焦げ付いた砂糖水のように

小島秋人

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 救済を外注しようとする行為のメリットを論じておきたい。一見無為な時間潰しに映ることだろうと思う。事実十中八九が其れであって、であれば何故?

 『手段と目的の逆転』と言うのも最早使い古された月並みな表現ではあるけれど、早い話そんな程度の理由しかない。救いの所在に心当たりが有れば、此れも繰り言になるが早々彼岸に渡っていたことだらう。

 人間嫌い、それでも温まりまで嫌う訳ではなく。自己矛盾で、距離の取り方も支離滅裂。愛される訳はなく、彼以外に愛される意味も最早見出だしてはいない。一頃昔なら分裂症とでも、いやそれは格好つけが過ぎるか。

 救済を求めているポーズを取りながら、その実自傷願望を満たしている。実は其れすら言い訳に過ぎず、そうやって手繰り寄せた中に本当の救いを求めている不様を悟られない様に怯えている。

 心の所在は時々に移ろって、「あぁ、君が居ないとは自分が居ないと言う事なのか」と悟れたことだけは良かった。

 別に誰彼も俺の胸中全てをなど知りたくもなかろう。面倒を厭うているのが知れると却って攻撃的になるのは我ながら性格が悪い。

 早く帰って来るか、そうでないなら早く迎えに来ないと、どんどんイヤな奴になっちゃうぞ。

 皆に嫌われてる俺でも君は好きかい

 
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