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17章:注がれる愛が重すぎる
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しおりを挟む先輩は私の頬を撫でると、
「みゆ、嫌だった? また焦らせたかな……」
「ごめんなさい、ちがうの」
私は首を横に振る。「嬉しくて」
先輩が息をのむ音がはっきり聞こえた気がした。
「今、わかった。私、先輩と離れたくない。離れない方法が『結婚』なら、結婚したい」
「ほ、ホント……?」
先輩の声が上ずる。「っていうか、本物のみゆ?」
「どういう意味ですか」
「そんなことみゆが言うの、信じられなくて」
「本物です」
「まだ2年たってないよ?」
「いいです」
「知ってると思うけど、俺の愛は『重い』よ」
先輩は言う。
私はその言葉に思わず笑うと、
「仕方ないです。諦めます」
とまっすぐに言った。
目が合うと、先輩は嬉しそうに笑う。
「それはみゆらしい。やっぱりほんもののみゆだね」
だから、本物だと言ってるでしょうが。私だって、自分で自分が信じられない。
もうこんなにも好きになってるなんて。
そう思って先輩を見ると、先輩は愛しそうに目を細めて私を見ていた。
先輩があれだけ何度も愛の言葉をささやいてくれて。
「私はね……」
先輩は私のことも、私のペースも大事にしてくれた。
なのに私はいつまでも先輩に甘えてばかりで……。
私だって、先輩とずっと一緒にいたいから。
先輩の速く走るペースに自分の足をあわせてみたくなったんだよ。
「先輩のこと、好きなんです。大好きです」
それを聞いた先輩が、嬉しそうに顔をくしゃ、と綻ばせると、私もうれしくなる。
最初、再会した時は怖かった。あのときのことずっと引き摺ってたから。
あの時から成長してない、いつも周りを気にしてばかりで何もできない自分を見られるのが怖かったのかもしれない。
そんな私に先輩は、
少しずつ、こっちだよ、と方向を示してくれた。
とびきり優しくて、でも時々強引で、意地悪で、
私をいつもドキドキさせる。
そんな先輩をいつの間にか、好きになってた。
いや、もしかしたらあれからずっと好きだったのかな……。
「私も先輩とずっと一緒にいたいって。そう思ったから……私と結婚してください」
私が言い終わると同時、先輩は私の身体を、ぎゅう、と抱きしめる。
「みゆ! 大好き! 愛してる」
―――私も先輩が好き。
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