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会長
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校舎の前で彼らと別れて、俺はいつもの一服エリアに向かった。
何でか今日は朝見たいつもの夢を引きずっている。
こういう時、タバコは便利だ。
煙と一緒にモヤモヤとした気持ちを吐き出せるから。
どうせ今は授業中で生徒も教師もうろついていないし。と、俺は少しだけ散歩することにした。
木々が生えているこの辺りは木漏れ日が心地よくゆっくりと歩いていると気分がいい。
ふと、先の方の木の下でうたた寝をしている生徒を発見した。
授業が始まっている時間なのにこんなところで寝ていると言うことは不良なのだろう。
自分のことは棚に上げ勝手にそう決め付けて俺はそいつを起こさないようにその側を通り過ぎようと近づいた。舗装された道はそいつの横しかない。
「え」
そこでうたた寝をしていたのは会長だった。
仮にも生徒の代表の生徒会長がこんなところで授業サボって寝ててもいいのかよ。
まぁ、いいや。
関わると面倒だ。お互いに。
「おい」
俺が静かに通り過ぎようとすると声がかかった。
「な、何でしょう」
俺は後ろを振り向かずに高めの声を出してみた。
「分かってんだよ、ゴミ虫。後ろ姿だったら気づかねぇとでも思ったのか」
どうやら正体はとっくにバレていたらしいので俺は諦めて会長の方を向いた。
「会長さまぁ、奇遇ですねぇ~」
「ちっ」
はぁ? なんだその反応は。
お前ぇが引き止めたからこっちは話さざる終えなくなったんだろうがよ。
それを舌打ちとか舐めてんのか所々はげろ。
「僕、授業いかなきゃ! 会長さまも、もう授業始まってる時間ですよぅ」
「待て」
俺が去ろうとすると引き止められた。
「なんですかぁ? 会長さまと話せてぇ、僕はとっても嬉しいですけどぉ、早く授業行かないとぉ、今日は朝っぱから保険の授業だったので、担任の先生が怖いんですよ~」
「行かねぇだろう、授業。どうせ」
「えぇ~、何言ってるんですか~。行きますよぅ」
俺がそう言って去ろうとすると今度は腕を掴まれて引き止められた。
何だよ。ウゼェな。
「お前、何で通り過ぎようとした」
「え?」
「いつも俺にうぜぇくらい付き纏ってくんだろう。今の状況なら、いつものお前のキャラなら俺を起こさないまでも寝顔の写真くらい撮るだろう」
な、なんつう自信。
自意識過剰っつうんだぞ。それは。
いらねぇしそんな画像。
つかそれしたら犯罪だろう。盗撮だろう。
「あ、あぁ~。大丈夫ですぅ。目にしっかり焼き付けたんでぇ~」
「そうか」
「はい~。じゃあ失礼しますねぇ~」
「待て」
何だ! うざすぎるぞ。俺を開放しろ!
「お前、俺のこと好きなんだろう?」
「もちろんです~。僕は会長さまのぉ親衛隊長ですから」
「そうか……お前いつも言ってたよなぁ。抱いてくれって」
「え?」
「来い。抱いてやる」
は? はぁ!?
何? どう言う展開だ!?
むりむり!
「あっ、えっと会長さま! UFO!」
「そんなのに騙されるわけねぇだろう。ばかが」
俺の腕を掴んでぐいぐいと引っ張り歩いていく会長に俺は小走りでついて行った。
何でか今日は朝見たいつもの夢を引きずっている。
こういう時、タバコは便利だ。
煙と一緒にモヤモヤとした気持ちを吐き出せるから。
どうせ今は授業中で生徒も教師もうろついていないし。と、俺は少しだけ散歩することにした。
木々が生えているこの辺りは木漏れ日が心地よくゆっくりと歩いていると気分がいい。
ふと、先の方の木の下でうたた寝をしている生徒を発見した。
授業が始まっている時間なのにこんなところで寝ていると言うことは不良なのだろう。
自分のことは棚に上げ勝手にそう決め付けて俺はそいつを起こさないようにその側を通り過ぎようと近づいた。舗装された道はそいつの横しかない。
「え」
そこでうたた寝をしていたのは会長だった。
仮にも生徒の代表の生徒会長がこんなところで授業サボって寝ててもいいのかよ。
まぁ、いいや。
関わると面倒だ。お互いに。
「おい」
俺が静かに通り過ぎようとすると声がかかった。
「な、何でしょう」
俺は後ろを振り向かずに高めの声を出してみた。
「分かってんだよ、ゴミ虫。後ろ姿だったら気づかねぇとでも思ったのか」
どうやら正体はとっくにバレていたらしいので俺は諦めて会長の方を向いた。
「会長さまぁ、奇遇ですねぇ~」
「ちっ」
はぁ? なんだその反応は。
お前ぇが引き止めたからこっちは話さざる終えなくなったんだろうがよ。
それを舌打ちとか舐めてんのか所々はげろ。
「僕、授業いかなきゃ! 会長さまも、もう授業始まってる時間ですよぅ」
「待て」
俺が去ろうとすると引き止められた。
「なんですかぁ? 会長さまと話せてぇ、僕はとっても嬉しいですけどぉ、早く授業行かないとぉ、今日は朝っぱから保険の授業だったので、担任の先生が怖いんですよ~」
「行かねぇだろう、授業。どうせ」
「えぇ~、何言ってるんですか~。行きますよぅ」
俺がそう言って去ろうとすると今度は腕を掴まれて引き止められた。
何だよ。ウゼェな。
「お前、何で通り過ぎようとした」
「え?」
「いつも俺にうぜぇくらい付き纏ってくんだろう。今の状況なら、いつものお前のキャラなら俺を起こさないまでも寝顔の写真くらい撮るだろう」
な、なんつう自信。
自意識過剰っつうんだぞ。それは。
いらねぇしそんな画像。
つかそれしたら犯罪だろう。盗撮だろう。
「あ、あぁ~。大丈夫ですぅ。目にしっかり焼き付けたんでぇ~」
「そうか」
「はい~。じゃあ失礼しますねぇ~」
「待て」
何だ! うざすぎるぞ。俺を開放しろ!
「お前、俺のこと好きなんだろう?」
「もちろんです~。僕は会長さまのぉ親衛隊長ですから」
「そうか……お前いつも言ってたよなぁ。抱いてくれって」
「え?」
「来い。抱いてやる」
は? はぁ!?
何? どう言う展開だ!?
むりむり!
「あっ、えっと会長さま! UFO!」
「そんなのに騙されるわけねぇだろう。ばかが」
俺の腕を掴んでぐいぐいと引っ張り歩いていく会長に俺は小走りでついて行った。
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