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43 衣装
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「仮面舞踏会に行くんでしょう?」
「ん? うん。どうして知ってるの?」
基本的に同じ任務に就くことは多いが、違う任務の時もある。
そういう時はお互いの任務について知ることはない。
特殊部隊にとって、情報は時として命よりも大事なものになるからだ。
だからルーナストはショーンから突然仮面舞踏会について尋ねられ、動揺した。
「陛下から手紙が届いたんだよ。ルーナストはあんまりドレスとか着ないでしょう? だから僕が着付けてあげるよ」
「ああ、確かに。ありがとう」
ショーンも最初は女装する事を嫌がっていたが、今では“僕は女装の方が仕事がうまくいくみたい”と言って自ら女装をしていることが多い。
逆にルーナストは男装のままでいた方が仕事がうまく行くことが多かったので、久々のドレスだ。
前回着た時も実家の侍女に着せてもらったので、ショーンの申し出はありがたかった。
「この箱もう開けたの?」
「いや、陛下から送られてきたままだよ。ドレスと仮面が入ってるって」
「じゃあ、開けても良い? どんなのか見たい」
「もちろん、いいよ」
ルーナストの言葉にショーンは頷いて、グランツェから支給された箱を開封した。
「わぁ。すごい」
ショーンが箱の中身を見て感嘆の声を上げた。
ルーナストからすれば婚約者もいなくなった今わざわざドレスを着ることに意味を見出せないばかりか、ドレスは全て同じに見えるので、正直、グランツェから送られてきた支給品のドレスに興味はなかった。
「ルーナストも見てみなよ」
「んー、うん」
気は乗らないもののショーンに促されるまま箱に近づき中を覗いた。
「わぁ……え……?」
箱の中にはドレスはなかった。
みたところ黒を基調とした男性用の夜会着だったが、質は一級品という感じで金の飾りがついておりデザインも洗練されていた。帝国でも王国でも男性用の夜会着は大体が軍服のような形状をしているが、目の前のそれも例に漏れず軍服を模していた。
「かっこいい……。あ、だけど陛下はドレスと仮面を送るとおっしゃっていたからこれは間違って送ってしまったみたいだね。ショーンの言う通り、前もって見ておいてよかった」
「え、それはきっとドレスと軍服とかスーツを言い間違えたんじゃない? だって、見て。ルーナストの大きさに作られている見たいだよ」
ショーンは服を広げながら、ルーナストに当てて見せそう言った。
確かに当ててみた感じはルーナストの体にぴったりだ。
「とりあえず陛下に確認の手紙を送るよ。諜報用にしても明らかに質がいいし」
早速確認の手紙を認めて、陛下のもとへ転送魔術で送ると、すぐに返事が届いた。
「なんて書いてあった?」
「……送ったもので間違いないって。それに使い終わった後はくれるって」
「え? すごいじゃん。良かったね」
「まぁ」
答えると、ショーンは困ったような顔で笑ってルーナストを見た。
「ルーナスト、最近笑ってないでしょ? 楽しいこともないでしょう? 仮面舞踏会は身分も何もかも忘れて楽しめる場所だよ。だからこそ口が軽くなって諜報しやすいけど、そればっかりじゃなくて……ルーナストも楽しんできたら良いと思う。ルーナストが最近任務ばかりしていて心配なんだ」
「ショーン、私は笑ってるし楽しいこともあるよ。戦ったり鍛えたりすることは私の一番の趣味だしね。でも、心配してくれてありがとう」
「侍従として、友達として、心配するのは当たり前だよ」
「うん……。あぁ、えっと。せっかくだし着てみようかな」
「うん。そうだね。サイズが微妙なら少し手直ししてもらわないとだしね」
夜会着を服を身につけると、サイズはぴったりだった。
「サイズも着心地もバッチリ」
「さすが閣……陛下だね」
ショーンはなんだか嬉しそうだ。
「だね」
(陛下ともなれば見ただけで服のサイズが分かるようになるのかな。そうだとしたら世の女性たちからすれば陛下は敵なのかもしれない)
ジャストサイズで着心地がいい服を脱ぎながらそう思った。
「ん? うん。どうして知ってるの?」
基本的に同じ任務に就くことは多いが、違う任務の時もある。
そういう時はお互いの任務について知ることはない。
特殊部隊にとって、情報は時として命よりも大事なものになるからだ。
だからルーナストはショーンから突然仮面舞踏会について尋ねられ、動揺した。
「陛下から手紙が届いたんだよ。ルーナストはあんまりドレスとか着ないでしょう? だから僕が着付けてあげるよ」
「ああ、確かに。ありがとう」
ショーンも最初は女装する事を嫌がっていたが、今では“僕は女装の方が仕事がうまくいくみたい”と言って自ら女装をしていることが多い。
逆にルーナストは男装のままでいた方が仕事がうまく行くことが多かったので、久々のドレスだ。
前回着た時も実家の侍女に着せてもらったので、ショーンの申し出はありがたかった。
「この箱もう開けたの?」
「いや、陛下から送られてきたままだよ。ドレスと仮面が入ってるって」
「じゃあ、開けても良い? どんなのか見たい」
「もちろん、いいよ」
ルーナストの言葉にショーンは頷いて、グランツェから支給された箱を開封した。
「わぁ。すごい」
ショーンが箱の中身を見て感嘆の声を上げた。
ルーナストからすれば婚約者もいなくなった今わざわざドレスを着ることに意味を見出せないばかりか、ドレスは全て同じに見えるので、正直、グランツェから送られてきた支給品のドレスに興味はなかった。
「ルーナストも見てみなよ」
「んー、うん」
気は乗らないもののショーンに促されるまま箱に近づき中を覗いた。
「わぁ……え……?」
箱の中にはドレスはなかった。
みたところ黒を基調とした男性用の夜会着だったが、質は一級品という感じで金の飾りがついておりデザインも洗練されていた。帝国でも王国でも男性用の夜会着は大体が軍服のような形状をしているが、目の前のそれも例に漏れず軍服を模していた。
「かっこいい……。あ、だけど陛下はドレスと仮面を送るとおっしゃっていたからこれは間違って送ってしまったみたいだね。ショーンの言う通り、前もって見ておいてよかった」
「え、それはきっとドレスと軍服とかスーツを言い間違えたんじゃない? だって、見て。ルーナストの大きさに作られている見たいだよ」
ショーンは服を広げながら、ルーナストに当てて見せそう言った。
確かに当ててみた感じはルーナストの体にぴったりだ。
「とりあえず陛下に確認の手紙を送るよ。諜報用にしても明らかに質がいいし」
早速確認の手紙を認めて、陛下のもとへ転送魔術で送ると、すぐに返事が届いた。
「なんて書いてあった?」
「……送ったもので間違いないって。それに使い終わった後はくれるって」
「え? すごいじゃん。良かったね」
「まぁ」
答えると、ショーンは困ったような顔で笑ってルーナストを見た。
「ルーナスト、最近笑ってないでしょ? 楽しいこともないでしょう? 仮面舞踏会は身分も何もかも忘れて楽しめる場所だよ。だからこそ口が軽くなって諜報しやすいけど、そればっかりじゃなくて……ルーナストも楽しんできたら良いと思う。ルーナストが最近任務ばかりしていて心配なんだ」
「ショーン、私は笑ってるし楽しいこともあるよ。戦ったり鍛えたりすることは私の一番の趣味だしね。でも、心配してくれてありがとう」
「侍従として、友達として、心配するのは当たり前だよ」
「うん……。あぁ、えっと。せっかくだし着てみようかな」
「うん。そうだね。サイズが微妙なら少し手直ししてもらわないとだしね」
夜会着を服を身につけると、サイズはぴったりだった。
「サイズも着心地もバッチリ」
「さすが閣……陛下だね」
ショーンはなんだか嬉しそうだ。
「だね」
(陛下ともなれば見ただけで服のサイズが分かるようになるのかな。そうだとしたら世の女性たちからすれば陛下は敵なのかもしれない)
ジャストサイズで着心地がいい服を脱ぎながらそう思った。
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