8 / 22
噂
しおりを挟む
「なぁ、ゲイとかバイとかが嫌いな会長がさぁ、それでも男と付き合う時ってどんな時だと思う?」
俺は食堂で昼食中に和葉にこっそりと聞いた。
「なに? やっぱ好きになっちゃったの? 会長のこと」
「んー、いやそんなんじゃないんだけど。決してそういうことじゃないんだけれども、例えばそうなったら、それって会長は何を考えて付き合うことになったのかなぁって思ってさ」
「龍介、あの噂もう聞いたの?」
「へ? あの噂?」
「またまたぁ、会長が最近僕たちと同じ学年に転入してきた町田くんと付き合い始めたって噂のことだよ。それ知っててその質問だろ? まぁ、あの会長が男と付き合うって嘘だろって思ったけどさ」
は……。
なんだよそれ。
余計意味わかんねぇよ。
町田? 誰だよそれ。
いやいや。
そんなはずねぇって。
噂は所詮噂ってことだろ。
「でも町田くんって女の子と見間違うくらい可愛くってさ、正直ゲイとかバイとか関係なくいいなって思う気持ちはわかるよなぁ」
「よなぁって、俺今の今まで転入生の存在すら知らなかったよ」
「まじ? 3組にいるから今度見てみなよ」
「わかった。でもなんでそんな噂が回ってんの? 会長って誰にでも当たり障りない感じなんだろ?」
「いや、僕もあんまり知らないんだけどさ、なんかお昼一緒に食べてたり腕組んで歩いてたりするのを目撃した人が何人かいるらしいんだよ」
「……まじか」
まじかぁ。
1人が言ってるとかじゃなくて何人かが言ってんのかぁ。
じゃあなんで俺と付き合えなんて言ってきたんだ?
会長ってゲイ嫌いとか以前にそういう浮気とか嫌いそうなのにな。
俺は会長と付き合いが長いわけでもないし、あくまで印象でしかないけど。
考え出したら心臓がドクドクと煩くて、痛くて。
会長が本当に町田って人と付き合ってるのか、噂を確認するのが怖くなった。
もし本人に聞きでもして、この前のことは冗談だったと言われるんじゃないかとか、そんな風に思ってしまった。
俺って人を好きになるとこんなにめんどくさくなっちゃうんだ。
嫌だな。
俺がこんなめんどくさいこと考えてるのが、会長にバレちゃったら俺……。
会長にめんどくさいって思われたくないな。
会長に嫌われたくないな。
今まで俺は周りの人が恋愛してるのをみる時みんなキラキラしてて楽しそうだなって思ってた。
でも人を好きになるのって噂一つで悩んじゃうくらいこんなに苦しいことなんだ。
俺は食堂で昼食中に和葉にこっそりと聞いた。
「なに? やっぱ好きになっちゃったの? 会長のこと」
「んー、いやそんなんじゃないんだけど。決してそういうことじゃないんだけれども、例えばそうなったら、それって会長は何を考えて付き合うことになったのかなぁって思ってさ」
「龍介、あの噂もう聞いたの?」
「へ? あの噂?」
「またまたぁ、会長が最近僕たちと同じ学年に転入してきた町田くんと付き合い始めたって噂のことだよ。それ知っててその質問だろ? まぁ、あの会長が男と付き合うって嘘だろって思ったけどさ」
は……。
なんだよそれ。
余計意味わかんねぇよ。
町田? 誰だよそれ。
いやいや。
そんなはずねぇって。
噂は所詮噂ってことだろ。
「でも町田くんって女の子と見間違うくらい可愛くってさ、正直ゲイとかバイとか関係なくいいなって思う気持ちはわかるよなぁ」
「よなぁって、俺今の今まで転入生の存在すら知らなかったよ」
「まじ? 3組にいるから今度見てみなよ」
「わかった。でもなんでそんな噂が回ってんの? 会長って誰にでも当たり障りない感じなんだろ?」
「いや、僕もあんまり知らないんだけどさ、なんかお昼一緒に食べてたり腕組んで歩いてたりするのを目撃した人が何人かいるらしいんだよ」
「……まじか」
まじかぁ。
1人が言ってるとかじゃなくて何人かが言ってんのかぁ。
じゃあなんで俺と付き合えなんて言ってきたんだ?
会長ってゲイ嫌いとか以前にそういう浮気とか嫌いそうなのにな。
俺は会長と付き合いが長いわけでもないし、あくまで印象でしかないけど。
考え出したら心臓がドクドクと煩くて、痛くて。
会長が本当に町田って人と付き合ってるのか、噂を確認するのが怖くなった。
もし本人に聞きでもして、この前のことは冗談だったと言われるんじゃないかとか、そんな風に思ってしまった。
俺って人を好きになるとこんなにめんどくさくなっちゃうんだ。
嫌だな。
俺がこんなめんどくさいこと考えてるのが、会長にバレちゃったら俺……。
会長にめんどくさいって思われたくないな。
会長に嫌われたくないな。
今まで俺は周りの人が恋愛してるのをみる時みんなキラキラしてて楽しそうだなって思ってた。
でも人を好きになるのって噂一つで悩んじゃうくらいこんなに苦しいことなんだ。
50
お気に入りに追加
602
あなたにおすすめの小説

誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)


花いちもんめ
月夜野レオン
BL
樹は小さい頃から涼が好きだった。でも涼は、花いちもんめでは真っ先に指名される人気者で、自分は最後まで指名されない不人気者。
ある事件から対人恐怖症になってしまい、遠くから涼をそっと見つめるだけの日々。
大学生になりバイトを始めたカフェで夏樹はアルファの男にしつこく付きまとわれる。
涼がアメリカに婚約者と渡ると聞き、絶望しているところに男が大学にまで押しかけてくる。
「孕めないオメガでいいですか?」に続く、オメガバース第二弾です。


僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
大晦日あたりに出そうと思ったお話です。


【完結】君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、新たな恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
※カクヨムにも投稿始めました!アルファポリスとカクヨムで別々のエンドにしようかなとも考え中です!
カクヨム登録されている方、読んで頂けたら嬉しいです!!
番外編は時々追加で投稿しようかなと思っています!

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。
それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。
友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!!
なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。
7/28
一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる