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たどり着く先
ー藍来ー昔話 3
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泣きそうな顔。目が潤んでる。
見つめてくるのが愛しい。
思わずキスを交わしたくなる。でも、彼女に触れてしまうと、容易く壊れてしまいそうな気がしてならない。
真希の繊細ゆえに鋭くて自身さえも傷つけそうな、透明で美しい心を大切に愛し続けたい。
だから彼氏よりも俺を選んでほしい。
どんなにかかろうと、俺だけを愛してもらえるように努力する。
まだ、話していない。俺と晴について。
ブレスレットに宿るのを止めてから、探していたんだ。代わりになる人間を。
とはいえ、あてがなくて困っていた。
ふと、真希の元彼の存在を思い出す。
手がかりがなさすぎて無理かと思ったが、
1度だけ真希の記憶を探ることにしたんだ。
本当はやりたくないが、色々調べた。
真希の過去を覗いた。アクセスするのが難しく、なかなか上手くできなかったが、なんとか出来た。
分かったことは、名前が園田晴。バンドを組んでいてボーカルである、あとは住んでる所くらい。
別れてからだいぶ月日が経っている。
引っ越してる可能性もなくもない。ダメ元で行ったら、運良くまだ住んでいてラッキーだった。
築年数の古そうなボロいアパートにひとり暮らししていた。
やっぱり運命なのかもしれない。
上手く行きすぎていて自分でもびっくりしたっけ。
晴は荒んでいた。どうやらバンドが上手くいかず毎日昼間から酒を飲んでいるようだ。
仕事はどうやら辞めてしまっているみたいで、寝るか飲むかだけ。
いい加減さが自分によく似ていて重なる。
声をかけた。
もしもう1度チャンスがあるならば、どうする?
聞こえたみたいで目線が動く。
彼は視えているのか、すがるような目をした。
手を差し伸べたんじゃないんだよ。お前が生きているのを利用したいだけ。
晴の意識の中に宿ると、最初は違和感しかなく彼は吐いていた。まあ、酒の飲みすぎもあるんだろうけど。
拒絶反応があったんだろうな。
晴になった俺はバンドをもう1度頑張ることに。
今まで組んでいたバンドでは駄目で新しいメンバーを探す。
ここでも、偶然ボーカルが居ないVanillaに入った。
やっぱり流れが良すぎて怖いくらい。
Vanillaはバンド内の空気感がよかった。何よりみんな真剣に音楽をやってる。
このバンドなら成功する。俺が導く。
今までボーカリストとしてやってきたやり方はまだ通用した。
でも、それだけじゃ上手くいかなかった。
メンバーそれぞれに独立した個性があったし、リーダーである忍の人を動かす素質もあったから。
どれか1つでも欠けていたら、バンドは成功しなかっただろう。
バンドが軌道に乗り出した時に違和感があった。
たまに自分が誰なのか分からなくなる時がある。
藍来のはずなのに、晴の意識が強いと上手く動けない。
彼は、俺を自分の魂に取り込もうとしてたみたい。
そんな簡単に消されたくないから強く保ったが、バランスは崩れ始めていた。
俺と晴は境遇がよく似ているし。それ以外にも重なるところがある。だから、たまに藍来の記憶なのか晴のものか分からなくなってくる。
段々と自我を保つのが難しくなっていったんだ。
それでも、晴は彼なりに自分らしさを大事にしてたし、俺も晴として生きていかないように逆らった。
でも、分かるんだ。このままでは晴でも藍来でもなくなる気がするって。
どちらでも、なくなりそうなことは真希に言えなかった。心配かけてしまうから。
見つめてくるのが愛しい。
思わずキスを交わしたくなる。でも、彼女に触れてしまうと、容易く壊れてしまいそうな気がしてならない。
真希の繊細ゆえに鋭くて自身さえも傷つけそうな、透明で美しい心を大切に愛し続けたい。
だから彼氏よりも俺を選んでほしい。
どんなにかかろうと、俺だけを愛してもらえるように努力する。
まだ、話していない。俺と晴について。
ブレスレットに宿るのを止めてから、探していたんだ。代わりになる人間を。
とはいえ、あてがなくて困っていた。
ふと、真希の元彼の存在を思い出す。
手がかりがなさすぎて無理かと思ったが、
1度だけ真希の記憶を探ることにしたんだ。
本当はやりたくないが、色々調べた。
真希の過去を覗いた。アクセスするのが難しく、なかなか上手くできなかったが、なんとか出来た。
分かったことは、名前が園田晴。バンドを組んでいてボーカルである、あとは住んでる所くらい。
別れてからだいぶ月日が経っている。
引っ越してる可能性もなくもない。ダメ元で行ったら、運良くまだ住んでいてラッキーだった。
築年数の古そうなボロいアパートにひとり暮らししていた。
やっぱり運命なのかもしれない。
上手く行きすぎていて自分でもびっくりしたっけ。
晴は荒んでいた。どうやらバンドが上手くいかず毎日昼間から酒を飲んでいるようだ。
仕事はどうやら辞めてしまっているみたいで、寝るか飲むかだけ。
いい加減さが自分によく似ていて重なる。
声をかけた。
もしもう1度チャンスがあるならば、どうする?
聞こえたみたいで目線が動く。
彼は視えているのか、すがるような目をした。
手を差し伸べたんじゃないんだよ。お前が生きているのを利用したいだけ。
晴の意識の中に宿ると、最初は違和感しかなく彼は吐いていた。まあ、酒の飲みすぎもあるんだろうけど。
拒絶反応があったんだろうな。
晴になった俺はバンドをもう1度頑張ることに。
今まで組んでいたバンドでは駄目で新しいメンバーを探す。
ここでも、偶然ボーカルが居ないVanillaに入った。
やっぱり流れが良すぎて怖いくらい。
Vanillaはバンド内の空気感がよかった。何よりみんな真剣に音楽をやってる。
このバンドなら成功する。俺が導く。
今までボーカリストとしてやってきたやり方はまだ通用した。
でも、それだけじゃ上手くいかなかった。
メンバーそれぞれに独立した個性があったし、リーダーである忍の人を動かす素質もあったから。
どれか1つでも欠けていたら、バンドは成功しなかっただろう。
バンドが軌道に乗り出した時に違和感があった。
たまに自分が誰なのか分からなくなる時がある。
藍来のはずなのに、晴の意識が強いと上手く動けない。
彼は、俺を自分の魂に取り込もうとしてたみたい。
そんな簡単に消されたくないから強く保ったが、バランスは崩れ始めていた。
俺と晴は境遇がよく似ているし。それ以外にも重なるところがある。だから、たまに藍来の記憶なのか晴のものか分からなくなってくる。
段々と自我を保つのが難しくなっていったんだ。
それでも、晴は彼なりに自分らしさを大事にしてたし、俺も晴として生きていかないように逆らった。
でも、分かるんだ。このままでは晴でも藍来でもなくなる気がするって。
どちらでも、なくなりそうなことは真希に言えなかった。心配かけてしまうから。
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