……どうしたんですか。そんな慌てて」
「龍介が社会科準備室に連れて行かれたって聞いて。大丈夫か? 何もされてないよな?」
「何もされてないって……?」
「おい、なんだその失礼な物言いは。俺が生徒に手を出すわけねぇだろ」
「分かりませんよ。そんなこと。龍介は可愛いから」
「は? 可愛い? 俺が? 町田くんのことじゃなく?」
俺がそう言うと会長は顔をしかめた。
「町田? あいつが可愛いわけあるか」
「で、でも、会長が町田くんと付き合い始めたって、噂で」
「そんなわけあるか。あいつは俺の従兄弟だ。諸事情で季節外れの転入になってしまったのを面倒見てやってただけだ」
「従兄弟……」
「というか俺たちは付き合ってんだよな? なんでそんな噂信じるんだ」
「だ、だって、町田くん……女の子みたいに可愛いから。会長はゲイが嫌いでしょう? それでも好きになるならああいう子なのかと思うじゃないですか」
「俺が好きなのはお前だ。可愛いと思うのもお前だ。この間告白した時は確証が持てなかったが体育祭の準備に追われる間、お前のことばかり考えてた。お前に会いたくて仕方なかった」
「う、そだ」
「嘘じゃない。というか、そんなことより」
「そんなこと?」
「ああ。そんなことより、これを見ろ!」
会長が手に持って掲げたのは学年1位で貰える“外泊許可書付き有名遊園地のペアチケット”だった。
「会長、それ……すごい。会長1位取ったんですね。いいなぁ楽しんできてください」
「お前……何言ってんだ。お前も行くんだよ。当たり前だろ」
今日の会長はテンションが高いらしい。
はしゃいでいるようで少し可愛いかった。
それにここ最近の俺の悩みも一気に解消して俺もやたらとテンションが高くなった。
やっぱり会長は不誠実なことなんてしてなかった。
疑ってすみません。
「おい、何だか分かんねぇけど、解決したんなら帰ってくんない?」
先生が呆れ顔で俺たちを追い出した。
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