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65:バイロンと息子と幸穏やかなひととき
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ルカからボロボロに犯されて大変満足を得てからしばらくして、俺はバイロンとの子供であるハンネスを出産した。ハンネスの誕生はボートルニア帝国をあげてお祝いムードになった。もちろん、クライブとの子供で皇子であるベノンも国をあげてお祝いされたが、ハンネスほどではなかったと思う。なぜそこまでお祝いされたかというと、ハンネスがオメガの男の子だったからだ。
将来はどこかのアルファを婿にするか、どこかに嫁ぎ、その子供を跡取りにすることだろう。どちらにしろ、俺からすればベノンもハンネスも可愛い息子であることには変わりない。
俺がどれだけドMの変態だとしても、息子たちには幸せになってほしいと願っているのは本心だ。
「バトラル……ありがとう……お疲れ様」
「うん、バイロンも」
出産を終えて数日、バイロンとハンネスとの静かな時間を過ごしていると、バイロンが穏やかな顔でバトラルを見つめた。
「私はなにも。バトラルが頑張ってくれて、本当に感謝しているし尊敬している。それに……ああ……、私の血が入っているというのに、どうしてこんなに可愛らしい子に……?」
バイロンは愛息子に早くもメロメロで、堅物といわれる由縁である固まった表情を崩し、俺の隣に寝かされているハンネスにそっと触れている。ハンネスも生まれたばかりだが物怖じせず、バイロンから頬をツンとされ、キャッキャと笑った。
「目の色も髪の色も、バイロンにそっくりだよ。ふふ。バイロンも赤ちゃんの頃はこんなに可愛かったのかな」
「色はそうでも顔のパーツはバトラルだ。だからこんなに可愛らしいんだろう。屋敷の倉庫に私の赤子の時の姿絵が残っているが、似ても似つかない太々しい表情をしている」
「ふ、はは。それはそれで見てみたい」
バイロンがあまりにも忌々しげに呟くので、俺はそれがかなり面白かった。
「ベノンはもう歩き始めたんだよ。よちよちだけど。ハンネスもあっとういう間に歩いて、あっという間に反抗期になって、あっとういう間に結婚しちゃうのかな」
すでに結婚の心配をしてしまう親バカっぷりの発言に、バイロンは大真面目に首を振った。
「ハンネスは誰とも結婚しない。ずっと私たちと暮らす」
「ははは。確かにそうしたいけど」
自分のオメガに嫉妬をしなくても、子供に対しては嫉妬をするのかもしれない。
バイロンの表情が苦々しくなるのを見てそう思った。
「ほにゃあ、ほんにゃあ」
「おお、おお。ハンネス、どうした」
「お腹が空いたのかも。そこのミルクをあげてくれる?」
「……分かった」
バイロンはもうすでに何回かミルクをあげているのに、いまだに緊張するようで、号泣しているハンネスをまるで緩めの豆腐でも持ち上げるかのように慎重に持ち上げて胸に抱き、程よく温められたミルクをハンネスに差し出した。
けれどその手つきは、やはり世話好きなバイロンらしく手慣れている。
「すごい食欲だねえ」
「そうだな。ハンネスは大きく成長するぞ」
哺乳瓶の中からごきゅごきゅと減ってくミルクの勢いは凄まじい。
食い意地が張っているのか、バイロンが支えている哺乳瓶を自分自身の小さな紅葉の手でも掴み、ちっとも離そうとしないところも可愛く見えるなんて、さすがに親バカすぎるかもしれない。
そのうち、ハンネスはミルクを飲み終わり、スースーと寝息を立て始めた。
それに釣られるようにして、バイロンも気持ちよさそうに寝入ってしまった。
「2人も可愛い」
穏やかな時間が流れているけれど、この世界のオメガに休息はほんの少しだ。
子を産むことに長けているオメガは、出産後短期間で妊娠できるし、次はルカの子をという予約もすでに入っている。その上、妊娠が確定したら、次の夫候補のところに顔合わせとしてしばらく行かないといけないらしい。2ヶ月とはいえ子供と離れ離れになるのは寂しいが、この世界では子育ては基本的にアルファ側が主体となるらしいし、それぞれの家の極秘事項などもアルファが直々に子に伝えていくらしい。だからそもそも城にいてもしょっちゅう会えるわけではないのだ。
それに、辺境伯領に行くのは少し楽しみでもある。あまり知らないが辺境伯領というのは屈強な兵士がたくさんいそうだし、俺の被虐妄想も捗るに違いない。
まぁさすがに複数のとはいえ、夫持ちになったから被虐願望は軽々しく叶えることはできないが、妄想くらいは良いだろう。
将来はどこかのアルファを婿にするか、どこかに嫁ぎ、その子供を跡取りにすることだろう。どちらにしろ、俺からすればベノンもハンネスも可愛い息子であることには変わりない。
俺がどれだけドMの変態だとしても、息子たちには幸せになってほしいと願っているのは本心だ。
「バトラル……ありがとう……お疲れ様」
「うん、バイロンも」
出産を終えて数日、バイロンとハンネスとの静かな時間を過ごしていると、バイロンが穏やかな顔でバトラルを見つめた。
「私はなにも。バトラルが頑張ってくれて、本当に感謝しているし尊敬している。それに……ああ……、私の血が入っているというのに、どうしてこんなに可愛らしい子に……?」
バイロンは愛息子に早くもメロメロで、堅物といわれる由縁である固まった表情を崩し、俺の隣に寝かされているハンネスにそっと触れている。ハンネスも生まれたばかりだが物怖じせず、バイロンから頬をツンとされ、キャッキャと笑った。
「目の色も髪の色も、バイロンにそっくりだよ。ふふ。バイロンも赤ちゃんの頃はこんなに可愛かったのかな」
「色はそうでも顔のパーツはバトラルだ。だからこんなに可愛らしいんだろう。屋敷の倉庫に私の赤子の時の姿絵が残っているが、似ても似つかない太々しい表情をしている」
「ふ、はは。それはそれで見てみたい」
バイロンがあまりにも忌々しげに呟くので、俺はそれがかなり面白かった。
「ベノンはもう歩き始めたんだよ。よちよちだけど。ハンネスもあっとういう間に歩いて、あっという間に反抗期になって、あっとういう間に結婚しちゃうのかな」
すでに結婚の心配をしてしまう親バカっぷりの発言に、バイロンは大真面目に首を振った。
「ハンネスは誰とも結婚しない。ずっと私たちと暮らす」
「ははは。確かにそうしたいけど」
自分のオメガに嫉妬をしなくても、子供に対しては嫉妬をするのかもしれない。
バイロンの表情が苦々しくなるのを見てそう思った。
「ほにゃあ、ほんにゃあ」
「おお、おお。ハンネス、どうした」
「お腹が空いたのかも。そこのミルクをあげてくれる?」
「……分かった」
バイロンはもうすでに何回かミルクをあげているのに、いまだに緊張するようで、号泣しているハンネスをまるで緩めの豆腐でも持ち上げるかのように慎重に持ち上げて胸に抱き、程よく温められたミルクをハンネスに差し出した。
けれどその手つきは、やはり世話好きなバイロンらしく手慣れている。
「すごい食欲だねえ」
「そうだな。ハンネスは大きく成長するぞ」
哺乳瓶の中からごきゅごきゅと減ってくミルクの勢いは凄まじい。
食い意地が張っているのか、バイロンが支えている哺乳瓶を自分自身の小さな紅葉の手でも掴み、ちっとも離そうとしないところも可愛く見えるなんて、さすがに親バカすぎるかもしれない。
そのうち、ハンネスはミルクを飲み終わり、スースーと寝息を立て始めた。
それに釣られるようにして、バイロンも気持ちよさそうに寝入ってしまった。
「2人も可愛い」
穏やかな時間が流れているけれど、この世界のオメガに休息はほんの少しだ。
子を産むことに長けているオメガは、出産後短期間で妊娠できるし、次はルカの子をという予約もすでに入っている。その上、妊娠が確定したら、次の夫候補のところに顔合わせとしてしばらく行かないといけないらしい。2ヶ月とはいえ子供と離れ離れになるのは寂しいが、この世界では子育ては基本的にアルファ側が主体となるらしいし、それぞれの家の極秘事項などもアルファが直々に子に伝えていくらしい。だからそもそも城にいてもしょっちゅう会えるわけではないのだ。
それに、辺境伯領に行くのは少し楽しみでもある。あまり知らないが辺境伯領というのは屈強な兵士がたくさんいそうだし、俺の被虐妄想も捗るに違いない。
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