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制裁ごっこをやめさせる2

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「でもさぁ、それって僕が悪いのかなぁ。会計さまが僕を好きだったとして、惚れられた僕が悪いの~?」
「っ!」

転入生は涙目で俺のことを見てきて、何だかとても悪いことをしている気分になってくる。

「君さぁ、担任の先生の甥っ子なんだろ? 心配してたよ~。僕に制裁を辞めてくれって頼んできた。会計さまのことが好きだってのは分かるけど~、大切に思ってくれてる人には、ちゃんと説明するべきだったんじゃないかなぁ」
「っ、言えるわけないだろ!? 叔父さんはっ、あれでも教師なんだぞっ。俺のやったこと、やる前に言ってたとして許してくれるわけないだろ!」
「うんうん。そうだねぇ~。今日さ~、何で尽く失敗したと思う?」
「え?」
「転ぶのも、バケツの汚水かぶるのも、ヤンキーも、僕は最初からそんなの阻止できたよ。君が今まで成功できていたのは、僕が君に協力的だったからだよ。だからね、これからは辞めた方がいいんじゃないかなぁ。僕はこれからは全部阻止するから」
「なっ、何で協力なんか……」
「僕にも得があったからだよ。でもこれからは一切やめるよ。会計さまのことが好きなら正攻法でアピールしなよ~」
「そんなことで好きになってもらえるなら!! もうとっくに好きになってもらえてるはずだ!」
「君は会計さまのどこがそんなに好きなの~?」
「そんなの……全部だ。優しいし、かっこいいし、かと思えば可愛いところもあるだろっ。だけど時々、何の感情もない顔するんだ。俺はそんな時、何か悩みがあるなら助けてやりたいって思うけど、俺じゃどうしようもなかった……」

こいつまともに話が出来る奴だったんだな。
いや、会計と付き合っていた影響なのだろうか。

「お前のことが好きだから別れてくれって言われた時、悔しかった。だけど……少しだけ、ほんの少しだけ嬉しかった」
「嬉しかった?」

ほんのりと笑う転入生に俺は理解できなかった。
だが転入生は構わず続けた。

「セフレだと思ってたから。別れ話された時、ああ付き合ってたんだ俺たち。って」
「そっか」
「だけど、親衛隊長にはひどいことした。何だか、お前を見てると何しても傷つかないんじゃないかって気分になって。そんな訳ないのにな」

自重気味に笑う転入生に俺は笑った。

「いや、安心して良いよ~、君にされたことで僕は何一つ傷ついてないから~」
「……それもそれでなんかやだな」

何でだよ!
俺は転入生の言葉に憤慨しながらも微笑みを作った。

「だ、そうですよ~、会計さま」

俺がそう言うと教室の入り口から会計が入ってきた。
ほんのり目元が赤い。

「えっ、え!?」

転入生は驚いてあたふたしている。

「電話をねぇ、繋げといたんだぁ」
「えっ、どこから!?」
「君がヤンキーに襲われてるとこから」
「てことは全部聞かれてたってことなのか!?」

転入生はさらに慌ててそう言った。

「ま、そういうこと~。じゃあ、あとは若いお二人で話し合いしてくださ~い」

俺はそう言って手をひらひらと振りながら教室を後にした。
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