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口を割らせる

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信じられるか?
高校2年の偉そうな生徒会長がどっかの亀にさらわれる姫みたいにさらわれた。

だが、助けに行かないわけにはいかない。
会長がさらわれたのは俺の責任だからだ。

会長がさらわれたと聞いたのは、俺が風紀委員室でいつものように雑用をやっている時だった。
急に琢磨が風紀委員室に飛び込んできたのだ。

「リン! 大変なんだよ!」
「どうしたのぉ? 書記さまぁ」

随分と慌てた様子の琢磨にそう聞くと琢磨は俺の腕にしがみついて涙目で見上げてきた。

「さらわれちゃったんだ!」
「さらわれた? 誰が?」
「会長だよっ。それで生徒会室に手紙が残されてて……それを見て副会長がどこかに走って行っちゃったし、ねぇ、リン! 僕どうしたらいいの!?」

取り乱しながらそう訴えてくる琢磨をよそに俺は周りを確認した。
風紀委員長の奴隷(風紀委員)たちは琢磨の話を聞いて動揺して一緒に慌ててる。
だが、委員長だけが余裕めいた顔でニヤついていた。

押し殺した笑いを隠すように口元に手をやる様子を確認して、俺はこの件に委員長が絡んでいるのだろう事を確信した。

だから、会長がさらわれたのは俺の責任なのだ。

俺は深いため息をついた。

もう、演技しようにも無理だ。

「琢磨、ちょっと出といてくれねぇか」

俺にすがりつく琢磨に小声で伝えると、キョトンとした顔をした後にコクリとうなずいて風紀室を出て行った。

「あのぉ、僕ぅ、委員長さまに大事なお話があるんですぅ~。2人きりにしてもらえませんかぁ?」

残った風紀委員たちにそう声をかけると彼らは嬉しそうに何かを期待した眼差しで各々返事をしながら出て行って。
後には俺と風紀委員長だけが残された。

「どうしたんですか? そんなに僕お2人きりになりたかったんですか?」

やたらと嬉しそうにそういう委員長に反吐が出る。

「会長の場所教えてもらおうと思ってぇ~」
「僕に? そんなの僕が知るわけないでしょう?」
「そうですかぁ? 委員長は知ってると思うけどなぁ」
「まぁ、君が僕にいろいろサービスしてくれると言うなら、会長の居場所も思い出すかもしれませんね」
「へぇ……サービス。それってどんな?」

俺がそう聞くと委員長はニチャと音がしそうなほど不快な笑い方をした。

「それはご自分で考えてください」
「……そうか……。そうか。俺が考えていいんだな?」
「どうしたんです? そのような粗暴な話し方などあなたには似合いませんよ」
「お前は俺を何も分っちゃいねぇ。いつものアレが、俺の偽物なんだよ」
「ふふ。そのような嘘をついても私があなたを好きなことは覆りませんよ。例えあなたが殺人者だろうと、どんなあなたでも僕はあなたを好きでいる自信がある」
「へぇ……そりゃぁ、随分と盲目的な愛だなぁ」
「そりゃあもちろん」
「自信満々なとこ悪ぃがよ。さっそく俺からのサービス味わってくれや」

ドス

「うぐっ!!」


委員長の右頬にかなり手加減したストレートを決め込むとその体は案の定簡単に吹っ飛んでいった。

「なっ、なっ、何するんですか!!」
「ん? サービス。どんな俺でも。そう言ったのは委員長だろう。なぁ、会長の居場所を吐かねぇなら、俺はもっとサービスすることになるな」
「ひっ! 野蛮な!!」
「野蛮? 人を攫うような人間に言われるような筋合いはねぇなぁ」
「あ……あ……」

委員長は放心状態でズボンを濡らしていた。

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