パラレルワールドの世界で俺はあなたに嫌われている

いちみやりょう

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3 告白

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前世って言っていいか分からないけど、あの世界ではエドガー隊長は俺を愛してくれた。
この世界でだって俺たちはうまくいけるはずだ。
そう思っていたけど。

『何やってる! 早く走れ!』
『首席だろう! 少しも遅れをとるな!』

入学から2週間、なぜか俺はかなり目の敵にされてる。
その理由は噂で知った。
エドガー隊長は、俺が黒髪赤目なのと、平民であること気に食わないらしい。
昔、そういう容姿の平民に妹を殺されたのだと聞いた。
それも犯人はまだ捕まっていないとか。
俺のような容姿の人はそうそういない。それも平民ともなるともしかしたら俺くらいかもしれない。
もちろん俺じゃないと思いたいけど、1年前の事故のことも知らないし、全力で否定できないのは辛いところだ。
だけど俺はその噂を知った時は俺が嫌われていることの理由があったことにホッとした。
だがそうだとしてもそれで俺が隊長と付き合うことを諦めることはできない。
前の時は俺よりも隊長がグイグイ来てくれて俺たちは付き合えた。
だけど今度は俺から好きだと伝えよう。
座学の授業中、シンとした教室の中でそう思い立った俺は叫んだ。

「好きです! エドガー教官!」

エドガーは始めポカンとした顔で俺を見て、怒った顔をしたのも束の間、それを押さえ込んだ顔で笑った。
すごい表情の変化だった。

「ジル訓練兵。頭でもおかしくなったのか?」
「そうかもしれません! でも俺は本気です!」
「そうか。では俺も本気で答えてやろう。俺はお前を好きじゃない」
「知ってます!」

エドガー隊長は目頭を押さえため息をついた。

「グラウンドを20周走ってこい」
「はい!」

俺は言いつけ通りに教室を出てグラウンドに向かった。
ひとまず気持ちは伝えたので、これからもグイグイ思いを伝えていこうと誓い全力で20周を走り切った。

午後の授業だったこともあり、走り切る頃には日も暮れていた。
それから俺は急いで模擬剣を取りに戻って、今度は素振りを始めた。

俺は、将来のために強くならないといけない。
隊長の隣に立って、守れるように。
隊長の部下を1人も死なせることがないように。

最後俺を見送った隊長の顔は、鮮明に覚えている。
あんなに悲しそうな顔をもう二度とさせたくないと思った。

それからというもの、俺はことあるごとにエドガーに好きだと伝えた。
そのことはあっという間に学校中に知れ渡った。
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