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特別編6
第3話『膝枕してほしい』
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「これが最後ッスよ。あ~ん」
「あ~ん。……うん、プリンも美味しかった。玉子粥とプリン、ごちそうさまでした」
恭子さんは私達が買ってきた玉子粥とプリンを完食してくれました。どちらも完食できるほどの食欲があったことの安堵と、買ってきたものを完食してくれた嬉しさを抱きます。私と同じ気持ちなのか、沙綾さんはニッコリとした笑顔になっていて。
「どっちも完食できて良かったッス! そして嬉しいッス!」
「私も同じことを思いました」
「そうッスか!」
「2人ともありがとね。玉子粥とプリンを食べて元気出てきた」
恭子さんは微笑みながらそう言います。恭子さんの顔色は、私達がここに来たときよりも良くなっているように見えますね。
恭子さんは御両親が用意してくれていた市販の風邪薬を飲みました。玉子粥とプリンを食べて、薬も飲みましたから、このままゆっくりしていれば体調も良くなっていくことでしょう。
「恭子さん。他に私達にしてほしいことはありますか?」
「遠慮なく言っていいッスよ」
「何でも言ってください」
「そうね……」
と言いながら、恭子さんは私達のことをチラチラと見てきます。ただ、心なしか私を見ていることの方が多いような。恭子さんはどんなお願いをしてくるでしょうか。
「……ひ、氷織に膝枕してほしいわ」
頬をほんのりと赤らめながら、恭子さんはそう言ってきます。私と指定しているので、恭子さんは私のことをじっと見つめてきて。
「いいですよ、恭子さん」
「ありがとう!」
恭子さんは今日一番と言っていいほどの明るい笑顔でそう言いました。膝枕をしてほしい気持ちが強いのが窺えます。
「ふふっ、ひおりんの膝枕ッスか。ヒム子ならお願いすると思っていたッス」
楽しそうな様子でそう言う沙綾さん。
「分かりました。では、ベッドで膝枕しましょう」
「お願いするわ!」
ニコニコ顔でそう言う恭子さん。私が膝枕をすることになったからか、いつもの恭子さんになってきましたね。
私はベッドの端に座ります。
恭子さんは私のすぐ側まで近づき、
「し、失礼するわ」
「どうぞ、恭子さん」
恭子さんは仰向けの体勢でゆっくりと横になり、頭を私の脚にそっと乗せました。そのことで、恭子さんの温もりと重みが優しく伝わってきます。
「あぁ、気持ちいいわぁ。太ももが柔らかくて、温かくて、氷織の甘い匂いがして。史上最高の膝枕だわぁ……」
恭子さんはうっとりとした様子でそう言います。
「気に入ってくれて嬉しいです」
私は恭子さんの頭を優しく撫でます。
私に頭を撫でられるのが気持ちいいのでしょうか。恭子さんは柔らかい笑みを浮かべます。その姿は、お試しで付き合っている頃、私の家で初めてお家デートした際に膝枕したときの明斗さんと重なります。それもあって、とても優しい気持ちになれます。
「良かったッスね、ヒム子」
「ええ、最高よ。氷織に膝枕してもらっているから、何だか体が楽になってきたかも」
「そうですか。恭子さんがそう言うの分かります。私も1学期に風邪を引いて、病み上がりのときに明斗さんに膝枕をしてもらって。そのとき、心身共に安らげたんです」
明斗さんの温もりや匂いを感じて、明斗さんの優しい笑顔を見て癒やされたことを覚えています。私の大切な思い出の一つです。
「そうだったの。好きな人の膝枕だものね」
「ですね」
今後、もし風邪を引いてしまったら、そのときは明斗さんに膝枕をお願いしましょうかね。
恭子さんは「ふああっ……」と可愛らしいあくびをします。
「薬を飲んだし、氷織の膝枕が気持ちいいからかしら。眠くなってきたわ」
「眠くなるのはいいことですね。では、このまま寝てください」
「いいの? 氷織……キツくない?」
「大丈夫ですよ。もしキツくなったり、お手洗いに行きたくなったりしたら、そのときは恭子さんを起こさずに普通の枕で寝かしますから」
「そのときは協力するッス」
「……じゃあ、お言葉に甘えてこのまま寝るわ。あたし、静かじゃないと寝られないってタイプじゃないから、2人で普通に話していても大丈夫だから」
「分かりました」
「了解ッス」
そういえば、先日のお泊まり女子会では、朝に私達が小声で話していても恭子さんはぐっすりと眠っていましたね。今回も沙綾さんと小声では喋ろうかなと思います。
恭子さんがこのまま眠るので、沙綾さんは掛け布団を恭子さんの胸のあたりまで掛けました。これで、体が冷えてしまうことはないでしょう。
「氷織、沙綾、おやすみなさい」
「おやすみなさい、恭子さん」
「おやすみッス、ヒム子」
「うん」
恭子さんはゆっくりと目を瞑ります。
風邪薬の影響か、私の膝枕が気持ちいいのか。目を瞑ってから程なくして、恭子さんは可愛らしい寝息を立て始めました。
「ヒム子、さっそく気持ち良さそうに寝ているッスね」
「そうですね。このまま眠れば体調も良くなっていくんじゃないでしょうか」
「そうなることを願うッス」
沙綾さんは恭子さんのお腹のあたりを優しく叩きながらそう言いました。きっと、その優しい想いは恭子さんに届くと思いますよ。
お泊まり女子会のときにも思いましたが、恭子さんの寝顔はとても可愛らしいです。この寝顔を見ていれば、何時間でも恭子さんを膝枕していられそうです。
「ヒム子、ぐっすり寝ているッスね。じゃあ、あたしは古典の課題をやるッス」
「持ってきていたんですか」
「ええ。今みたいに、寝ているヒム子の側にいる時間があるかもしれないと思って。それに、古典はちょっと苦手なので、ひおりんがいるときに片付けたいと思って」
「なるほど、そういうことですか。ちゃっかりしていますね」
私がそう言うと、沙綾さんはニコッと笑いました。
私は恭子さんのお見舞いや看病のことばかり考えていたので、課題は一切持ってきていません。まあ、課題の大半は終わっていますし、夏休みはあと1ヶ月近くありますから別にいいのですが。
「分からないところがあったら訊いてください」
「どうもッス」
「あと、ローテーブルに置いてある私のスマホを取ってくれますか」
「了解ッス」
沙綾さんに私のスマホを渡してもらいました。
それからはスマホでWeb小説を読んだり、メモ帳アプリで小説の構想をメモしたり、沙綾さんから古典の課題の質問に答えたりするなどして過ごします。
小声で沙綾さんと談笑することもありますが、恭子さん……本当に気持ち良く寝ていますね。起きる気配が全然ありません。
また、恭子さんは寝返りを打って、私のお腹に顔を埋めるときもあって。そのときは私のお腹に恭子さんの温かい吐息が定期的にかかってきて。それがとても気持ちいいです。そういえば、明斗さんに膝枕したときもこうして私のお腹に顔を埋めてきましたね。懐かしい気持ちになりますね。
色々なことをしていたので、あっという間に時間が過ぎていって。
「んっ……」
恭子さんが目を覚ましたときは、彼女が寝始めてから2時間ほど経っていました。
「氷織……」
「おはようございます、恭子さん。あれから2時間くらい経ちました」
「そうだったの。……氷織に膝枕してもらったかしら。凄くいい目覚めだわ」
「良かったです。お手洗いに行ったとき以外はずっと膝枕していました」
「そうだったッスね。ヒム子が寝ている間はあたしが持ってきた古典の課題をひおりんに教えてもらったり、アニメのこととかを話したりしていたッス」
「そうだったのね」
そう言いながら、恭子さんはゆっくりと上半身を起こします。
「……あっ、だるさが結構軽くなってる。熱っぽさも朝に比べたらマシになってる」
「薬を飲んで、ひおりんの膝枕で寝たおかげッスね」
「きっとそうね」
その後、恭子さんはローテーブルに置いてある体温計で体温を測ります。寝る前よりも顔色が良くなっているので、体温も結構下がっているように思えます。
「……37度1分。朝は38度2分あったから、これでもだいぶ下がったわ」
「そうッスか! 体調が良くなって良かったッスね」
「そうですね」
玉子粥とプリンで栄養を付けて、薬を飲んで、2時間ほどぐっすりと眠ったことで体調が良くなったのでしょう。私の膝枕が体調が良くなるのを早めることができたのなら嬉しいです。
「ヒム子。アニメを観られそうッスか?」
「ベッドで横になりながらなら全然OKよ」
「良かったッス。じゃあ、この前買ったボーイズラブアニメのBlu-rayを3人で一緒に観るッス。もし、ヒム子の治りが早かったら観ようかと思って、Blu-rayを持ってきていたッスよ~」
沙綾さんは楽しげな様子で、自分のトートバッグからBlu-rayを取り出します。それを見て、恭子さんは「おおっ」と声を漏らします。
「持ってきてくれていたのね。嬉しいわ」
「Blu-rayも持ってきていたんですね。古典の課題を持ってきていたので、もしやとは思っていましたが」
「ふふっ。これでアニメを観る約束を果たせるッスね!」
「そうですね、沙綾さん」
「そうね!」
恭子さんはとても嬉しそうに言いました。もしかしたら、約束していたBlu-rayをここで観られるとは思わなかったのかもしれません。
――ぐううっ。
と、誰かから腹の虫がしっかりと鳴ります。私のお腹は鳴っていませんし、恭子さんは2時間ほど前に玉子粥とプリンを完食しました。なので、おそらく――。
「なかなか盛大になってしまったッスね」
あははっ、と沙綾さんはちょっと恥ずかしそうに笑います。
「結構お腹が空いたッス」
「今は1時半過ぎですもんね。私もお腹が空きました。じゃあ、マンションの近くのコンビニでお昼を買いましょうか」
「そうッスね。それをここで食べながら観るッスか。ヒム子、それでもいいッスか?」
「もちろんよ。ご飯も食べずにあたしの側にずっといてくれてありがとね。きっと、そのおかげもあって治りが早かったんだと思うわ」
恭子さんはとても嬉しそうな笑顔でそう言いました。私達の看病で恭子さんの笑顔を引き出せたのなら、とても嬉しいです。
それから、私は沙綾さんと一緒にマンションの近くにあるコンビニに行き、お昼ご飯を買いました。ちなみに、私はツナサンドとたまごサンドとレタスサンドが入ったミックスサンドにストレートティーです。また、恭子さんへのお土産に桃のゼリーを買いました。
恭子さんの家に戻り、恭子さんの部屋で、ボーイズラブアニメのBlu-rayを観始めます。
結構面白くて、3人で笑うことが何度もあって。また、キスシーンもあるので、
「いやぁ、アニメになってもキスシーンは素晴らしいッス!」
「結構キュンとするわね!」
沙綾さんも恭子さんも興奮している様子でした。恭子さんの熱がぶり返さなければいいのですが。ちなみに、私も結構ドキドキしました。
1時間ちょっとでしたが、とても満足感のあるアニメでした。
当初の約束とは場所が変わり、過ごし方も変わりました。ただ、3人でアニメのBlu-rayを観る約束は果たせて、3人で一緒に楽しく一緒に過ごせて良かったです。
私と沙綾さんが帰る頃には恭子さんの体調がだいぶ良くなっていて。翌日にはすっかりと元気になったそうです。本当に良かったです。
「あ~ん。……うん、プリンも美味しかった。玉子粥とプリン、ごちそうさまでした」
恭子さんは私達が買ってきた玉子粥とプリンを完食してくれました。どちらも完食できるほどの食欲があったことの安堵と、買ってきたものを完食してくれた嬉しさを抱きます。私と同じ気持ちなのか、沙綾さんはニッコリとした笑顔になっていて。
「どっちも完食できて良かったッス! そして嬉しいッス!」
「私も同じことを思いました」
「そうッスか!」
「2人ともありがとね。玉子粥とプリンを食べて元気出てきた」
恭子さんは微笑みながらそう言います。恭子さんの顔色は、私達がここに来たときよりも良くなっているように見えますね。
恭子さんは御両親が用意してくれていた市販の風邪薬を飲みました。玉子粥とプリンを食べて、薬も飲みましたから、このままゆっくりしていれば体調も良くなっていくことでしょう。
「恭子さん。他に私達にしてほしいことはありますか?」
「遠慮なく言っていいッスよ」
「何でも言ってください」
「そうね……」
と言いながら、恭子さんは私達のことをチラチラと見てきます。ただ、心なしか私を見ていることの方が多いような。恭子さんはどんなお願いをしてくるでしょうか。
「……ひ、氷織に膝枕してほしいわ」
頬をほんのりと赤らめながら、恭子さんはそう言ってきます。私と指定しているので、恭子さんは私のことをじっと見つめてきて。
「いいですよ、恭子さん」
「ありがとう!」
恭子さんは今日一番と言っていいほどの明るい笑顔でそう言いました。膝枕をしてほしい気持ちが強いのが窺えます。
「ふふっ、ひおりんの膝枕ッスか。ヒム子ならお願いすると思っていたッス」
楽しそうな様子でそう言う沙綾さん。
「分かりました。では、ベッドで膝枕しましょう」
「お願いするわ!」
ニコニコ顔でそう言う恭子さん。私が膝枕をすることになったからか、いつもの恭子さんになってきましたね。
私はベッドの端に座ります。
恭子さんは私のすぐ側まで近づき、
「し、失礼するわ」
「どうぞ、恭子さん」
恭子さんは仰向けの体勢でゆっくりと横になり、頭を私の脚にそっと乗せました。そのことで、恭子さんの温もりと重みが優しく伝わってきます。
「あぁ、気持ちいいわぁ。太ももが柔らかくて、温かくて、氷織の甘い匂いがして。史上最高の膝枕だわぁ……」
恭子さんはうっとりとした様子でそう言います。
「気に入ってくれて嬉しいです」
私は恭子さんの頭を優しく撫でます。
私に頭を撫でられるのが気持ちいいのでしょうか。恭子さんは柔らかい笑みを浮かべます。その姿は、お試しで付き合っている頃、私の家で初めてお家デートした際に膝枕したときの明斗さんと重なります。それもあって、とても優しい気持ちになれます。
「良かったッスね、ヒム子」
「ええ、最高よ。氷織に膝枕してもらっているから、何だか体が楽になってきたかも」
「そうですか。恭子さんがそう言うの分かります。私も1学期に風邪を引いて、病み上がりのときに明斗さんに膝枕をしてもらって。そのとき、心身共に安らげたんです」
明斗さんの温もりや匂いを感じて、明斗さんの優しい笑顔を見て癒やされたことを覚えています。私の大切な思い出の一つです。
「そうだったの。好きな人の膝枕だものね」
「ですね」
今後、もし風邪を引いてしまったら、そのときは明斗さんに膝枕をお願いしましょうかね。
恭子さんは「ふああっ……」と可愛らしいあくびをします。
「薬を飲んだし、氷織の膝枕が気持ちいいからかしら。眠くなってきたわ」
「眠くなるのはいいことですね。では、このまま寝てください」
「いいの? 氷織……キツくない?」
「大丈夫ですよ。もしキツくなったり、お手洗いに行きたくなったりしたら、そのときは恭子さんを起こさずに普通の枕で寝かしますから」
「そのときは協力するッス」
「……じゃあ、お言葉に甘えてこのまま寝るわ。あたし、静かじゃないと寝られないってタイプじゃないから、2人で普通に話していても大丈夫だから」
「分かりました」
「了解ッス」
そういえば、先日のお泊まり女子会では、朝に私達が小声で話していても恭子さんはぐっすりと眠っていましたね。今回も沙綾さんと小声では喋ろうかなと思います。
恭子さんがこのまま眠るので、沙綾さんは掛け布団を恭子さんの胸のあたりまで掛けました。これで、体が冷えてしまうことはないでしょう。
「氷織、沙綾、おやすみなさい」
「おやすみなさい、恭子さん」
「おやすみッス、ヒム子」
「うん」
恭子さんはゆっくりと目を瞑ります。
風邪薬の影響か、私の膝枕が気持ちいいのか。目を瞑ってから程なくして、恭子さんは可愛らしい寝息を立て始めました。
「ヒム子、さっそく気持ち良さそうに寝ているッスね」
「そうですね。このまま眠れば体調も良くなっていくんじゃないでしょうか」
「そうなることを願うッス」
沙綾さんは恭子さんのお腹のあたりを優しく叩きながらそう言いました。きっと、その優しい想いは恭子さんに届くと思いますよ。
お泊まり女子会のときにも思いましたが、恭子さんの寝顔はとても可愛らしいです。この寝顔を見ていれば、何時間でも恭子さんを膝枕していられそうです。
「ヒム子、ぐっすり寝ているッスね。じゃあ、あたしは古典の課題をやるッス」
「持ってきていたんですか」
「ええ。今みたいに、寝ているヒム子の側にいる時間があるかもしれないと思って。それに、古典はちょっと苦手なので、ひおりんがいるときに片付けたいと思って」
「なるほど、そういうことですか。ちゃっかりしていますね」
私がそう言うと、沙綾さんはニコッと笑いました。
私は恭子さんのお見舞いや看病のことばかり考えていたので、課題は一切持ってきていません。まあ、課題の大半は終わっていますし、夏休みはあと1ヶ月近くありますから別にいいのですが。
「分からないところがあったら訊いてください」
「どうもッス」
「あと、ローテーブルに置いてある私のスマホを取ってくれますか」
「了解ッス」
沙綾さんに私のスマホを渡してもらいました。
それからはスマホでWeb小説を読んだり、メモ帳アプリで小説の構想をメモしたり、沙綾さんから古典の課題の質問に答えたりするなどして過ごします。
小声で沙綾さんと談笑することもありますが、恭子さん……本当に気持ち良く寝ていますね。起きる気配が全然ありません。
また、恭子さんは寝返りを打って、私のお腹に顔を埋めるときもあって。そのときは私のお腹に恭子さんの温かい吐息が定期的にかかってきて。それがとても気持ちいいです。そういえば、明斗さんに膝枕したときもこうして私のお腹に顔を埋めてきましたね。懐かしい気持ちになりますね。
色々なことをしていたので、あっという間に時間が過ぎていって。
「んっ……」
恭子さんが目を覚ましたときは、彼女が寝始めてから2時間ほど経っていました。
「氷織……」
「おはようございます、恭子さん。あれから2時間くらい経ちました」
「そうだったの。……氷織に膝枕してもらったかしら。凄くいい目覚めだわ」
「良かったです。お手洗いに行ったとき以外はずっと膝枕していました」
「そうだったッスね。ヒム子が寝ている間はあたしが持ってきた古典の課題をひおりんに教えてもらったり、アニメのこととかを話したりしていたッス」
「そうだったのね」
そう言いながら、恭子さんはゆっくりと上半身を起こします。
「……あっ、だるさが結構軽くなってる。熱っぽさも朝に比べたらマシになってる」
「薬を飲んで、ひおりんの膝枕で寝たおかげッスね」
「きっとそうね」
その後、恭子さんはローテーブルに置いてある体温計で体温を測ります。寝る前よりも顔色が良くなっているので、体温も結構下がっているように思えます。
「……37度1分。朝は38度2分あったから、これでもだいぶ下がったわ」
「そうッスか! 体調が良くなって良かったッスね」
「そうですね」
玉子粥とプリンで栄養を付けて、薬を飲んで、2時間ほどぐっすりと眠ったことで体調が良くなったのでしょう。私の膝枕が体調が良くなるのを早めることができたのなら嬉しいです。
「ヒム子。アニメを観られそうッスか?」
「ベッドで横になりながらなら全然OKよ」
「良かったッス。じゃあ、この前買ったボーイズラブアニメのBlu-rayを3人で一緒に観るッス。もし、ヒム子の治りが早かったら観ようかと思って、Blu-rayを持ってきていたッスよ~」
沙綾さんは楽しげな様子で、自分のトートバッグからBlu-rayを取り出します。それを見て、恭子さんは「おおっ」と声を漏らします。
「持ってきてくれていたのね。嬉しいわ」
「Blu-rayも持ってきていたんですね。古典の課題を持ってきていたので、もしやとは思っていましたが」
「ふふっ。これでアニメを観る約束を果たせるッスね!」
「そうですね、沙綾さん」
「そうね!」
恭子さんはとても嬉しそうに言いました。もしかしたら、約束していたBlu-rayをここで観られるとは思わなかったのかもしれません。
――ぐううっ。
と、誰かから腹の虫がしっかりと鳴ります。私のお腹は鳴っていませんし、恭子さんは2時間ほど前に玉子粥とプリンを完食しました。なので、おそらく――。
「なかなか盛大になってしまったッスね」
あははっ、と沙綾さんはちょっと恥ずかしそうに笑います。
「結構お腹が空いたッス」
「今は1時半過ぎですもんね。私もお腹が空きました。じゃあ、マンションの近くのコンビニでお昼を買いましょうか」
「そうッスね。それをここで食べながら観るッスか。ヒム子、それでもいいッスか?」
「もちろんよ。ご飯も食べずにあたしの側にずっといてくれてありがとね。きっと、そのおかげもあって治りが早かったんだと思うわ」
恭子さんはとても嬉しそうな笑顔でそう言いました。私達の看病で恭子さんの笑顔を引き出せたのなら、とても嬉しいです。
それから、私は沙綾さんと一緒にマンションの近くにあるコンビニに行き、お昼ご飯を買いました。ちなみに、私はツナサンドとたまごサンドとレタスサンドが入ったミックスサンドにストレートティーです。また、恭子さんへのお土産に桃のゼリーを買いました。
恭子さんの家に戻り、恭子さんの部屋で、ボーイズラブアニメのBlu-rayを観始めます。
結構面白くて、3人で笑うことが何度もあって。また、キスシーンもあるので、
「いやぁ、アニメになってもキスシーンは素晴らしいッス!」
「結構キュンとするわね!」
沙綾さんも恭子さんも興奮している様子でした。恭子さんの熱がぶり返さなければいいのですが。ちなみに、私も結構ドキドキしました。
1時間ちょっとでしたが、とても満足感のあるアニメでした。
当初の約束とは場所が変わり、過ごし方も変わりました。ただ、3人でアニメのBlu-rayを観る約束は果たせて、3人で一緒に楽しく一緒に過ごせて良かったです。
私と沙綾さんが帰る頃には恭子さんの体調がだいぶ良くなっていて。翌日にはすっかりと元気になったそうです。本当に良かったです。
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