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6 王子と再会
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「ルーナ、大変だったね。やっと女性達から解放されてよかったね」
「本当だよ。女の子達だって私と踊っても何も楽しくないだろうに」
「いいじゃないか、僕なんて女の子をダンスに誘っても誰からも相手にされなかったよ」
「ショーンはむしろ男性から誘われてなかった?」
「ぅぅ……その話はもう忘れたい……わぁ、ここが王国軍の入隊試験会場!? 広ーい」
ショーンはあからさまに話を切り上げて、たどり着いた試験会場にはしゃいだ。
「ショーン、落ち着いて。あ、あそこに並んでるよ。私たちも並ぼう」
ブラクルト伯爵領の演習場2つ分ほどの広さの演習場に、貴族、平民入り乱れており、試験番号を受け取る列が端の方にできていた。
カルドニア王国軍の入隊試験は男性であれば平民でも受けられる。
だが、女性は入隊することができないので、実際のルーナストの戸籍では受けられない。なのでルーナストは仕方なく身分を偽り、平民の男性として試験を受けに来たのだ。
平民には簡単な戸籍登録しかない。
平民の戸籍は簡単に偽装できてしまうので、ルーナストは父親であるブラクルト辺境伯に頼み作ってもらっていた。なのでルーナストの戸籍は偽物だ。平民としてのルーナストの名前はルート・メイヴィンだ。ショーンはもとより平民だったのでそのままにすることができた。
「次の方どうぞ」
「お願いします」
「はい。大丈夫です。こちらが試験中使う試験番号の書かれたゼッケンです」
ゼッケンと共に身分証を返された。
受付に身分証を渡すのは、少しだけ緊張したルーナストだったが無事に試験番号を入手することができた。
ショーンと合流した瞬間後ろから大声が聞こえた。
「なぜ、ここに女がいる!」
その声に、ルーナストがびくりと肩を震わせて後ろを振り向くとそこにはモルガン・ノエル・カンドルニア第3王子、ルーナストの元婚約者がいた。
(終わった……)
けれど絶望し、灰になったルーナストには目もくれず、モルガンはルーナストの横にいるショーンを睨みつけた。
「軍は女の居ていいところではない! お遊びをしているんじゃないんだぞ!」
「えっ、僕? 僕ですか?」
ショーンは助けを求めるようにルーナストを見た。
けれど、いまだに灰のままのルーナストには届いておらずショーンは絶望した。
「僕などと言っても無駄だ。さっさと帰れ」
「いや、僕は身分証も先ほど提示しました。れっきとした男です! 言いがかりはやめてください!」
「身分証の詐称など重罪だな」
「なっ、男だって言ってるのに」
「おい、こいつを摘み出せ」
モルガンは話を聞こうともせず近くの衛兵に声をかけた。
ショーンはそこでもう我慢ならないとその顔に怒りをにじませた。
「僕は男だって言っているでしょ!! ほら!!」
デーン!!!
そんな効果音が似合いそうなほど堂々と、ショーンは股間を晒した。
怒り狂ってはいるが、主人であり、友人であるルーナストに見えない角度の配慮は忘れなかったようだ。けれどその衝撃の行動によってルーナストは現実に引き戻された。
そしてショーンに真正面から見せられたモルガンももちろんその行動に呆気に取られ、言葉を失ったように後ずさった。
「なっ、なっ……」
「分かったら変な言いがかりはやめてください。セクハラで訴えますよ!」
ささっと服を整えて、ルーナストの方に戻ってきたショーンは、モルガンに向かって大声で叫んだ。
(向こうが悪いのは分かるけど、セクハラと言うならショーンのもかなりセクハラだよ……)
ルーナストのそんな思いとは裏腹にモルガンはセクハラという単語に青い顔をして、ごにょごにょと言い訳をして俯いた。
「ノエル~っ、頑張ってぇ~」
女性の声が聞こえほとんどの試験生がそちらを見た。声の主は試験会場の柵の向こうに居た。
婚約破棄の時にモルガンが連れていた女性だ。笑顔で手を振りながらモルガンを呼んでいる。
「彼女が呼んでいますよ」
ルーナストがそう声をかけると、モルガンは途端に得意げな顔になった。
「俺の彼女は綺麗だろ? お前達のような田舎者の平民には到底できないような彼女だ」
「そうですか」
興味もなくそう答えるとモルガンは声を荒げた。
「その冷めた態度をやめろ! 興味ないみたいな顔をしても無駄だっ! 綺麗な女を連れていてこそ一人前の男だろ?」
その言葉に怒ったのはショーンだ。
「意味分かんない理屈ですね。女性はあなたを飾る装飾品じゃありませんよ!」
ショーンはそう叫んでモルガンを睨みつけた。
普段女性に間違われてナンパされることが多く、断れば失礼な態度を取られることが多いので、モルガンのような男が許せないのだろう。
「はははっ! お前考え方も女みたいだな! その付いてるものも偽物なんじゃないのかぁ?」
「な……、もう一度見せてあげましょうか!?」
ショーンがまた服を緩めようとすると、モルガンは慌てたように目を逸らせた。
「も、もういい。お前が男なのはよく分かったから」
(もう一度見せられるのがそんなに嫌なのかな)
一度見るのも、二度見るのも対して変わらないだろうにと不思議に思った。
「本当だよ。女の子達だって私と踊っても何も楽しくないだろうに」
「いいじゃないか、僕なんて女の子をダンスに誘っても誰からも相手にされなかったよ」
「ショーンはむしろ男性から誘われてなかった?」
「ぅぅ……その話はもう忘れたい……わぁ、ここが王国軍の入隊試験会場!? 広ーい」
ショーンはあからさまに話を切り上げて、たどり着いた試験会場にはしゃいだ。
「ショーン、落ち着いて。あ、あそこに並んでるよ。私たちも並ぼう」
ブラクルト伯爵領の演習場2つ分ほどの広さの演習場に、貴族、平民入り乱れており、試験番号を受け取る列が端の方にできていた。
カルドニア王国軍の入隊試験は男性であれば平民でも受けられる。
だが、女性は入隊することができないので、実際のルーナストの戸籍では受けられない。なのでルーナストは仕方なく身分を偽り、平民の男性として試験を受けに来たのだ。
平民には簡単な戸籍登録しかない。
平民の戸籍は簡単に偽装できてしまうので、ルーナストは父親であるブラクルト辺境伯に頼み作ってもらっていた。なのでルーナストの戸籍は偽物だ。平民としてのルーナストの名前はルート・メイヴィンだ。ショーンはもとより平民だったのでそのままにすることができた。
「次の方どうぞ」
「お願いします」
「はい。大丈夫です。こちらが試験中使う試験番号の書かれたゼッケンです」
ゼッケンと共に身分証を返された。
受付に身分証を渡すのは、少しだけ緊張したルーナストだったが無事に試験番号を入手することができた。
ショーンと合流した瞬間後ろから大声が聞こえた。
「なぜ、ここに女がいる!」
その声に、ルーナストがびくりと肩を震わせて後ろを振り向くとそこにはモルガン・ノエル・カンドルニア第3王子、ルーナストの元婚約者がいた。
(終わった……)
けれど絶望し、灰になったルーナストには目もくれず、モルガンはルーナストの横にいるショーンを睨みつけた。
「軍は女の居ていいところではない! お遊びをしているんじゃないんだぞ!」
「えっ、僕? 僕ですか?」
ショーンは助けを求めるようにルーナストを見た。
けれど、いまだに灰のままのルーナストには届いておらずショーンは絶望した。
「僕などと言っても無駄だ。さっさと帰れ」
「いや、僕は身分証も先ほど提示しました。れっきとした男です! 言いがかりはやめてください!」
「身分証の詐称など重罪だな」
「なっ、男だって言ってるのに」
「おい、こいつを摘み出せ」
モルガンは話を聞こうともせず近くの衛兵に声をかけた。
ショーンはそこでもう我慢ならないとその顔に怒りをにじませた。
「僕は男だって言っているでしょ!! ほら!!」
デーン!!!
そんな効果音が似合いそうなほど堂々と、ショーンは股間を晒した。
怒り狂ってはいるが、主人であり、友人であるルーナストに見えない角度の配慮は忘れなかったようだ。けれどその衝撃の行動によってルーナストは現実に引き戻された。
そしてショーンに真正面から見せられたモルガンももちろんその行動に呆気に取られ、言葉を失ったように後ずさった。
「なっ、なっ……」
「分かったら変な言いがかりはやめてください。セクハラで訴えますよ!」
ささっと服を整えて、ルーナストの方に戻ってきたショーンは、モルガンに向かって大声で叫んだ。
(向こうが悪いのは分かるけど、セクハラと言うならショーンのもかなりセクハラだよ……)
ルーナストのそんな思いとは裏腹にモルガンはセクハラという単語に青い顔をして、ごにょごにょと言い訳をして俯いた。
「ノエル~っ、頑張ってぇ~」
女性の声が聞こえほとんどの試験生がそちらを見た。声の主は試験会場の柵の向こうに居た。
婚約破棄の時にモルガンが連れていた女性だ。笑顔で手を振りながらモルガンを呼んでいる。
「彼女が呼んでいますよ」
ルーナストがそう声をかけると、モルガンは途端に得意げな顔になった。
「俺の彼女は綺麗だろ? お前達のような田舎者の平民には到底できないような彼女だ」
「そうですか」
興味もなくそう答えるとモルガンは声を荒げた。
「その冷めた態度をやめろ! 興味ないみたいな顔をしても無駄だっ! 綺麗な女を連れていてこそ一人前の男だろ?」
その言葉に怒ったのはショーンだ。
「意味分かんない理屈ですね。女性はあなたを飾る装飾品じゃありませんよ!」
ショーンはそう叫んでモルガンを睨みつけた。
普段女性に間違われてナンパされることが多く、断れば失礼な態度を取られることが多いので、モルガンのような男が許せないのだろう。
「はははっ! お前考え方も女みたいだな! その付いてるものも偽物なんじゃないのかぁ?」
「な……、もう一度見せてあげましょうか!?」
ショーンがまた服を緩めようとすると、モルガンは慌てたように目を逸らせた。
「も、もういい。お前が男なのはよく分かったから」
(もう一度見せられるのがそんなに嫌なのかな)
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