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特別編6
第1話『汗を拭いて着替えさせてほしい』
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沙綾さんと一緒に、恭子さんを彼女の部屋のベッドまで連れて行きます。
恭子さんを横から支えますが、寝間着越しに熱を感じます。その熱は普段よりも強くて。熱が結構出ているのだと分かります。
恭子さんの部屋はエアコンが効いています。暑い中歩いてきたのもあり、かなり涼しく感じられますね。恭子さんの甘い匂いもほのかに感じられるのでとても快適で。
ローテーブルには風邪薬や冷却シート、ペットボトルのお水、バスタオルが置かれています。御両親が用意してくれたものでしょうか。
恭子さんをベッドに寝かせ、沙綾さんが恭子さんの胸元のあたりまでふとんを掛けました。
「ああ……ベッド楽だわ」
「だるさもあると言っていましたもんね」
「風邪を引いたときって、体が重く感じるッスよね。それにしても、1学期は一度も休まなかったのに、夏休みになってから体調を崩すとは。連日の暑さにやられたッスか? それとも、ヒム子はバイトをしているからバイトが原因ッスか?」
沙綾さんが恭子さんにそう問いかけます。
恭子さんが体調を崩した原因……気になりますね。沙綾さんの言う通り、恭子さんは一学期に体調不良で休んだことが一度もありませんでしたから。むしろ、元気いっぱいの日が多かったくらいですし。
「……バイトが原因よ」
と、恭子さんは小さな声でそう言いました。
「昨日は一日中バイトがあって。だから……かなり疲れて。家に帰ってすぐにお風呂に入って。夕食をちょっと食べて寝たわ。それで、今朝起きたら……お腹が丸出しになってて。体を起こしたらだるくて、かなり熱っぽくなっていたの」
「そうだったッスか。それなら、体調を崩すのも無理ないッスね」
「そうですね、沙綾さん」
疲労と体の冷えが原因ですか。中間試験明けに体調を崩した明斗さんと同じですね。明斗さんも休日にバイトがあり、その帰りにゲリラ豪雨に遭って体が冷えてしまいましたから。
「ちなみに、御両親は恭子さんが体調を崩されたことを知っているのですか?」
「うん、知ってる。朝起きたときに伝えた。だから、あたしがもう一度寝ていた間にローテーブルに色々と置いてくれたんだと思う。お父さんは仕事、お母さんはパートがあるし」
「そうですか」
やはり、ローテーブルに置いてあるのは御両親が用意してくれたものだったんですね。
「もう一度寝て、体調はどうなっているかなって思ったんだけど、全然変わらなくて。だから、さっき……あたしは参加しないってメッセージを送ったの」
「そういうことだったッスか」
「普段は1人でいるのは何とも思わないけど、今日は氷織と沙綾と一緒に過ごす約束があったから……正直、寂しい気持ちもあったの。だから、お見舞いに来て看病するっていう2人のメッセージが嬉しかったし、こうして2人に会えて嬉しいわ。ありがとう」
恭子さんはそう言うと、それまで私達に定まっていた視線をちらつかせます。頬を中心に顔の赤みがさっきより強くなって。掛け布団で口元まで隠して。照れくさいのでしょうか。何にせよ、恭子さんがとても可愛らしく見えます。気付けば頬が緩んでいました。
「可愛いッスねぇ、ヒム子」
「そうですね。今後も、体調が悪くなったら、遠慮なくメッセージをくださいね」
「……うん。ありがとう」
再びお礼を言うと、恭子さんは顔を全て出します。恭子さんの口角は上がっていて、とても可愛い笑顔になっていました。
「では、さっそく看病をしましょうか」
「そうッスね。ヒム子、何かしてほしいことはあるッスか?」
「そうね……さっきまで寝ていて汗を掻いちゃったから、汗を拭いてほしいわ。寝間着と下着も着替えたい」
「汗拭きと着替えッスね。了解ッス!」
「分かりました!」
「お願いするわ」
具体的な物事を頼まれるとやる気が出てきますね。沙綾さんも同じなのか活発な笑顔になっています。
「荷物は適当な場所に置いといて。ローテーブルに置いてあるタオルで汗を拭いてくれるかしら。できれば……氷織にお願いしたいわ」
「ふふっ、分かりました」
「ヒム子なら汗拭きをひおりんに頼むと思っていたッス。では、お着替えはあたしが担当するッス。新しい下着と寝間着はどこにあるッスか?」
「下着はそこのタンスの一番上の引き出し。寝間着は下から2番目の引き出しよ。適当に出してくれるかしら」
「了解ッス」
私達はローテーブルの側にあるクッションの上に荷物を置いて、衣類が入っているタンスまで向かいます。
まずは下着。沙綾さんが一番上の引き出しを開けると……大人っぽいデザインの下着がいっぱい入っています。暖色系が多く、黒、青、水色もあります。
「おおっ、大人な下着が多いッスね……」
「体育で着替えるときに下着姿の恭子さんを見ますが、結構大人っぽい姿ですよ」
「そうッスか! 背も高くてスタイルもいいッスから似合いそうッス」
「友達にあたしの下着についてトークをされると、ちょっと恥ずかしいわね。氷織は好きな人でもあるし……」
恭子さんがそう言うので、ベッドの方に振り返ると、恭子さんははにかみながら私達のことを見ていました。今ので熱が上がってしまったでしょうか。
「すまないッス。いい下着だったもので。ちなみに今は何色の下着を付けているッスか? 違う色にした方が気分転換できるかと思って」
「それ言えてるかも。今は黒の下着を付けているわ」
「黒ッスね。じゃあ……赤にするッスか、ひおりん」
「赤いいですね。恭子さんらしい感じがします」
「同感ッス」
沙綾さんが赤い下着を取り出し、私に渡してきました。
その後、下から2段目の引き出しを開けて、寝間着を取り出します。下着と同じく、今着ている色とは違う色という理由で、淡い水色の半袖の寝間着を選びました。
新しい下着と寝間着を選んだので、恭子さんの汗拭きに取りかかりましょう。
恭子さんはだるさを感じているので、沙綾さんと私で今着ている寝間着と下着を脱がせていきます。また、寝間着を脱がせて黒い下着姿になったとき、
「ひおりんの言う通り、結構大人っぽい下着姿ッスね」
と、沙綾さんがドキドキしていたのが印象的でした。その反応に恭子さんは特に嫌がることはなく微笑んでいたことも。
黒い下着を外して、恭子さんは裸の状態になります。
「氷織と沙綾がいる中、自分のベッドの上で裸になるなんて。何だか厭らしい気分になってくるわ……」
恭子さんはニヤニヤしながらそんなことを言ってきます。厭らしい気分になっているからか、頬を中心に顔が赤くなっていて。
「まったく、ヒム子らしいッスね。気持ち的には結構元気になっていそうッスね」
「ですね、恭子さん」
こういう反応をするのですから、恭子さんの体調が元通りになるのも早そうです。
ローテーブルに置いてあるバスタオルを持って、恭子さんの側に行きます。
「それでは拭き始めますね。どこから拭いてほしいというリクエストはありますか?」
「背中かしら。仰向けで寝ていたから、背中が一番汗掻いているし」
「分かりました。では、失礼しますね」
「うん。や、優しくしてね」
「もちろんですよ。病人なんですから」
沙綾さんは恭子さんの体を起こし、正面から支えます。
私は恭子さんの背後に行き、恭子さんの背中をバスタオルで拭き始めます。
恭子さんの背中……白くて綺麗です。サラッとした肌触りで。また、くびれもあって。きっと、日頃のストレッチの賜物なのでしょう。
「恭子さん、こういう拭き方で大丈夫ですか?」
「ええ。とても気持ちいいわ。氷織の拭き方が優しいし、バスタオルもふかふかだから」
「良かったです」
「気持ち良すぎて夢じゃないかと思うくらいだわ。氷織に拭いてもらっているし」
「ふふっ」
「現実ッスよ~」
沙綾さんは楽しげな笑顔でそう言うと、右手の人差し指で恭子さんの頬をツンと押します。
「……あっ、感覚あるから現実だ」
「現実だと分かったッスか。これでも分からなかったら、胸をツンと押していたところッス」
「現実だって分かって良かったわ」
「あたしとしてはちょっと残念ッス」
「もう沙綾さんったら」
ふふっ、と私達3人は笑いに包まれます。恭子さんの笑い声を聞いて、安心すると同時に嬉しい気持ちになります。
背中を拭いた後、私は体の前面や脚も拭いていきます。
タオルで拭かれているのが気持ちいいのか、恭子さんはたまに「あぁ~」とか「んっ」と甘い声を漏らして。それがとても可愛らしいです。また、
「いい光景ッスねぇ」
と、沙綾さんがニッコリとした笑顔で私達のことを見ていて。沙綾さんはガールズラブやボーイズラブが大好物ですからね。今の恭子さんと私を見て刺激を受けているのかもしれません。何か妄想もしているかもしれませんが、そのことについては訊かないでおきましょう。
「氷織の姿が見えるから、氷織に体を拭いてもらっているってより実感するわ」
「そうですか」
「ただ……結構汗を掻いているから、変に匂っていないか心配になるわ」
「確かに汗の匂いはしますけど、特に嫌だとは思いませんよ。むしろいい匂いだと」
明斗さんの次くらいにいい匂いだと思います。
「あたしも同じッス」
「良かった」
恭子さんはほっと胸を撫で下ろします。親しい同性の友人でも、自分の匂いについてどう思われているか気になってしまうことってありますよね。
その後も、恭子さんの体を拭いてきます。
この部屋には恭子さんと沙綾さんと私しかいませんから、私が風邪を引いた際、お見舞いで2人に体を拭いてもらったときのことを思い出しますね。当時を懐かしみながら、恭子さんの体を丁寧に拭いていきました。
「こんな感じでどうでしょうか」
全身を拭き終わったところで、恭子さんに確認を求めます。パッと見た感じでは、汗ばんでいる箇所は見られませんが。
「スッキリしたわ。ありがとう、氷織」
「いえいえ。スッキリできて良かったです」
「じゃあ、新しい下着と寝間着を着るッスよ」
「はーい」
それからは沙綾さんに手伝ってもらいながら、恭子さんは新しい下着と寝間着に着替えていきます。
お着替えを手伝っている沙綾さんはとても柔らかな笑顔になっていて。また、
「ヒム子。次は寝間着のズボンッス。脚は上げられそうッスか?」
「ちょっとなら」
「了解ッス。では、お願いするッス」
「はーい」
時折、沙綾さんが優しく声を掛けて、恭子さんが沙綾さんの指示に従って。だから、沙綾さんが恭子さんのお姉さんのように見えて。目の前には微笑ましい光景が広がっていたのでした。
恭子さんを横から支えますが、寝間着越しに熱を感じます。その熱は普段よりも強くて。熱が結構出ているのだと分かります。
恭子さんの部屋はエアコンが効いています。暑い中歩いてきたのもあり、かなり涼しく感じられますね。恭子さんの甘い匂いもほのかに感じられるのでとても快適で。
ローテーブルには風邪薬や冷却シート、ペットボトルのお水、バスタオルが置かれています。御両親が用意してくれたものでしょうか。
恭子さんをベッドに寝かせ、沙綾さんが恭子さんの胸元のあたりまでふとんを掛けました。
「ああ……ベッド楽だわ」
「だるさもあると言っていましたもんね」
「風邪を引いたときって、体が重く感じるッスよね。それにしても、1学期は一度も休まなかったのに、夏休みになってから体調を崩すとは。連日の暑さにやられたッスか? それとも、ヒム子はバイトをしているからバイトが原因ッスか?」
沙綾さんが恭子さんにそう問いかけます。
恭子さんが体調を崩した原因……気になりますね。沙綾さんの言う通り、恭子さんは一学期に体調不良で休んだことが一度もありませんでしたから。むしろ、元気いっぱいの日が多かったくらいですし。
「……バイトが原因よ」
と、恭子さんは小さな声でそう言いました。
「昨日は一日中バイトがあって。だから……かなり疲れて。家に帰ってすぐにお風呂に入って。夕食をちょっと食べて寝たわ。それで、今朝起きたら……お腹が丸出しになってて。体を起こしたらだるくて、かなり熱っぽくなっていたの」
「そうだったッスか。それなら、体調を崩すのも無理ないッスね」
「そうですね、沙綾さん」
疲労と体の冷えが原因ですか。中間試験明けに体調を崩した明斗さんと同じですね。明斗さんも休日にバイトがあり、その帰りにゲリラ豪雨に遭って体が冷えてしまいましたから。
「ちなみに、御両親は恭子さんが体調を崩されたことを知っているのですか?」
「うん、知ってる。朝起きたときに伝えた。だから、あたしがもう一度寝ていた間にローテーブルに色々と置いてくれたんだと思う。お父さんは仕事、お母さんはパートがあるし」
「そうですか」
やはり、ローテーブルに置いてあるのは御両親が用意してくれたものだったんですね。
「もう一度寝て、体調はどうなっているかなって思ったんだけど、全然変わらなくて。だから、さっき……あたしは参加しないってメッセージを送ったの」
「そういうことだったッスか」
「普段は1人でいるのは何とも思わないけど、今日は氷織と沙綾と一緒に過ごす約束があったから……正直、寂しい気持ちもあったの。だから、お見舞いに来て看病するっていう2人のメッセージが嬉しかったし、こうして2人に会えて嬉しいわ。ありがとう」
恭子さんはそう言うと、それまで私達に定まっていた視線をちらつかせます。頬を中心に顔の赤みがさっきより強くなって。掛け布団で口元まで隠して。照れくさいのでしょうか。何にせよ、恭子さんがとても可愛らしく見えます。気付けば頬が緩んでいました。
「可愛いッスねぇ、ヒム子」
「そうですね。今後も、体調が悪くなったら、遠慮なくメッセージをくださいね」
「……うん。ありがとう」
再びお礼を言うと、恭子さんは顔を全て出します。恭子さんの口角は上がっていて、とても可愛い笑顔になっていました。
「では、さっそく看病をしましょうか」
「そうッスね。ヒム子、何かしてほしいことはあるッスか?」
「そうね……さっきまで寝ていて汗を掻いちゃったから、汗を拭いてほしいわ。寝間着と下着も着替えたい」
「汗拭きと着替えッスね。了解ッス!」
「分かりました!」
「お願いするわ」
具体的な物事を頼まれるとやる気が出てきますね。沙綾さんも同じなのか活発な笑顔になっています。
「荷物は適当な場所に置いといて。ローテーブルに置いてあるタオルで汗を拭いてくれるかしら。できれば……氷織にお願いしたいわ」
「ふふっ、分かりました」
「ヒム子なら汗拭きをひおりんに頼むと思っていたッス。では、お着替えはあたしが担当するッス。新しい下着と寝間着はどこにあるッスか?」
「下着はそこのタンスの一番上の引き出し。寝間着は下から2番目の引き出しよ。適当に出してくれるかしら」
「了解ッス」
私達はローテーブルの側にあるクッションの上に荷物を置いて、衣類が入っているタンスまで向かいます。
まずは下着。沙綾さんが一番上の引き出しを開けると……大人っぽいデザインの下着がいっぱい入っています。暖色系が多く、黒、青、水色もあります。
「おおっ、大人な下着が多いッスね……」
「体育で着替えるときに下着姿の恭子さんを見ますが、結構大人っぽい姿ですよ」
「そうッスか! 背も高くてスタイルもいいッスから似合いそうッス」
「友達にあたしの下着についてトークをされると、ちょっと恥ずかしいわね。氷織は好きな人でもあるし……」
恭子さんがそう言うので、ベッドの方に振り返ると、恭子さんははにかみながら私達のことを見ていました。今ので熱が上がってしまったでしょうか。
「すまないッス。いい下着だったもので。ちなみに今は何色の下着を付けているッスか? 違う色にした方が気分転換できるかと思って」
「それ言えてるかも。今は黒の下着を付けているわ」
「黒ッスね。じゃあ……赤にするッスか、ひおりん」
「赤いいですね。恭子さんらしい感じがします」
「同感ッス」
沙綾さんが赤い下着を取り出し、私に渡してきました。
その後、下から2段目の引き出しを開けて、寝間着を取り出します。下着と同じく、今着ている色とは違う色という理由で、淡い水色の半袖の寝間着を選びました。
新しい下着と寝間着を選んだので、恭子さんの汗拭きに取りかかりましょう。
恭子さんはだるさを感じているので、沙綾さんと私で今着ている寝間着と下着を脱がせていきます。また、寝間着を脱がせて黒い下着姿になったとき、
「ひおりんの言う通り、結構大人っぽい下着姿ッスね」
と、沙綾さんがドキドキしていたのが印象的でした。その反応に恭子さんは特に嫌がることはなく微笑んでいたことも。
黒い下着を外して、恭子さんは裸の状態になります。
「氷織と沙綾がいる中、自分のベッドの上で裸になるなんて。何だか厭らしい気分になってくるわ……」
恭子さんはニヤニヤしながらそんなことを言ってきます。厭らしい気分になっているからか、頬を中心に顔が赤くなっていて。
「まったく、ヒム子らしいッスね。気持ち的には結構元気になっていそうッスね」
「ですね、恭子さん」
こういう反応をするのですから、恭子さんの体調が元通りになるのも早そうです。
ローテーブルに置いてあるバスタオルを持って、恭子さんの側に行きます。
「それでは拭き始めますね。どこから拭いてほしいというリクエストはありますか?」
「背中かしら。仰向けで寝ていたから、背中が一番汗掻いているし」
「分かりました。では、失礼しますね」
「うん。や、優しくしてね」
「もちろんですよ。病人なんですから」
沙綾さんは恭子さんの体を起こし、正面から支えます。
私は恭子さんの背後に行き、恭子さんの背中をバスタオルで拭き始めます。
恭子さんの背中……白くて綺麗です。サラッとした肌触りで。また、くびれもあって。きっと、日頃のストレッチの賜物なのでしょう。
「恭子さん、こういう拭き方で大丈夫ですか?」
「ええ。とても気持ちいいわ。氷織の拭き方が優しいし、バスタオルもふかふかだから」
「良かったです」
「気持ち良すぎて夢じゃないかと思うくらいだわ。氷織に拭いてもらっているし」
「ふふっ」
「現実ッスよ~」
沙綾さんは楽しげな笑顔でそう言うと、右手の人差し指で恭子さんの頬をツンと押します。
「……あっ、感覚あるから現実だ」
「現実だと分かったッスか。これでも分からなかったら、胸をツンと押していたところッス」
「現実だって分かって良かったわ」
「あたしとしてはちょっと残念ッス」
「もう沙綾さんったら」
ふふっ、と私達3人は笑いに包まれます。恭子さんの笑い声を聞いて、安心すると同時に嬉しい気持ちになります。
背中を拭いた後、私は体の前面や脚も拭いていきます。
タオルで拭かれているのが気持ちいいのか、恭子さんはたまに「あぁ~」とか「んっ」と甘い声を漏らして。それがとても可愛らしいです。また、
「いい光景ッスねぇ」
と、沙綾さんがニッコリとした笑顔で私達のことを見ていて。沙綾さんはガールズラブやボーイズラブが大好物ですからね。今の恭子さんと私を見て刺激を受けているのかもしれません。何か妄想もしているかもしれませんが、そのことについては訊かないでおきましょう。
「氷織の姿が見えるから、氷織に体を拭いてもらっているってより実感するわ」
「そうですか」
「ただ……結構汗を掻いているから、変に匂っていないか心配になるわ」
「確かに汗の匂いはしますけど、特に嫌だとは思いませんよ。むしろいい匂いだと」
明斗さんの次くらいにいい匂いだと思います。
「あたしも同じッス」
「良かった」
恭子さんはほっと胸を撫で下ろします。親しい同性の友人でも、自分の匂いについてどう思われているか気になってしまうことってありますよね。
その後も、恭子さんの体を拭いてきます。
この部屋には恭子さんと沙綾さんと私しかいませんから、私が風邪を引いた際、お見舞いで2人に体を拭いてもらったときのことを思い出しますね。当時を懐かしみながら、恭子さんの体を丁寧に拭いていきました。
「こんな感じでどうでしょうか」
全身を拭き終わったところで、恭子さんに確認を求めます。パッと見た感じでは、汗ばんでいる箇所は見られませんが。
「スッキリしたわ。ありがとう、氷織」
「いえいえ。スッキリできて良かったです」
「じゃあ、新しい下着と寝間着を着るッスよ」
「はーい」
それからは沙綾さんに手伝ってもらいながら、恭子さんは新しい下着と寝間着に着替えていきます。
お着替えを手伝っている沙綾さんはとても柔らかな笑顔になっていて。また、
「ヒム子。次は寝間着のズボンッス。脚は上げられそうッスか?」
「ちょっとなら」
「了解ッス。では、お願いするッス」
「はーい」
時折、沙綾さんが優しく声を掛けて、恭子さんが沙綾さんの指示に従って。だから、沙綾さんが恭子さんのお姉さんのように見えて。目の前には微笑ましい光景が広がっていたのでした。
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