上 下
34 / 36

32 ※

しおりを挟む
俺たちは付き合うことになったけど、忙しくてまだそういうことをしていなかった。
エドガーの膨らみを見て何だか気恥ずかしくなり、誰も見ていないというのに大袈裟に目を逸らした。

そうしているうちにエドガーはモゾモゾと動いてうっすらと目を開いた。

「ん、寝てしまってたな」
「はい」
「汗もかいて気持ち悪いし、川で水浴びでもするか」

両手を上げて伸びをしながらそう言ったエドガーに俺はびっくりして「えっ」とエドガーを振り向いたけど、エドガーは特に気にした様子もなく立ち上がった。

「何してるんだ? 暗くなる前に行かないと」
「あ、えっと、分かった」

何とかうなずいて先を行くエドガーの後をついて歩いて、すぐに川についた。
人がいないからなのか水は透き通っていて綺麗な川だ。

俺たちは汗で濡れてしまった服をその川で洗ってから近くの木に干してから、川の水に飛び込んだ。

バシャン!!

水しぶきがあがり、程よく冷たい水に包まれると、先ほどまでの如何わしい気持ちも鎮まって、ただ冷たい水の心地よさに集中できた。体を摩って汗を流し、頭まで水に浸かってから出ると気持ちがいい。

水から顔を上げたタイミングで顔に水がかけられたので、エドガーの方を見ると悪戯が成功したことを喜ぶようにニッコリと笑っていた。

「やったな!」
「わあ」

俺も水をかけ返しすと、エドガーはバシャバシャと水の中を逃げたり、また水をかけて来たりで、もしも周りに人が居たとしたらドン引かれるのは確実だと思うほど、子供のようにはしゃぎまくった。

「あははは!!」
「わぁ! はは!」

そうしてはしゃいでいるうちに、いつしか俺たちは近づきすぎてお互い縺れあって水の中に倒れ込んだ。
水から勢いよく顔を出した後は2人して笑いながらはしゃぎすぎた体を支えあった。
水の外に出て、横の草むらに腰をおろすとドッと疲れが襲ってくる。
けれど服もまだ乾いていないので俺たちは陽の光で体を乾燥させつつ、時間を潰すことにした。

お互い体を支え合った状態のままで、座ったので距離は近く、体温を感じられるほどだ。

「エドガー、教官」
「今はもう教官じゃない」
「……エドガー……。俺、抱いて欲しいんだけど」

俺がそう言うと、あまりにも直接的な表現だったからかエドガーは目を見開いて俺を見た。
けど、さっき見たエドガーのもっこりのせいで俺は何だかムラムラが抑えられないんだ。

「……、俺もジルを抱きたい。が、そっちでいいのか?」
「そっち?」
「ジルは抱かれる方でいいのか?」
「俺は、エドガーに対して、そっちしか考えたことなかったよ……んっ」

俺が言い終わるのと同時にエドガーはキスをしてきた。

「ジル、愛してる」
「俺もっ、エドガーを愛してる」

エドガーの手は優しく俺のあちこちを触って、俺の熱は触られているだけでどんどんと高まっていた。

「んんっ、んぁ、はぁ」
「可愛いな。ジル」

撫で回していた手はやがて窄まりをほぐし始め、エドガーは体勢を変えてあろうことかそこに口をつけた。

「ぅぇっ!? ちょっ、そんなとこ舐めないで!!」
「んあ? ここには香油とか潤滑剤になるようなもの何もないから、こうするしかない」
「でも!」
「ジルを傷つけたくないんだ。我慢してくれ」
「んぁ…ッ……はぁ、ぁああ」

ヌメリとした舌が俺の中に入り込んできて、何とも言えないゾワゾワとした感覚が襲った。
けれどそれは次第にフワフワとした感覚になっていき、気持ち良さも感じて来た。

エドガーの手によって丁寧に広げられたそこに、ピトっとエドガーのそれを当てがわれて、俺のそこは期待してヒクヒクとなっているのが分かる。
そしてゆっくりと入って来た。

ピュッ

「っ!!」

まだ最後まで入り切っていないのに、俺のそれからは、白い液体が飛び出た。
声にならない声を上げ、恥ずかしい気持ちでいっぱいになった。

「ごめん、ジル」
「ぅあっ、何でっ」

エドガーのそこはもう、体験したことのないような大きさに成長し、俺の中を圧迫した。

「はぁ……だめだ。ごめんな。ほんとに可愛すぎて抑えられない」
「ぁあっ、ぁ、っ、ん」

切羽詰まった声が上から降って来たけど、エドガーの動きは緩慢で俺の体を気遣ってくれていることは分かった。
この体では初めての行為ではあるものの、未だかつてないほどのエドガーの大きさに、俺は嬉しくなっていた。好きな人に自分で興奮してもらえると言うのは、ある意味下手な言葉よりも納得できる時がある。

俺は足でエドガーを挟み込んでエドガーをグッと自分に押し込むように引き寄せた。

「!! っ、ジル、あんまり煽らないでくれ」
「何で」
「抑えが効かなくなるっ、傷つけたくないと、言っただろ」
「抑える必要なんてないです。俺はエドガーが好きだから、エドガーの全部を受け止めたい」
「っ……ああ、もう」

エドガーは一度目をギュッと瞑った後、次に目を開けた時は獣のような目をして俺を見ていた。

「んぁあっ、はぁ、んんっ……ッ、ぁは、はげしっ、んぁ」

奥に、奥に、というように、腰を深くまで突き立てられて俺もどんどん追い詰められていく。

「はぁ、はあっん……ぁ、ん、あ」

エドガーは俺の顔中ににキスの雨を降らせながら、一心不乱に俺を求めてくれた。

「ああっ、ジル!」
「んんっ」

ほぼ同時くらい射精して、エドガーは俺の体の上に倒れ込んできた。
お互い好きあって、求め合って、今は体が疲れ切っているけど、心はとても満たされていた。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

獣人王と番の寵妃

沖田弥子
BL
オメガの天は舞手として、獣人王の後宮に参内する。だがそれは妃になるためではなく、幼い頃に翡翠の欠片を授けてくれた獣人を捜すためだった。宴で粗相をした天を、エドと名乗るアルファの獣人が庇ってくれた。彼に不埒な真似をされて戸惑うが、後日川辺でふたりは再会を果たす。以来、王以外の獣人と会うことは罪と知りながらも逢瀬を重ねる。エドに灯籠流しの夜に会おうと告げられ、それを最後にしようと決めるが、逢引きが告発されてしまう。天は懲罰として刑務庭送りになり――

嫌われものと爽やか君

黒猫鈴
BL
みんなに好かれた転校生をいじめたら、自分が嫌われていた。 よくある王道学園の親衛隊長のお話です。 別サイトから移動してきてます。

【完結】愛してるから。今日も俺は、お前を忘れたふりをする

葵井瑞貴┊書き下ろし新刊10/5発売
BL
『好きだからこそ、いつか手放さなきゃいけない日が来るーー今がその時だ』 騎士団でバディを組むリオンとユーリは、恋人同士。しかし、付き合っていることは周囲に隠している。 平民のリオンは、貴族であるユーリの幸せな結婚と未来を願い、記憶喪失を装って身を引くことを決意する。 しかし、リオンを深く愛するユーリは「何度君に忘れられても、また好きになってもらえるように頑張る」と一途に言いーー。 ほんわか包容力溺愛攻め×トラウマ持ち強気受け

いくら気に入っているとしても、人はモノに恋心を抱かない

もにゃじろう
BL
一度オナホ認定されてしまった俺が、恋人に昇進できる可能性はあるか、その答えはノーだ。

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版)

政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話

BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。 ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。

お客様と商品

あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

処理中です...