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琢磨と優生

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忠次や会長は3年になり、俺や琢磨や優生は2年になった。
そして久しぶりに人気投票が行われ、その結果俺は何ともありがたくない事に抱かれたい生徒1位になっていた。
その結果のせいで俺は生徒会長に任命されてしまった。
琢磨は副会長になり、優生が会計を引き継いだ。
もともと琢磨がやっていた書記と和馬がやっていた庶務は、新1年生の中から選ばれた。

3年になったら受験や就職に備えるために役員には任命されないので、忙しさ的には忠次と逆になってしまったが、この間までで業務の簡易化や時間削減がだいぶ進んでいたので忠次と遊ぶ時間はたっぷり取る事ができた。

だが最近、生徒会の業務中で我慢ならないことがある。

「お前ら、いい加減にしろよ。1年も見てるんだぞ」
「リン! 言ってやってよ! 優生が勝手に!」

俺の言葉に必死で言い訳してくる琢磨は、今日も今日とて優生の膝の上だ。

そう。こいつらは所構わずいちゃいちゃしている。
新書記と新庶務の1年生はいつも目線のやり場に困っていてあまりにもかわいそうだ。

「琢磨さんが可愛くて」

優生は悪びれもせずにヘラリと笑った。

「っ。やめろよ! そういうこと言うの!」

真っ赤になった琢磨が怒っている。
琢磨と優生はこれで付き合っていないと言う。

「優生、琢磨を膝の上に乗せるのをやめろ。琢磨も琢磨だぞ。大人しく膝に座るな」
「だ、だって……」
「最近、琢磨さんを膝に乗せてないとなんか不安なんすよ」

優生が真面目な顔でそう言うのを琢磨は恨みがましく見上げて叫んだ。

「僕はお前の精神安定剤じゃないぞ!」

琢磨は嫌そうと言うよりもどちらかと言うと不安そう、悲しそうという言葉が合う顔をしていた。

「はぁ。優生、お前誰にでもそうじゃないだろ。何でそんなに琢磨に構うんだ」
「え。何でって別に……」

こいつ自覚がまるで無いのか。


「琢磨、ちょっとこっちに来てくれ」

そう言うと、琢磨は不思議そうな顔をしながら無防備に近づいて来た。
片手で顎を掴んでもう片方の手で腰を抱いて優生からはキスしているように見えるように琢磨に顔を近づける。

バッ!!

俺の腕の中にいた琢磨はすごい勢いで優生に奪われた。
何が起こったのか分かっていない琢磨はポカンとした表情のまま優生に連れ去れていった。

俺は2人の背中を見送りながらため息をついてそのまま椅子に座って仕事を再開した。

一度は俺に告白して来たこともある琢磨だが、今は完全に優生のことを好きな様子だ。
優生も琢磨もわかりやすくて助かる。
だが、あの2人はお互いの気持ちに気がついてない上に、優生の方は自分の気持ちにも気がついていない。
だがまぁ、今ので気がついただろう。

何と言っても俺は作業を早く終わらせて忠次と遊びたいのだから、あの2人の無自覚いちゃいちゃに邪魔されては困るのだ。

「真、良樹、騒がしくてごめんな」
「「い、いえ!」」

1年生に声をかけ謝ると手をブンブンと振って大丈夫ですからと繰り返した。
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