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例えばこんな来世でも貴方は私を再び三度
5-2
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~5-2~
「最初から説明しよう」
店主は背凭れに体重を預け天井を仰ぎ見ながら話し続ける。
「先ず始めたのは件の素人集団の身元確認だ。二枚目の書類見てみろ」
指示に従い書類を捲る。其処には確かにあの日私が処理した5名の写真と姓名、簡易な経歴が記されていた。
「元は組合の仕入れ先に属していた構成員と分かった、まぁ末端のチンピラだ」
仕事の杜撰さも頷けるなと付け加えた店主は私が固まったまま動かないことに気付き立ち上がるとカウンター上に有ったターキーのボトルを下げ代わりにミネラルウォーターを注いだグラスを差し出した。
「余計な気を回すな、良いから続けてくれ」
結論の見えている話ではあったが背景は十全に把握しておかなければならないと考えた私は話の先を促した。
「その連中は経歴の最後にある通り去年の10月頃から揃って行方を晦ましている」
成る程書類を見る限り彼らの消息は店主の言葉通りだった。
「最初はその時に組織の金か在庫を持ち逃げして商売を始めたのかと思ったんだが、仕入れ先の知人曰く連中は着の身着のままに近い状態で姿を消したんだそうだ」
其処まで交友関係が広かったのか、そんな相槌を打つ余裕も無い。ただ視線でのみ話を理解している旨を示す。
「そこで目を付けたのはお前が開けずに帰った金庫の中身だ、三枚目見てみろ」
更に書類の束を捲る。紙上には複数の数列が並んでいる。良く見ると上下に分けられた数列の集団はその内容が重複している。
「上の数列は金庫の中身から回収した札束の1枚目に印字された記番号、下は…」
「組合の資金洗浄リストか…」
店主の説明を遮って溜息交じりに言葉を漏らす。先程よりも険しくなった顔で頷いた店主を見て此方も憂鬱に拍車が掛かる。
「何に使うかは知らんがそんな情報でも欲しがる輩が居てな、会計室の人間に幾つか暗記して貰った物を控えていたんだが…思わぬ所で役に立っちまったな」
紙上に書かれた数列は其の儘札束の数、しかもこれもほんの一部でしかないとすればかなりの金額が動いていることになる。
「此れを全て前任者が糸を引いてるって訳じゃないだろうな」
我ながら馬鹿な質問をしている自覚は有った。資金の横領だけなら未だしも所縁の無い外部組織の人員を引き抜いて組織を立ち上げさせるなど一介の金庫番に引ける絵図で無い事は明白だ。
「其れについては更にきな臭い話が上がっててな…無論裏は取ってあるんだが」
煮え切らない態度の店主に苛立った私はカウンターに乗り出し下げられたターキーを手許に取り戻すとグラスに注ぎ直す。
「覚悟して聞きに来てるんだ、もう餓鬼扱いは真っ平だぞ」
2度は言わすなよと付け加えた私は店主を睨みつけると再度琥珀色の液体を飲み干し空いたグラスをカウンターに叩き付けた。
「最初から説明しよう」
店主は背凭れに体重を預け天井を仰ぎ見ながら話し続ける。
「先ず始めたのは件の素人集団の身元確認だ。二枚目の書類見てみろ」
指示に従い書類を捲る。其処には確かにあの日私が処理した5名の写真と姓名、簡易な経歴が記されていた。
「元は組合の仕入れ先に属していた構成員と分かった、まぁ末端のチンピラだ」
仕事の杜撰さも頷けるなと付け加えた店主は私が固まったまま動かないことに気付き立ち上がるとカウンター上に有ったターキーのボトルを下げ代わりにミネラルウォーターを注いだグラスを差し出した。
「余計な気を回すな、良いから続けてくれ」
結論の見えている話ではあったが背景は十全に把握しておかなければならないと考えた私は話の先を促した。
「その連中は経歴の最後にある通り去年の10月頃から揃って行方を晦ましている」
成る程書類を見る限り彼らの消息は店主の言葉通りだった。
「最初はその時に組織の金か在庫を持ち逃げして商売を始めたのかと思ったんだが、仕入れ先の知人曰く連中は着の身着のままに近い状態で姿を消したんだそうだ」
其処まで交友関係が広かったのか、そんな相槌を打つ余裕も無い。ただ視線でのみ話を理解している旨を示す。
「そこで目を付けたのはお前が開けずに帰った金庫の中身だ、三枚目見てみろ」
更に書類の束を捲る。紙上には複数の数列が並んでいる。良く見ると上下に分けられた数列の集団はその内容が重複している。
「上の数列は金庫の中身から回収した札束の1枚目に印字された記番号、下は…」
「組合の資金洗浄リストか…」
店主の説明を遮って溜息交じりに言葉を漏らす。先程よりも険しくなった顔で頷いた店主を見て此方も憂鬱に拍車が掛かる。
「何に使うかは知らんがそんな情報でも欲しがる輩が居てな、会計室の人間に幾つか暗記して貰った物を控えていたんだが…思わぬ所で役に立っちまったな」
紙上に書かれた数列は其の儘札束の数、しかもこれもほんの一部でしかないとすればかなりの金額が動いていることになる。
「此れを全て前任者が糸を引いてるって訳じゃないだろうな」
我ながら馬鹿な質問をしている自覚は有った。資金の横領だけなら未だしも所縁の無い外部組織の人員を引き抜いて組織を立ち上げさせるなど一介の金庫番に引ける絵図で無い事は明白だ。
「其れについては更にきな臭い話が上がっててな…無論裏は取ってあるんだが」
煮え切らない態度の店主に苛立った私はカウンターに乗り出し下げられたターキーを手許に取り戻すとグラスに注ぎ直す。
「覚悟して聞きに来てるんだ、もう餓鬼扱いは真っ平だぞ」
2度は言わすなよと付け加えた私は店主を睨みつけると再度琥珀色の液体を飲み干し空いたグラスをカウンターに叩き付けた。
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