養父の命令で嫌われ生徒会親衛隊長になって全校生徒から嫌われることがタスクになりました

いちみやりょう

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忠次の嫉妬 注意R18 ※リンタダ

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私は最初、凛太郎がボコボコにした生徒、優生から凛太郎が慕われているのを知ってとても嬉しくなったし面白かった。
でもあれからしばらくして自分がもやもやとした気持ちになっていることに気がついた。
凛太郎も優生を可愛がり始めたのか、一緒にご飯を食べたり模擬喧嘩なるじゃれあいをしてあげたりしているらしい。

“あいつはなんか犬みてぇで可愛いよな”
”昔の自分見てるようでなんかほっとけねぇ"

と、よく言っている。
だから私は嫉妬しているんだろう。
だけど、私にそんな黒い感情があることを凛太郎に知られたくない。
一度は凛太郎に対して嫌な態度だった彼もあんなに可愛く慕うようになった。
そんな相手に対して嫉妬してるなんて凛太郎にだせぇと思われかねない。

だけど、そんなある日私は優生から突然話しかけられた。

「副会長様!」
「あ、優生くん。どうしたんですか?」

そう言うと優生は少し小声になって2人で話したいのだと言って来た。
使われていない空き教室に案内して2人になると優生は少し困った顔をしていた。

「あの、副会長様」
「何でしょう」
「最近、少し暗いとこあるっすよね。何か悩みとかあるんすか」
「え? 私に?」
「そうっす」

真剣な様子の彼を不思議に思った。
私の悩みなど聞いてどうするつもりなのだろう。
私には今悩みなど醜い嫉妬の件しかない。
だけどそれは彼も関わることなのでその悩みを打ち明けることはできないのだ。

「特にありませんが」
「嘘ですよね! 何か悩んでいるんでしょ! 俺っすか! 俺が関係してますか!! お願いします! 教えてください!!」
「いや、本当に私は」

そんな押し問答が続き、優生がなかなか諦めないのでついに白状することにした。

「……すみません。あなたを可愛がる凛太郎を目の当たりにして、少し醜い感情が……。あなたが悪いわけではありませんので」
「やっぱそうなんすね! 大丈夫っす! 俺は女の子が好きっすから! 榊さんへは憧れの感情で……っつってもそんなの信じてもらえないとは思うんすけど! 俺に良い考えがあります! 今日は寮に早く帰ってください!!」
「え?」
「いいっすね! 絶対早く帰ってくださいよ!!」
「わ、わかりました」

その勢いに押されて気がついたら私はそう返事をしていた。

優生と別れて嵐が過ぎ去ったように静かになってから一体何だったんだと我に帰った。
それに彼に気づかれるほど思い悩んでいたつもりは無いんだけどな。

そう思いつつ、放課後は急いで寮の部屋に帰った。
そのすぐ後にチャイムが鳴った。

開けると何故か全身びしょびしょになった凛太郎だった。
でも様子がおかしい。

「凛太郎、どうしたんですかその格好」
「はぁ……はぁ……ただつぐ……わりぃ……ん」

喘いでいるようなその声に私は意識するまでもなく息を呑んだ。
何だこれは。まるで媚薬を盛られたみたいな……。

「その水、誰に掛けられたんです?」
「ゆう、せいに……ぁ、はぁ……なんか、これでっ、全てうまくいくっすって、ん、言ってたな……はぁ、はぁ」
「あの子は……」

おそらく本当に媚薬を頭からかぶせられたんだろう。
辛そうにする凛太郎がかわいそうに思ったが、こんな状態になってすぐに私のところに来てくれる凛太郎が可愛く思った。

「はぁ、わり……もう我慢できねぇ……忠次……悪い」

そう言って私の服を脱がそうとする凛太郎にひょっとして抱くつもりなのだろうかと気がついた。だからこんなに謝ってる?
でも謝る必要なんかない。
もとより凛太郎には抱かれるつもりだったのだから。

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