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13 新たな問題
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本来なら一月に一度でいいと思われる性行為だが、最初に三人でした時、既にグレンは何となく嫌な予感がしていて、ひと月後にその予感は的中した。
不調をきたして動けなくなった際、待ってましたとばかりにサルファとエイルに注がれ貪られたグレンは、体液の摂取により中は満たされはしたが、あっさり抱き潰されて、本調子になるまで3日ほどかかった。
これは間を開ければ開けるほど酷い目に遭うと考えたグレンは、週に一度くらいで勘弁してくれないかと頼んだのだが……何だかんだとそれ以上の頻度で抱かれている。
(なんでこんなことに……)
そう思いしたものの、結局サルファは、誰に対しても平坦な態度のグレンが主に悪態とはいえ、言いたい事を思った通りに言える数少ない相手で、エイルは久し振りに見所があって、可愛がれる後輩になりそうだと思った相手だ。
そんな2人に食欲と性欲という、人が生きるのに必要な欲を過分に満たされて、流されているという自覚は十二分にあった。「いやよいやよも好きのうち」という言葉は、今のグレンを端的に表している。
互いの唇を離し、名残惜しげに鼻先を触れさせていると「体勢変えるぞ」の言葉とともにグレンの頭が、がくんと下がる。落ちた眼前では、エイルのものがそわそわと窮屈そうに動いていた。それを見たグレンは「早くしてやらねば」という気分になり、やわやわと服の上から揉んで刺激しつつ、布からエイルのものを解放した。
「は……ぁ、エイル」
「グレンさん、っ――」
先が触れる位置で、蒸れた雄独特の匂いが鼻をつんと刺す。しかしそれを不快に感じる事はない。普通の食事に対する味覚は変わりないが、グレンのこちらに対する味覚は少しずつ変化してきていた。
最初は青臭くこんなもの飲めたものではないと思った。しかし最近では美味しいとまでいかないまでも、味に顔をしかめることもなく、舐めて飲むことに、なんの躊躇もなくなっていることにグレンは怯え、それ以上に期待していた。
ひくつく幹を無視して、ちゅうと陰嚢を吸い、飴玉のように転がして舐めればエイルが息を飲む。零れた先走りが幹を伝い落ちて咥内に入り、グレンはもっと欲しいと言わんばかりに舐め上げていった。
「グレンさん……っ……あんまりされると、すぐ出て……」
「こっ、ちも、もうちょいだから、一回出しとけ。代わるわ」
「む、ぅ、んんぅ――!」
ほぼ同時に達した2人の熱に、少し遅れてグレンも達した。少し慣れたとはいえ、散々中で達した後の射精は、視界が眩む。
最後の一滴まで注いだ2人が中から出ていくと、グレンは力尽きた。射精出来たということは、満腹ということだ。だがグレンの満足と2人の満足は同じではない。グレンが次に備えて調息し、心の準備をしているとエイルの手が頬を撫でた。どうやら涙が出ていたようだ。
一方サルファはグレンの身体のあちこちをまさぐっている。しかし性的なものではなく、触診のような触り方で、擽ったくなったグレンは身を捩って詰った。
「おい! 変な触り方するな!」
少し力の戻った手でサルファの手をはたき落としたが、サルファは全く気にした様子もなく、再び触り始めて首を傾げる。
「――お前さあ、何か若返ってねえ?」
「……は」
「何だろう? 肌か……?」
頬に触れ、手のひらで優しく揉みながら確かめる真剣な顔に、抵抗出来なくなってしまい、グレンは怠い身体を起こした。そしてそんなサルファに釣られるように、エイルまでもが真剣な顔になっていく。
「なあ……それ。僕も思ってた」
「……やっぱりか。不味いな」
「……不味いとはどういう事だ」
「体液を求める体質だけならまだ、まぁまぁまぁまぁって感じだが、肌が綺麗になるとか若くなるとかは……別方向に狙われる可能性がある」
「それこそ身分の高い、自らの美に金銭を惜しまない層……とか」
「えぇ……」
自分の外見が若くなっているか否かなんて、気にもしていなかった。ここ数ヶ月低空飛行の気分がまた落ちて、グレンは呻く。
「ということは……今後騎士団も信用出来なくなる可能性が……?」
呻きに対して2人が頷き、グレンは頭を抱える。一体俺が何したというんだと改めて自身の不幸を呪った。
「ま、金はたくさん貰ってるし。いざとなったら拠点を変えりゃいいんじゃねえか?」
「ここ俺の持ち家なんだが」
「売っちまえばいいだろ」
「汗水や時には血をも流して買った我が家を簡単に売れと」
「……すぐ売るかはどうかは置いておいて、僕も拠点を変えた方がいいとは思います」
めらりと殺意が燻った瞬間、エイルがサルファの意見に賛同の意を示す。グレンは味方がいなくなったと悲しく思いながら尋ねた。
「そんなにか?」
「――冗談抜きで、この数ヶ月でスライムの核が完全にお前に定着したように、どんどんお前の身体もスライムの核に馴染んでいる。そのうちスライムみてえに簡単な傷が治るようになったりしたら」
「……普通に色んなところから狙われるようになりますね」
「最悪だ……」
つい先程した心の準備は全く無駄で、落ちた気分はもう、どん底だ。きっと地面にめり込んでいるに違いないとグレンは更に呻く。
しかし2人は何だか明るい。
「とにかく逃げる準備をして、当面の拠点に三人でも充分な部屋借りようぜ」
「だな。今後何か変化があったらすぐにこの街を出る心積もりで」
「待て待て待て待て」
「何だよ」
「お前ら一緒に逃げるのか!?」
「そうですよ? 僕はグレンさんの事が好きなので責任も取りますし、当然ついていきます」
「俺も。金だって余裕あるし、そもそも冒険者なんて身軽で、どこでも依頼受けれるんだからどってことねーよ。大体現役のうちに家なんか買うお前の方が希少種だわ」
「えぇ……?」
驚くグレンとは対照的に、「何を言ってるんだ」といった様子の2人。唐突な展開についていけないグレンがひっそり泣きそうになっていると、サルファがぽんぽんと頭を撫でるように叩く。幼子にするようなそれは、普段ならはたき落とすところだが、優しい動きのそれを、何故かはたき落とす事は出来なかった。
「ま、今すぐどうこうとかじゃねぇからさ。その時がきたら一緒に行こうぜ」
「もしかしたらそれまでに、グレンさんを元に戻す方法も見つかるかもしれませんしね」
にいっと笑うサルファに、エイルが頷く。2人の本気に圧される形だが、不思議と悪い気はしなかった。
「……分かった。よろしくな」
そう返事をすると、2人共が笑みを浮かべ、ぎゅうぎゅうとグレンを抱き締める。完全に流されてはいるが、やっぱり悪い気はせず、グレンはおずおず抱き締め返したのだった。
+++
それから更に半年後――
「よっし、行くかぁ!」
「さよなら俺の城……」
「お前の城は1ヶ月前に売っただろうが。女々しいぞ」
「五月蝿い! 少しぐらい感傷に浸ったっていいだろうが」
「まあまあまあまあ」
結局グレンはサルファの予想通り、軽微な傷なら瞬時に治る体質となってしまい、相談した結果、3人は街を出て、しばらく旅に出ることにした。
「まずどこへ行く?」
「ひよっこの級はもうちょい上げときたいからな。それなりに依頼の数がありそうなデカい街にしようぜ。住まなくても規模がありゃ、3人で泊まってヤってもいける宿もあるだろ」
「はあ……分かった。もうどうとでもなれだ……」
グレンの父母の墓はこの街にあるため、全く戻ってこないということはない。しかし大手を振って帰って来れるか、こそこそ帰ってくるようになるのかは現段階では不透明だ。
(まぁ、それでも……)
こいつらがいるなら、色んな意味で、どうにかなるか。
グレンはなんとなく、そんな風に思っていた。
不調をきたして動けなくなった際、待ってましたとばかりにサルファとエイルに注がれ貪られたグレンは、体液の摂取により中は満たされはしたが、あっさり抱き潰されて、本調子になるまで3日ほどかかった。
これは間を開ければ開けるほど酷い目に遭うと考えたグレンは、週に一度くらいで勘弁してくれないかと頼んだのだが……何だかんだとそれ以上の頻度で抱かれている。
(なんでこんなことに……)
そう思いしたものの、結局サルファは、誰に対しても平坦な態度のグレンが主に悪態とはいえ、言いたい事を思った通りに言える数少ない相手で、エイルは久し振りに見所があって、可愛がれる後輩になりそうだと思った相手だ。
そんな2人に食欲と性欲という、人が生きるのに必要な欲を過分に満たされて、流されているという自覚は十二分にあった。「いやよいやよも好きのうち」という言葉は、今のグレンを端的に表している。
互いの唇を離し、名残惜しげに鼻先を触れさせていると「体勢変えるぞ」の言葉とともにグレンの頭が、がくんと下がる。落ちた眼前では、エイルのものがそわそわと窮屈そうに動いていた。それを見たグレンは「早くしてやらねば」という気分になり、やわやわと服の上から揉んで刺激しつつ、布からエイルのものを解放した。
「は……ぁ、エイル」
「グレンさん、っ――」
先が触れる位置で、蒸れた雄独特の匂いが鼻をつんと刺す。しかしそれを不快に感じる事はない。普通の食事に対する味覚は変わりないが、グレンのこちらに対する味覚は少しずつ変化してきていた。
最初は青臭くこんなもの飲めたものではないと思った。しかし最近では美味しいとまでいかないまでも、味に顔をしかめることもなく、舐めて飲むことに、なんの躊躇もなくなっていることにグレンは怯え、それ以上に期待していた。
ひくつく幹を無視して、ちゅうと陰嚢を吸い、飴玉のように転がして舐めればエイルが息を飲む。零れた先走りが幹を伝い落ちて咥内に入り、グレンはもっと欲しいと言わんばかりに舐め上げていった。
「グレンさん……っ……あんまりされると、すぐ出て……」
「こっ、ちも、もうちょいだから、一回出しとけ。代わるわ」
「む、ぅ、んんぅ――!」
ほぼ同時に達した2人の熱に、少し遅れてグレンも達した。少し慣れたとはいえ、散々中で達した後の射精は、視界が眩む。
最後の一滴まで注いだ2人が中から出ていくと、グレンは力尽きた。射精出来たということは、満腹ということだ。だがグレンの満足と2人の満足は同じではない。グレンが次に備えて調息し、心の準備をしているとエイルの手が頬を撫でた。どうやら涙が出ていたようだ。
一方サルファはグレンの身体のあちこちをまさぐっている。しかし性的なものではなく、触診のような触り方で、擽ったくなったグレンは身を捩って詰った。
「おい! 変な触り方するな!」
少し力の戻った手でサルファの手をはたき落としたが、サルファは全く気にした様子もなく、再び触り始めて首を傾げる。
「――お前さあ、何か若返ってねえ?」
「……は」
「何だろう? 肌か……?」
頬に触れ、手のひらで優しく揉みながら確かめる真剣な顔に、抵抗出来なくなってしまい、グレンは怠い身体を起こした。そしてそんなサルファに釣られるように、エイルまでもが真剣な顔になっていく。
「なあ……それ。僕も思ってた」
「……やっぱりか。不味いな」
「……不味いとはどういう事だ」
「体液を求める体質だけならまだ、まぁまぁまぁまぁって感じだが、肌が綺麗になるとか若くなるとかは……別方向に狙われる可能性がある」
「それこそ身分の高い、自らの美に金銭を惜しまない層……とか」
「えぇ……」
自分の外見が若くなっているか否かなんて、気にもしていなかった。ここ数ヶ月低空飛行の気分がまた落ちて、グレンは呻く。
「ということは……今後騎士団も信用出来なくなる可能性が……?」
呻きに対して2人が頷き、グレンは頭を抱える。一体俺が何したというんだと改めて自身の不幸を呪った。
「ま、金はたくさん貰ってるし。いざとなったら拠点を変えりゃいいんじゃねえか?」
「ここ俺の持ち家なんだが」
「売っちまえばいいだろ」
「汗水や時には血をも流して買った我が家を簡単に売れと」
「……すぐ売るかはどうかは置いておいて、僕も拠点を変えた方がいいとは思います」
めらりと殺意が燻った瞬間、エイルがサルファの意見に賛同の意を示す。グレンは味方がいなくなったと悲しく思いながら尋ねた。
「そんなにか?」
「――冗談抜きで、この数ヶ月でスライムの核が完全にお前に定着したように、どんどんお前の身体もスライムの核に馴染んでいる。そのうちスライムみてえに簡単な傷が治るようになったりしたら」
「……普通に色んなところから狙われるようになりますね」
「最悪だ……」
つい先程した心の準備は全く無駄で、落ちた気分はもう、どん底だ。きっと地面にめり込んでいるに違いないとグレンは更に呻く。
しかし2人は何だか明るい。
「とにかく逃げる準備をして、当面の拠点に三人でも充分な部屋借りようぜ」
「だな。今後何か変化があったらすぐにこの街を出る心積もりで」
「待て待て待て待て」
「何だよ」
「お前ら一緒に逃げるのか!?」
「そうですよ? 僕はグレンさんの事が好きなので責任も取りますし、当然ついていきます」
「俺も。金だって余裕あるし、そもそも冒険者なんて身軽で、どこでも依頼受けれるんだからどってことねーよ。大体現役のうちに家なんか買うお前の方が希少種だわ」
「えぇ……?」
驚くグレンとは対照的に、「何を言ってるんだ」といった様子の2人。唐突な展開についていけないグレンがひっそり泣きそうになっていると、サルファがぽんぽんと頭を撫でるように叩く。幼子にするようなそれは、普段ならはたき落とすところだが、優しい動きのそれを、何故かはたき落とす事は出来なかった。
「ま、今すぐどうこうとかじゃねぇからさ。その時がきたら一緒に行こうぜ」
「もしかしたらそれまでに、グレンさんを元に戻す方法も見つかるかもしれませんしね」
にいっと笑うサルファに、エイルが頷く。2人の本気に圧される形だが、不思議と悪い気はしなかった。
「……分かった。よろしくな」
そう返事をすると、2人共が笑みを浮かべ、ぎゅうぎゅうとグレンを抱き締める。完全に流されてはいるが、やっぱり悪い気はせず、グレンはおずおず抱き締め返したのだった。
+++
それから更に半年後――
「よっし、行くかぁ!」
「さよなら俺の城……」
「お前の城は1ヶ月前に売っただろうが。女々しいぞ」
「五月蝿い! 少しぐらい感傷に浸ったっていいだろうが」
「まあまあまあまあ」
結局グレンはサルファの予想通り、軽微な傷なら瞬時に治る体質となってしまい、相談した結果、3人は街を出て、しばらく旅に出ることにした。
「まずどこへ行く?」
「ひよっこの級はもうちょい上げときたいからな。それなりに依頼の数がありそうなデカい街にしようぜ。住まなくても規模がありゃ、3人で泊まってヤってもいける宿もあるだろ」
「はあ……分かった。もうどうとでもなれだ……」
グレンの父母の墓はこの街にあるため、全く戻ってこないということはない。しかし大手を振って帰って来れるか、こそこそ帰ってくるようになるのかは現段階では不透明だ。
(まぁ、それでも……)
こいつらがいるなら、色んな意味で、どうにかなるか。
グレンはなんとなく、そんな風に思っていた。
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