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養父に
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「養父。久しぶり」
少しだけ緊張する気持ちを抑えながら電話をした。
お袋の状況も気になるし、忠次が挨拶をしたいと言っていたし。
『ああ』
電話からいつも通り無機質な養父の声が聞こえた。
「お袋の具合はどうなんだ」
『ああ。順調に治療は進んでいる』
「っ。そうか」
『話はそれだけか』
「あ……いや。会ってもらいたい人がいるんだ」
『私に?』
「俺の……大切な人だ。もしも会ってくれるつもりがあるならその時にちゃんと紹介する」
『……そうか。わかった。予定は追って連絡しよう』
「ああ……養父」
『何だ』
「ありがとな」
『何だ突然。じゃあもう切るからな』
プツリと急ぐように電話が切れすぐに養父のスケジュールがメールで送られてきた。
その後を追うように追加で店の予約画面のスクショも送られてきた。
「ここで待ち合わせってことか」
流石の仕事の早さに少しだけ笑った。
養父は俺に母の命を盾に嫌われタスクを命令してきた。
だけど、本当は俺があそこで従わなくたって養父は母を助けてくれたんだろうって今の俺は気がついてる。だから俺は。あんたがそんな人だって本当は知ってたから。あんたの命令の1つくらい聞いておこうと思ったんだ。
その後はすぐに忠次に予定を伝えた。
「お義父さんが安心するように、しっかりした人間に見えるようにしないといけませんね」
「忠次はそのままで十分しっかりした人間に見えるよ」
「そう思ってくれているんですか? ふふ。嬉しいです」
忠次は本当に嬉しそうに笑ってくれた。
「その……俺の保護者に挨拶に行くんなら、俺も忠次の親に挨拶に行きたい」
「えっ! わ、私の」
忠次は狼狽えているような反応をした。
「あ、いや。無理ならいいんだ。男同士だし、いろいろあるよな」
「いや、そういう感じじゃ……いえ。お願いできますか? 挨拶」
忠次が決意を固めたみたいな顔でそう言った。
「本当か? 無理してないよな」
「いいえ。遅かれ早かれ通る道ならなるべく早い方がいいでしょう」
「そうか? えっと。じゃあ予定はどうする?」
「ああ。予定はいつでも大丈夫ですので、凛太郎のお義父さんに挨拶に行った帰りにしませんか?」
「おお。じゃあそれで!」
そんな感じで養父と忠次の両親に挨拶に行くことになった。
養父との待ち合わせ場所に着くと、養父はもう到着していて席に座って待っていた。
「養父。時間を取ってくれてありがとう。この人が俺の大事な人で交際してる、結城 忠次さん。忠次、この人が俺の父の兄で今は俺の保護者をしてくれてる叔父さん……えっと、榊 一之介」
「結城くん、初めまして。榊 一之介と申します」
「初めまして。結城 忠次と申します。よろしくお願いいたします」
あれ? 養父、なんかいつもと雰囲気が違うな。
そうは思ったものの、俺はそのまま席に座った。
席は個室になっていて何でも話しやすそうだ。
出てくる高級な感じの料理を食べながら意外にも和気藹々と話は進み俺は少し安心した。
俺たちが男同士であることも言及されないし、本当に良かった。
もしかしたら、あの学校を経営しているから男同士であることに対して寛容なのかもしれない。
「凛太郎。彼と少しだけ話がしたいのだが」
「2人で? それはちょっと」
俺が断ろうとすると、横から忠次が俺を手で制した。
「凛太郎。私も、お義父さんと話がしてみたいと思っていたんです。少しだけ、いいですか?」
忠次が真剣な顔でそう言ってくるから俺はわかったとうなずいた。
少しだけ緊張する気持ちを抑えながら電話をした。
お袋の状況も気になるし、忠次が挨拶をしたいと言っていたし。
『ああ』
電話からいつも通り無機質な養父の声が聞こえた。
「お袋の具合はどうなんだ」
『ああ。順調に治療は進んでいる』
「っ。そうか」
『話はそれだけか』
「あ……いや。会ってもらいたい人がいるんだ」
『私に?』
「俺の……大切な人だ。もしも会ってくれるつもりがあるならその時にちゃんと紹介する」
『……そうか。わかった。予定は追って連絡しよう』
「ああ……養父」
『何だ』
「ありがとな」
『何だ突然。じゃあもう切るからな』
プツリと急ぐように電話が切れすぐに養父のスケジュールがメールで送られてきた。
その後を追うように追加で店の予約画面のスクショも送られてきた。
「ここで待ち合わせってことか」
流石の仕事の早さに少しだけ笑った。
養父は俺に母の命を盾に嫌われタスクを命令してきた。
だけど、本当は俺があそこで従わなくたって養父は母を助けてくれたんだろうって今の俺は気がついてる。だから俺は。あんたがそんな人だって本当は知ってたから。あんたの命令の1つくらい聞いておこうと思ったんだ。
その後はすぐに忠次に予定を伝えた。
「お義父さんが安心するように、しっかりした人間に見えるようにしないといけませんね」
「忠次はそのままで十分しっかりした人間に見えるよ」
「そう思ってくれているんですか? ふふ。嬉しいです」
忠次は本当に嬉しそうに笑ってくれた。
「その……俺の保護者に挨拶に行くんなら、俺も忠次の親に挨拶に行きたい」
「えっ! わ、私の」
忠次は狼狽えているような反応をした。
「あ、いや。無理ならいいんだ。男同士だし、いろいろあるよな」
「いや、そういう感じじゃ……いえ。お願いできますか? 挨拶」
忠次が決意を固めたみたいな顔でそう言った。
「本当か? 無理してないよな」
「いいえ。遅かれ早かれ通る道ならなるべく早い方がいいでしょう」
「そうか? えっと。じゃあ予定はどうする?」
「ああ。予定はいつでも大丈夫ですので、凛太郎のお義父さんに挨拶に行った帰りにしませんか?」
「おお。じゃあそれで!」
そんな感じで養父と忠次の両親に挨拶に行くことになった。
養父との待ち合わせ場所に着くと、養父はもう到着していて席に座って待っていた。
「養父。時間を取ってくれてありがとう。この人が俺の大事な人で交際してる、結城 忠次さん。忠次、この人が俺の父の兄で今は俺の保護者をしてくれてる叔父さん……えっと、榊 一之介」
「結城くん、初めまして。榊 一之介と申します」
「初めまして。結城 忠次と申します。よろしくお願いいたします」
あれ? 養父、なんかいつもと雰囲気が違うな。
そうは思ったものの、俺はそのまま席に座った。
席は個室になっていて何でも話しやすそうだ。
出てくる高級な感じの料理を食べながら意外にも和気藹々と話は進み俺は少し安心した。
俺たちが男同士であることも言及されないし、本当に良かった。
もしかしたら、あの学校を経営しているから男同士であることに対して寛容なのかもしれない。
「凛太郎。彼と少しだけ話がしたいのだが」
「2人で? それはちょっと」
俺が断ろうとすると、横から忠次が俺を手で制した。
「凛太郎。私も、お義父さんと話がしてみたいと思っていたんです。少しだけ、いいですか?」
忠次が真剣な顔でそう言ってくるから俺はわかったとうなずいた。
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